第二十六話 Sランク探索者との模擬戦
ギルド本部。
中央訓練棟。
普段は、
一般探索者が
立ち入れない
区画。
その日は、
珍しく
解放されていた。
理由は、
一つ。
Sランク探索者
来訪。
現役で、
国内最強格。
名前は、
鷹宮剣也。
三十代前半。
長身。
鋭い目つき。
重厚な
黒装甲を
身に纏う。
観覧席には、
職員。
上級探索者。
そして、
林野和也。
訓練場の
中央。
向かい合う
二人。
鷹宮剣也。
佐山孝也。
ざわめき。
「なんで
Cランクが
相手なんだ?」
「事故だろ」
「即死するぞ」
林野が、
手を上げる。
静まる。
「模擬戦だ。
殺し合いでは
ない」
「防御結界は
最大出力」
佐山は、
深く
息を吐く。
(面倒だな……)
逃げ場は
ない。
ここで
断れば、
さらに
疑われる。
鷹宮が、
ニヤリと
笑う。
「安心しろ。
加減は
する」
「……どうも」
開始の
合図。
次の瞬間。
鷹宮が、
消える。
佐山の
視界から。
(速い)
本物の
Sランク。
背後。
風圧。
佐山は、
半身で
かわす。
拳が、
頬を
掠める。
床が、
砕ける。
観客が、
どよめく。
佐山は、
反撃しない。
ひたすら
避ける。
鷹宮は、
笑う。
「ほう……」
速度を
上げる。
連打。
佐山は、
最小限の
動きで
捌く。
(当たると
まずい)
力を
使えば、
終わる。
だが、
それは
できない。
一瞬の
隙。
佐山は、
足を
払う。
鷹宮の
体勢が
崩れる。
肘打ち。
胸に、
軽く
当てる。
それだけで。
鷹宮が、
後方へ
吹き飛ぶ。
結界に
激突。
場内、
静寂。
佐山は、
目を
伏せる。
(やりすぎた)
鷹宮は、
立ち上がる。
口元から、
血。
だが、
笑っている。
「……面白い」
林野が、
手を上げる。
「そこまで」
勝敗は、
つかない。
だが。
誰の目にも、
明らかだった。
Cランクでは
ない。
鷹宮は、
佐山に
近づく。
「お前、
何者だ?」
佐山は、
答えない。
鷹宮は、
肩を
すくめる。
「まあいい。
また、
やろうぜ」
佐山は、
小さく
頷いた。
観覧席。
林野は、
確信していた。
(帰還者だ)
まだ、
証拠は
ない。
だが、
間違いない。
歯車は、
さらに
大きく
回り始めていた。




