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才能の才能  作者: 緑髪のエルフ
一年間
11/86

火の曜日

 待ちに待った火の曜日、今日はゲイルさんの家へとお邪魔させてもらう。そのため、今日は訓練ができない。そのことをミュウさんに伝えたら、

「うん、分かったよ。・・・ええと、その」

「?どうしたんですか、ミュウさん?」

「いや、その、今日も用事が無いので、僕も行けないかなぁ・・・なんて」

「ああ、大丈夫だと思いますよ。一緒に行きましょうよ。道が分からないので案内してくださると助かります」

「う、うん。案内は任せて」

 という訳で、ミュウさんの案内の下、俺は食べすぎ亭に到着する。外観は、四階立ての建物だ。とりあえず中に入る。

 食べすぎ亭に入り、一階を見渡す。どうやら、酒場と食堂を兼ねているようだ。

 俺は、カウンターへ向かい、受付に話しかける。二十代前半の綺麗なお姉さんだ。

「すみません、剣 怜也といいます。ゲイルさんに会いたいんですが・・・」

「ああ、あなたがレイヤさんね。いらっしゃい。ゲイル!レイヤさんが来たよ!」

 受付のお姉さんが大声を出したので、ミュウさんがビクッと驚いていた。この人、本当に戦えるのかといつも思う。実力の問題ではなく、性格の問題だ。

 と、考えていると奥からゲイルさんが出てきた。

「おう、レイヤ。いらっしゃい。っと、そっちの人は騎士様か?確か・・・ミュウさんだったな」

「は、はいっ!ミュウ・ナバスって言いましゅ・・・言います。あの・・・僕も中に入っても大丈夫でしょうか?」

 おおう、この人また噛んだよ・・・

「ああ、レイヤと仲が良いみたいだし、別に良いぜ。いらっしゃい、ミュウさん」

 そうなのだ。伝え忘れていたが、俺とミュウさんは、訓練の合間に話していると、いつの間にか仲が良くなったのだ。今では友達と呼び合えると思う。声には出さんが。

「は、はい!お邪魔します」

 それはともかく、ゲイルさんの許可も貰えたので、俺達は部屋の奥へと入る。

 中に入るとまず、リビング?に着いた。奥にはキッチンと、扉が見える。恐らく、寝室へと繋がっているのだろう。

 と、部屋の観察はそれぐらいにしとこう。

「んじゃ、さっそく料理を教えるぜ。キッチンに来い、レイヤ。ミュウはどうする?」

「あ、僕は見るだけで」

「分かった。それじゃあ、レイヤ。今日は始めてだし、見やすい食材で料理するぜ」

 俺はキッチンへと向かう。キチンと整頓されたキッチンだ、などと思い、その直後、何故か無性に虚しくなった。

 さて、ゲイルさんが取りだした食材は、芋・・・だと思われる食材だ。

 ちなみに、俺は自分の世界に無い食材についてを学ぶのだが、どんな食材が無かったかはこの間貰った本で印を付けて、ゲイルさんに見せている。そのため、どんな食材が無いのかは向こうも知っている。なので、用意される食材は見た事も無い物ばかりになる。

「今日はこの苦芋にがいもを料理する」

「苦いんですか?」

「そのまま食べたらな。苦いなんてもんじゃないから、調理してない物は食べるなよ?まあ、それ以前に調理してないと芋がかたいから、そもそも食える訳が無いんだがな」

「そうなんですか・・・どうやって食べるんですか?」

「ああ、こいつはな、ゆっくりと火を通していくと柔らかく、甘くなっていくんだ。調理前の苦さが不思議になるくらい甘くなる。この芋は、焼いてもいいし、煮てもいい。焼くのは難しいから、今回はこれを使ってスープを作るぞ」

 ふむ、この芋、色んな料理に使えそうだな。それに、簡単に調理できそうだ。

 そう思っていると、ゲイルさんが、

「ただ、な。この芋、火加減を間違えると、柔らかくはなるが、苦味が残るんだ。初心者がよく、苦い芋スープとかを作ったりするんだよ。匂いは、何故か成功したときよりも良いからなぁ・・・」

 ・・・思ったよりも難しそうだな。ってか、もうビックリ芋で良いんじゃないかな?なんというか、良い匂いですねーつって食べたら、!って感じだろう。悪い意味でビックリだ。恐ろしい芋である。

「まあ、大丈夫だ。俺が失敗しないやり方を教えてやるから。んじゃ、始めるぞ。今回は苦芋のコンソメスープだ」

 という訳で料理が始まった。

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