第三十一話 異世界勢力の刺客
夜。
市街地。
ギルドから
離れた、
古い
倉庫街。
佐山孝也は、
一人で
歩いていた。
遠回りの
帰宅ルート。
最近、
尾行の
気配が
ある。
(来るなら、
ここだ)
街灯の
光が、
途切れる。
足音が、
止まる。
空気が、
変わる。
背後。
「……久しぶりだな」
低い声。
佐山は、
振り返る。
フードを
被った
男。
人間。
だが、
魔力の
質が
違う。
異世界由来。
「誰だ」
男は、
フードを
外す。
尖った耳。
ダークエルフ。
「名乗る
ほどの
者でも
ない」
「ただ、
確認に
来ただけだ」
佐山は、
目を
細める。
「何を」
「勇者が、
この世界に
いるかどうか」
沈黙。
佐山は、
答えない。
男は、
笑う。
「その反応……
間違いない」
一瞬。
男の
姿が
ブレる。
佐山は、
前に
出る。
拳と
拳が
ぶつかる。
衝撃波。
倉庫の
壁が
ひび割れる。
佐山は、
後退。
男は、
楽しそうに
笑う。
「やはりな」
「戻って
いたか」
佐山は、
低く
言う。
「帰れ」
「それは
できない」
男の
背後に、
魔法陣。
黒い
光。
召喚。
異形の
魔物。
二体。
佐山は、
舌打ち。
(仕方ない)
短剣を
抜く。
純化魔力。
一体を
瞬殺。
もう一体が
突進。
かわし、
首を
落とす。
男は、
眉を
上げる。
「昔より、
丸くなったな」
佐山は、
睨む。
「お前、
アドルか?」
男は、
肩を
すくめる。
「さてな」
だが、
否定しない。
「勇者。
向こうは、
まだ
お前を
必要としている」
「戻れ」
佐山は、
即答。
「行かない」
男は、
溜息。
「そう
言うと
思った」
足元の
魔法陣が
光る。
転移。
男の
姿が
消える。
静寂。
佐山は、
短剣を
下ろす。
(本物の
アドルか、
それに近い
存在か)
いずれにせよ。
異世界側は、
自分の
存在を
把握した。
もう、
隠れきれない。
佐山は、
空を
見上げる。
「面倒な
ことに
なったな……」




