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第三十二話 あかねが聞いてしまう


ギルド本部。


夜。


あかねは、

受付の

端末前で

資料整理を

していた。


静かな

時間。


だが、

背後に、

微かな

気配。


誰も

いないはず。


(……気のせい?)


再び、

端末に

向かう。


メールを

確認。


佐山から

未読通知。


「……また

ダンジョン?」


手を止め、

返信を

打とうと

したその時。


扉の向こうから、

声。


低い声。


「あの……」


振り返ると、

林野和也。


「あかね、

少し来い」


短く、

言われる。


あかねは、

戸惑いながらも

立ち上がる。


林野は、

廊下の

隅へ

誘導する。


「佐山のことだ」


小声。


「最近、

変化がある」


あかねは、

息を呑む。


「何の変化?」


林野は、

慎重に

口を開く。


「戦闘力が、

常人の

域を超えている」


「……やっぱり」


あかねの

心が、

ざわつく。


「昨日も、

異世界由来の

魔力を

察知していた」


言葉の

意味が、

はっきり

分かる。


「……佐山さんが、

あの人?」


林野は、

小さく

頷く。


「だが、

本人は

隠している」


「守るために」


あかねは、

少しだけ

目を見開く。


「……私、

知らないふりで

いいんですか?」


林野は、

首を振る。


「観察だ」


「暴露では

ない」


あかねは、

納得しつつも

胸が

高鳴る。


「……でも」


「近くにいると、

わかっちゃうかも」


あかねは、

小声で

呟く。


その時。


廊下の

端で、

小さな声。


「……俺、

隠すつもりは

あるんだけどな」


あかねの

心臓が

跳ねる。


思わず、

息を殺す。


佐山の声。


隠れて聞いた、

つもりは

ないのに。


(……聞いちゃった)


胸が、

熱くなる。


林野は、

静かに

笑う。


「気にするな」


あかねは、

小さく

頷く。


佐山の

秘密が、

少しずつ

近づいて

くる。


だが、

彼女は、

まだ、

守る。


誰よりも

近くにいて。


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