痛み
昨日寝たのは4時を過ぎており、目が覚めると、もう夕方になっていた。
「♩ピピピピ....」
「ん....」
(あ..ヨシキ....)
僕は慌てて起きた。
「あ、はい!ヨシキ?ちょうど良かった。今、家に戻ってきたよ。今から、そっち向かうから待ってて。」
寝起きと思えない程、悠長に話した。
電話を切り、急いで身支度をする。
「のぼる?」
......
(父さん?!)
父「のぼる?いるのか?」
久しぶりに父さんの声を聞いた。
さすがの僕でも昨日のことは、覚えてる。
(お金とったこと、ばれたか....)
(どうする?)
「はぁい、いるよ....」
(あぁ、神様。)
父「のぼる、どこか出かけるのか?」
「あー....まぁ....ちょっとね。友達に会うだけだから、すぐ帰ってくるよ....」
(めったに話さない父さんが、なんで今...)
なんでかは、分かってる。
父「そうか、これで何か好きなものでも食べてきなさい。階段に置いておくから。」
顔は合わさず、父さんは、また、リビングに戻った。
(?)
僕は何がなんだかわからなかった。ただ理解したのは、助かったってこと。
恐る恐る階段を降りると、階段の下から3段目に1万円札が置いてあった。
(父さん....知ってるんだ。)
僕は、1万円札を持って、ゴキブリのように逃げて行った。
虚しくて、悔しい。