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第二十五話 元勇者パーティーの痕跡


第七ダンジョン。


中層二十階。


探索者たちが、

慌ただしく

動いていた。


通路の壁に、

深く

突き刺さった

黒い矢。


床には、

砕けた

魔石片。


「これ……

普通の

魔物の攻撃じゃ

ないぞ」


現場検証を

行っているのは、

調査班。


その後ろに、

林野和也が

立つ。


腕を組み、

黙って

見つめている。


調査班員が、

報告する。


「矢じりの

素材が、

地球由来では

ありません」


「金属でも、

骨でもない」


林野は、

目を細める。


「異世界系か」


「可能性が

高いです」


矢の根元。


布切れが

絡まっている。


紫色。


微かに、

金の刺繍。


林野は、

それを

手に取る。


(見覚えが

ある……)


資料室。


古い

映像ログ。


ダンジョン重なり

発生時の

記録。


そこに映る、

五人の影。


鎧姿の

男。


杖を持つ

黒い肌の

女性。


弓を構えた

小柄な影。


林野は、

布切れと

照合する。


刺繍の模様が、

一致。


「……やはりか」


そこへ、

高瀬が

入ってくる。


「解析結果です」


「矢に

残っていた魔力、

異世界座標を

示しています」


林野は、

深く

息を吐く。


「向こうの

住人が、

こちらに

来ている」


「あるいは……」


林野は、

言葉を

選ぶ。


「元々、

こちらに

来ていた者たちが

動いている」


高瀬が、

顔を強張らせる。


「帰還者……?」


「可能性は

高い」


林野は、

資料の山を

見渡す。


「そして、

この痕跡……」


布切れを

掲げる。


「五人組だ」


高瀬が、

目を見開く。


「パーティー

編成と

一致します」


林野は、

静かに

頷く。


「勇者。

聖女。

剣士。

盗賊。

魔導士」


「まるで、

物語の

テンプレだな」


「だが、

現実だ」


その頃。


佐山孝也は、

自宅の

小さな部屋で、

布切れの

写真を

見ていた。


匿名で

送られてきた

内部共有資料。


差出人は、

不明。


だが、

中身は

本物だ。


「……フィオの

マント」


呟きが、

漏れる。


小柄な

盗賊。


いつも

笑っていた。


軽口を

叩きながら、

背中を

任せられる

仲間。


(生きて

いたのか)


胸が、

ざわつく。


ありえないと

思っていた。


異世界に

取り残された

ままだと。


だが、

現実は

違う。


彼らも、

この世界に

来ている。


しかも、

何らかの

理由で

動いている。


敵か。


味方か。


わからない。


佐山は、

写真を

消す。


「面倒な

ことに

なってきたな……」


再会を、

望んで

いなかった

わけではない。


だが、

平穏な

生活は、

確実に

遠ざかる。


佐山は、

ベッドに

腰を下ろす。


天井を

見つめる。


「俺は、

探索者だ」


何度も

繰り返す

言葉。


だが、

その言葉は、

少しずつ

重みを

失い始めていた。


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