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才能の才能  作者: 緑髪のエルフ
一年間
13/86

ショッピング!(鍛冶屋で)

 前回の料理で俺のおニューな包丁がさっそく駄目になってしまったので、今はゲイルさんに紹介された鍛冶屋へと向かっている。

 今更だが、街並みは中世ヨーロッパのそれである。ベタベタなぐらいベタである。まぁ、異世界って感じがして良いが。

 そして、だ。この世界にも冒険者ギルドが存在する。その事実を知ったとき、テンションが上がりまくって、大騒ぎしたのは内緒だ。

 そんな黒歴史は置いといて、鍛冶屋についた。ミュウさんの案内もあったので、場所は間違ってないはずだ。

 表にはこう書かれている。 [リヒトの鍛冶屋] と。名前が何か普通である。

 俺達は鍛冶屋に入る。

 中に入ってまず目に映ったのは武器と防具だ。まあ、鍛冶屋だし。

 武器はロングソードやダガーとかハルバードとか、他にも色々ある。

 防具もレザーアーマーからフルプレートまである。

 まぁ、今回は武器が目当てではない。今日俺が買いにきたのは包丁だ。とりあえず、探してみたのだが、見つからない。お店の人に聞いてみようと、周囲を探してみる・・・が、店の中には他に誰もいなかった。

 カウンターの奥に扉があるので、カウンターまで行き、俺は声を出した。

「すみませーん」

 ・・・しばらくして、がちゃり、と扉が開く。中から出てきたのは、身長の低い、小太りの髭を生やしまくった男である。典型的なドワーフをイメージしていただきたい。多分ドワーフだよなぁ。

「ごめんなさい、ちょっと作り物をしていまして」

 なんか・・・外見に反して、口調は穏やかだ。ギャップが凄い。

「そうだったんですか・・・あの、じつは、ゲイルさんの紹介でここに来たんですが」

「ああ、そうなんですか。なるほど。あ、僕はリヒト・ブランと言います。よろしく」

「剣 怜也です。よろしくお願いします。それで、今日は包丁を買いに来たんですけど、苦芋を切っても刃こぼれしない包丁ってありますか?」

「うーん、流石にそこまでの包丁は今無いねー。ブラッドタイガーの牙とかでも持ってきてくれれば作れるけど」

「ブラッドタイガー?」

 俺はチラリとミュウさんを見る。俺の視線に気付いたミュウさんは答えてくれる。

「ブラッドタイガーっていうのはね、草原に住んでいる、毛の色が真っ赤な虎なんだ。中々強いから、今のレイヤ君だと、絶対に勝てないかな」

 はっきりと勝てないって言われた。今回は包丁は諦めよう。絶対に倒せるようになってやる。全ては料理の為だ。

「・・・?リヒトさん、ゲイルさんが苦芋を簡単に切れる包丁を持ってたんですが、あれの素材はどうしたんでしょうか?誰かに取ってきて貰ったんですか?」

「あれ?レイヤ君もしかして知らないのかい?ゲイルは結構腕の立つ冒険者なんだよ。今はあまり活動してないけどね。素材はゲイルが自分で取ってきたんだ」

 あの人そんな強いんだ。少しぐらい話してくれれば良いのに。

「なるほど。・・・包丁の素材を持ってくるのは今の俺では無理そうなので、今この店にある包丁を見せてもらえませんか?」

「ああ、良いよ。ちょっと待ってて。・・・はい」

 そういって、目の前に箱が置かれる。中には包丁が入っている。値段はどれも一緒だそうだ。俺はその中で一番良さそうな包丁を選ぶ。

「あらら、それを選ばれちゃったか。実はそれ、この中で一番性能が良いやつなんだ。暇だから普通のよりも手間を掛けて作ったやつで、他のよりも断然性能が良いと思うよ」

 おお、どうやらこの中で一番良いものを選んだようだ。性能は使ってみてからのお楽しみか。

「それじゃあ、これ下さい」

「はいはい。一万ゼンだよ」

 俺は一万ゼンを支払った。

「武器も見させてもらっても良いですか?」

「どうぞどうぞ。好きなだけ見ていってよ」

 許可も貰ったしじっくりと見る事にしよう。

 俺はミュウさんと一緒に投擲具を見に行く。ナイフやチャクラム、手裏剣もある。

 そういえば、と俺はミュウさんに聞く。

「あの、投擲具や、矢って、魔法で作り出して使ったりできるんでしょうか?」

「うーん。魔法で作り出すってのは無理だね。せいぜい、武器に魔法を纏わせるぐらい。でも、魔道具があれば、自分の魔力で武器を作り出せるよ」

「その魔道具って高いんですか?」

「いや、そもそも売ってないね。その魔道具は基本的にオーダーメイドなんだ。自分で材料を集めて作ってもらうんだよ。集めるっていっても、一つだけしか材料ないけど」

「そうですか・・・材料を手に入れたらどうするんです?」

「作れる人を見つけないといけないね。見つかれば、大体十万ゼン程度で作ってもらえるよ。まあ、素材を揃えれればだけどね。今のレイヤ君だとちょっと無理だね。ブラッドタイガーを倒すよりは楽だから安心して」

 今のレイヤ君には無理だとまた言われた。ブラッドタイガー倒すよりは楽って言われてもな・・・どのぐらい強いのか分からないし。

 それはともかく、俺は手裏剣とナイフをそれぞれ十個ずつ買う。これで、包丁と合わせて八万ゼンの出費になった。支払いの際、二万ゼンのお釣りがきたのだが、俺は地球にいたころの癖でポケットに突っ込んでしまう。

 最後に、魔力で武器作る魔道具作れるか聞いてみよう。

「リヒトさんって、魔力で武器を作る魔道具を作れますか?」

「ああ、あれね。僕も作れるよ。もしかして、欲しいのかい?」

「ええ、いつかは自分で材料を手にいれて作りたいですね」

 あくまで、自分で、だ。

「そうかい。その時は安くしとくよ」

「ありがとうございます!」

 これからはリヒトさんの店で、武器や防具などを買おう。そう思った。

「それでは、そろそろ失礼しますね」

「うん。次はもっと一杯買っていってよ」

「はは。もっと稼げる様になったらですね」

 そもそも、お金はまだ1ゼンも稼いでいないのだがそんなことは言わない。

 とりあえず、俺達は鍛冶屋を出た。ただいまの時刻は四時。

「そろそろお城に戻りますか、ミュウさん」

「うん、そうしようか」

 俺達は城へと戻る。

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