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第三十話 半分だけの告白


探索ギルド本部。


夕方。


人通りが

少ない

時間帯。


林野和也は、

佐山孝也を

ギルド長室へ

呼び出していた。


向かい合って

座る。


テーブルの

上には、

二つの

紙コップ。


コーヒー。


湯気が、

細く

立つ。


「緊張

しているか?」


林野が

聞く。


「少し」


正直に

答える。


林野は、

頷く。


「安心しろ。

詰問では

ない」


沈黙。


林野は、

カップを

手に取る。


一口。


「君は、

異世界に

行ったことが

あるな?」


核心。


佐山は、

目を

伏せる。


否定すれば、

嘘になる。


肯定すれば、

全てが

変わる。


「……あった」


短い

返答。


林野は、

表情を

変えない。


「どれくらい

いた?」


「長い」


「勇者だったか?」


佐山は、

一瞬

止まる。


そして、

首を

振る。


「違う」


嘘では

ない。


自分は、

勇者と

呼ばれて

いただけだ。


林野は、

それ以上

踏み込まない。


「君は、

力を

隠したい」


「理由は

聞かない」


「だが、

覚えておいて

ほしい」


林野は、

真剣な

目で

言う。


「君の力は、

誰かを

守るための

ものだ」


「兵器に

するつもりは

ない」


佐山は、

少し

驚く。


「俺は、

君の味方だ」


その言葉は、

重かった。


佐山は、

ゆっくり

頭を

下げる。


「……ありがとうございます」


林野は、

微笑む。


「これ以上は

聞かない」


「代わりに、

頼みがある」


「何ですか」


「暴れすぎるな」


苦笑。


佐山も、

わずかに

笑う。


「努力

します」


会話は、

それで

終わった。


廊下。


佐山は、

胸を

押さえる。


(半分だけ

話したな)


それで、

十分だ。


全部を

明かす日は、

まだ先。


その夜。


あかねから

メッセージ。


『林野さんと

話しました?』


佐山は、

少し

考える。


『少しだけ』


すぐに

返信。


『無理

しないで

ください』


短い

文章。


だが、

優しい。


佐山は、

端末を

閉じる。


守りたい

ものが、

増えていた。


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