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二郎…

八月十日21時45分

句読点の追記と修正を行いました

三匹の鬼は、餓鬼の屍を貪るのに夢中であった。

(この隙に安全な場所へと行かねばな…しかし体が痺れて思う様に動かぬ、暫くは茂みに隠れ、やり過ごすか…)


静かになった森では、三匹の鬼が食事している音が響いている…それは、餓鬼を頭からかぶり付き、頭蓋骨を砕き血肉を啜っている音である


(そろそろ動くかな、痺れも大分ましになった)


そう判断し、鬼達が来た方向とは逆に、体の向きを変え、血の臭い漂う場所から離れる



あれからどれ程歩いただろうか…

森が暗闇で満ちかけた頃、巨大な樹が見えた、不思議とその樹を見ていると、体の疲れがとれるような気がする、不思議な樹だった


(これは神が宿った大樹に違いな…このような気持ちになるとは、この樹に宿る神はさぞ名のある神なのであろうな)


大樹に近き、良く見ると根の部分が空洞となっており清村はそこで休息をとる事にした、地獄で仏に会うとはこの事だな、と独り言を言いながら目を瞑る 、森が朝日を浴び、ほんのり明るくなった頃、清村は目をさましいつもの様に修練をしようと樹洞をでる

後に、二郎と名付ける鬼が現れたのは、一通り剣の型の修練を終えた頃だった

最初はあの凄まじい攻撃を思いだし、刀を構える、すると鬼の恐ろしく、二本の牙を生やした口から言葉を発した


「お前…何しに此処へ来た?」


鬼が言葉を話たのは驚いたが、とにかくこれまでの経緯を話た、山を歩いていたら迷ったのだと…


「そうか…ならいい」


と言うなり、鬼は何処かへ行ってしまった



鬼と会話して数日がたった…

あれから鬼は、幾度も現れ時に獲物を分けてくれ、時に話相手となった

そして、清村が不思議な樹に供えようと、小柄片手に仏像を彫っていた…そんな時、いつもの様に鬼が訪ねてきた


「おっ!!二郎じゃないか!!今日はどうした?」


まるで、友が遊びに来たかの様な感じで、鬼に向かい話かけ仏像を彫る作業を中止して、二郎と呼ばれた鬼に訪ねる


「ジロウ?人間 お前着いてこい 」


二郎と言うのは、清村が勝手につけた名前で、鬼が名乗った訳ではなかった、勿論清村は鬼に「名はなんと言う?」


と訪ねたが、返ってくる言葉が「名前?俺は俺だ」

と言うばかり、ついには清村が二郎と名付けてしまった

何故二郎かと言うと、清村の産まれた村住んでいる、家来の子供に、二郎と言う名前の子供が居るのだが、その子供と雰囲気が似ているのである、清村は懐かしい故郷の思い出を浮かべ、二郎と呼ぶ度に思い出す

そんな鬼の二郎に、ついてこいと言われ「何が起こるかわからぬから身仕度する故、しばし待て」 と地獄へ迷いこんだ、当初の身なりにし、鬼の二郎へとついて行った

暫く歩いた頃、目の前に鬼の集団が目に入る

数は二十程、一様に武器を手に持ち、鬼の二郎の方向を向いている…


「ど言う事だ二郎…」




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