治療、就寝
「うわ!レイヤ君、それどうしたの!?」
俺は、怪我を治してもらう為に、ミュウさんの部屋に訪れていた。
「いやぁ・・・ちょっと階段から転げ落ちまして。それで、ミュウさんに怪我を治してもらおうかなって」
「・・・レイヤ君、嘘はいけないよ。王様が落ちて怪我したりしないように、階段には魔道具があるんだよ。だから、怪我のしようが無いんだよねぇ。それに、その怪我は人に暴力を振るわれたものだって見れば分かるよ?」
まずい、バレる。ってか、もうバレてるよな。だが、俺は諦めない。
「い、いや、その、訓練場の階段で・・・」
「実は僕、嘘を吐く人には怪我を治さないって決めてるんだよね」
う・・・もう隠しても無駄だよなぁ。それに、このまま怪我を治してもらえなかったら、もっと面倒になる。正直に話すとしましょうか。
「・・・分かりました。話します。けど、誰にも言わないで下さいね?葵姉さん達に心配掛けたくないですし・・・」
「うん、分かったよ。誰にも話さないよ」
「絶対ですよ?」
俺は、怪我の原因をミュウさんに正直に教えた。
「コンドウにムラカミにナイトウか・・・」
「ちょ、ちょっとミュウさん。約束ですから、突撃しないで下さいよ!?」
「で、でもレイヤ君が」
「良いんですよ。その方が丸く収まります。それに、精神的にはそこまで辛くないので。ただ、痛いのを我慢するだけですし」
「それが駄目なんだけど。とりあえず、怪我を治すよ」
別に、痛くないって思えば、というか思い込めばそれなりに痛みは消えるんだけどな。うーん、思い込むというより、痛いという感覚自体を忘れるって感じか。
心頭滅却すれば火もまた涼し。いや、違うか?
「ほら、治ったよ。それと、これからは一人で訓練するのは止めておいた方が良いと思うよ」
そんなことしても、別な場所で何かしらされそうだけどなぁ・・・。まあ、俺としては知り合いにさえ被害が出なけりゃ別にどうでも良いんだが。
「はい。ありがとうございました。それでは、また明日」
「うん・・・しっかり休むんだよ」
さて、怪我も治った事だし、とっとと部屋に戻って寝るか。それはそうと、明日は服を買いに行かなくちゃな。
自分の部屋に入ると俺の自慢の姉と妹が話しかけてくる。
「お兄ちゃん、お帰り!」
「怜也おかえり。どこ行ってたの?」
「ただいま。まあ・・・ちょっと訓練に。疲れたし、着替えてジャージ洗ったら、俺もう寝るよ」
「結構疲れてるみたいだし、私がやっといてあげるから先に寝なさい」
「私も手伝うの!」
「ん、ありがとう葵姉さん、ヒナ」
流石に、今日は色々と疲れたので、素直に日向と葵姉さんに任せる。
いやー、本当に今日は色々あったぜ。
予想以上に疲れていたのだろう。俺は布団に入ると、すぐに眠りこんだ。
 




