表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
のぼる丘  作者: てくてく
壺の中
8/14

1万円の価値

約束通り、5万はヨシキに返すことができた。



ただ、今までとは少し違う。



お金が余ってる。




しかし、僕はヨシキを飯には誘わなかった。





これは、多分、特別なお金だから。




(どうしようか....)




いつものように、パチンコに行きたいとも何か買いたいとも思わない。



お金を持っているのに、気持ちが晴れない。



(今家に帰ってもなぁ.....)



顔は合わせづらい。




とりあえず、親に買ってもらった中古のボロい車の中で、タバコを吸うことにした。




(父さんは、気付いている。でも、なぜ?)



(助けてくれたのか?怒ってないのか?それとも、呆れられたのか。)




1人息子が、いい年して親のスネをかじっていれば、呆れられてもおかしくない。





辺りはもう暗くなってきた。





仕事帰りのサラリーマンが、僕の車の前を通り過ぎる。





(同じ年くらいだろうか、僕より若いか.....)




(彼は結婚してるのだろうか.....)




(子どもはいるのだろうか......)





(僕はいったい何をしているのだろうか......)









(僕はいったい何をしているのだろうか......)












(僕はいったい何をしているのだろうか......)








タバコの煙が、車内に立ち込め、僕は窓を開けた。



風はあるが、少し暖かい。




(もうすぐ、夏......か.....)





何人もの人が、僕の車の前を通り過ぎる。





(この人たちに、僕はどう映っているのだろう。)




僕は、本性がばれないように、普通を装ってる。




キチンとしてるよ、普通の人だよ、って。




でも、しんどくて。




普通が、しんどくて。





だんだん、メッキが剥がれるように、崩れていく。




(僕はどんな人間なんだろう.......何を隠してるんだろう)




(溢れる壺の中は、どうなっているんだろう....)





僕は、僕を知りたくなった。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ