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第二十三話 不自然な戦闘記録(後半)


訓練場の

隅。


ベンチに、

腰を下ろす。


佐山は、

水筒の

蓋を開けた。


一口、

飲む。


冷たい。


喉を

潤す。


背後から、

足音。


軽い。


聞き慣れた。


「佐山さん」


長田あかねの

声。


振り返る。


彼女は、

いつもの

制服姿。


少し、

困ったような

笑顔。


「どうか

しました?」


佐山は、

そう言った。


あかねは、

ベンチの

隣に座る。


「最近、

ギルドが

騒がしいんです」


「そうか」


短く

答える。


あかねは、

横目で

佐山を見る。


「佐山さんって、

前から

こんなに

強かったですか?」


来た。


佐山は、

水筒の

蓋を閉める。


「地道に

やってただけだ」


「急に、

伸びすぎじゃ

ないですか?」


「成長期だ」


即答。


あかねは、

ぷっと

吹き出した。


「探索者に

成長期って

あるんですか」


「ある」


「初めて

聞きました」


軽い笑い。


だが、

あかねの目は

笑っていない。


探る目。


佐山は、

視線を

逸らす。


(鋭いな)


沈黙。


あかねが、

小さく

息を吸う。


「佐山さん。


もし……

もしですよ?」


「普通じゃない

事情が

あったとしても」


「私は、

変わりませんから」


佐山は、

眉を

わずかに動かす。


「どういう意味だ」


「そのままの

意味です」


あかねは、

にこっと

笑う。


だが、

どこか

真剣。


「佐山さんは、

佐山さんです」


胸の奥が、

少し

痛む。


「……ありがとな」


あかねは、

満足そうに

頷いた。


その時。


訓練場の

扉が

開く。


林野和也。


背後に、

数名の

職員。


場の空気が、

一気に

引き締まる。


林野は、

佐山に

近づく。


「少し、

時間を

もらえるか」


来たか。


佐山は、

立ち上がる。


「構いません」


あかねが、

不安そうに

見る。


佐山は、

小さく

頷く。


別室。


簡易応接室。


テーブルを

挟んで、

向かい合う。


林野は、

穏やかな

表情。


だが、

目は

鋭い。


「佐山君。

最近、

活躍が

目立つ」


「そうですか」


「君は、

自分を

Cランク探索者だと

思っているか?」


佐山は、

一瞬

考える。


「そう

登録されています」


林野は、

微笑む。


「否定は

しないんだな」


「評価は、

他人が

決めるものです」


林野は、

頷く。


「いい答えだ」


沈黙。


林野は、

指を

組む。


「一つだけ

聞こう」


「君は、

ダンジョンに

入る前から

戦闘経験が

あったか?」


核心。


佐山は、

ゆっくりと

息を吐く。


「……少し」


林野は、

それ以上

追及しない。


「そうか」


柔らかい

声。


だが、

確信の色。


「今日は

それだけだ」


佐山は、

立ち上がる。


「失礼します」


部屋を出る。


廊下を

歩きながら、

佐山は

思う。


(もう、

時間の問題か)


完全に

隠し切るのは、

難しい。


だが。


まだ、

名乗らない。


名乗る

理由が

ないからだ。


佐山は、

拳を

握る。


「俺は、

探索者だ」


その言葉を、

もう一度

心の中で

繰り返した。


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