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非常に納得がいかない

作者: 小雨川蛙
掲載日:2026/10/11

 非常に納得がいかない。

 目の前にいるお偉い方に私はそう言った。


「しかし、罪は罪」


 お偉い方はそう返した。

 もう何度もしているやりとり故、正直面倒臭そうに。

 だが、私は改めて言う。


「非常に納得がいきません」

「罪は罪だ。何度も言わせるな」


 しかし……。

 そう思い口を開こうとした折に私は両腕を恐ろしき者たちに掴まれてしまう。


「私はどこへ行くのですか」


 そう問えばお偉い方は答える。


「何度も言っておるだろう。地獄だ。それも数百人を殺したのだから、底の底に――」

「私が殺したのは一人です。それに私はその者にすべてを奪われたのです」


 お偉い方は首を振る。

 そこで思わず私は叫んだ。


「死人には呪い殺すことさえ許されないのですか」


 そう。

 私は死人。

 全てを奪われた故に相手を呪い殺したのだ。

 ――しかし。


「ならば、何故船を沈めたのだ。呪いならば一人にかければよいだろう?」


 お偉い方――いいえ、閻魔様曰く手段が悪すぎたのだと言います。

 非常に納得がいきません。


 私が恨みを持つ相手は船長でした。

 故に、自らの船が沈み、挙句に自らの責任で多くの人間が死ぬ。

 これ以上ない苦しみだと思い呪ったのに――。


 呆然とする私を閻魔様の使いがゆっくり、ゆっくりと地獄へと引きずり下ろします。

 まるで、海に沈む死人のように。



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