第二十七話 ミナの告白
ギルド医療棟。
白い廊下。
消毒液の
匂い。
佐山は、
静かに
歩いていた。
面会許可。
林野から、
正式に
下りている。
理由は、
一つ。
ミナの
経過確認。
扉の前で、
一度
深呼吸。
ノック。
「どうぞ」
少女の声。
部屋に
入る。
ベッドの上に、
ミナが
座っていた。
小柄。
淡い金髪。
青い目。
顔色は、
かなり
良くなっている。
「体調は?」
「大丈夫です」
小さく
笑う。
その笑顔に、
胸が
少し
締め付けられる。
「佐山さん」
「ん?」
ミナは、
シーツを
ぎゅっと
握る。
「私……
夢を
見るんです」
佐山は、
黙って
聞く。
「知らない
世界」
「空が、
二つあって」
「大きな
城が
あって」
佐山の
指が、
わずかに
動く。
異世界の
王都。
「そこで……」
ミナは、
顔を
上げる。
「佐山さんと
同じ顔の人が、
戦ってる」
沈黙。
部屋の
空気が、
重くなる。
「剣を
持って」
「仲間と
一緒に」
「私を、
守って
くれる」
佐山は、
目を
閉じる。
(来たか……)
ミナは、
恐る恐る
続ける。
「その人、
みんなから
勇者って
呼ばれてます」
心臓が、
一拍
遅れる。
「……怖い
ですか?」
ミナが
聞く。
佐山は、
首を
振る。
「違う」
「少し……
懐かしい
だけだ」
ミナは、
驚く。
「じゃあ……」
佐山は、
ベッドの
横に
座る。
「全部は
話せない」
「でも、
否定は
しない」
ミナの
目が、
潤む。
「やっぱり……」
佐山は、
静かに
言う。
「俺は、
異世界に
行っていた」
「戦っていた」
「帰って
きた」
それだけ。
勇者という
言葉は、
使わない。
ミナは、
しばらく
黙る。
やがて、
小さく
笑う。
「佐山さんは、
佐山さんですね」
「それで
いい」
胸の奥が、
少し
軽くなる。
「誰にも
言うなよ」
「言いません」
即答。
「約束です」
指を
差し出す。
佐山は、
少し
迷い、
小指を
絡めた。
「約束だ」
ミナは、
嬉しそうに
頷く。
佐山は、
立ち上がる。
「無理
するな」
「はい」
部屋を
出る。
廊下を
歩きながら、
佐山は
思う。
一人目。
完全な
正体バレでは
ない。
だが、
確実に、
一歩
進んだ。
もう、
後戻りは
できない。




