逃避
目を覚ますと、夜の10時を過ぎていた。
(夜か....)
「グュー。」
(そういえば今日何も食べてないな...)
小腹が空いた僕は、冷蔵庫に何か無いものかと、階段を降り、少しふらつきながらリビングへ移動した。
[夜になるとゴキブリみたいに...]
母の言葉を思い出す。
(お前が育て間違えたんだよ.....)
寝起きの悪い僕は、少しイライラしながら冷蔵庫を開けた。
冷蔵庫には、トマトが3つ入った袋と晩ご飯だったと思われる焼餃子が5つ。
(餃子を食べようか.....脂っぽいな。やっぱやめよう.....)
結局、非常食のカップラーメンを食べることにした。
テレビは、特に観たい番組もなく、照明代わりにつけていた。
テレビの声[本日お送りするテーマは現代年々増加するうつ病についてです!みなさんは.....]
「バチッ」
僕は急いで消した。
「ハァ、ハァ、ハァ...」
音も無い真っ暗な部屋で、僕はただほのかに香るカップ麺の匂いを感じながら、観てはいけない.....というより、触ってはいけないものを触った気がした。
「....んだよ、オレだって本気を出せば...」
無性にイライラした。
何にイライラしているのかも分からない。
腹が立つのに、泣きたい。
大泣きしたい。
声を出して泣きたい。
でも....
「泣くもんか.....」
....
....
......
食べかけのカップラーメンが、冷たくなっていた。
その間、どう過ごしたのかは覚えていない。
しかし、たくさんのことを考えた。
お金のこと。
生活のこと。
親のこと。
自分のことを。