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「アルバ……お、お前もずいぶん立派になったもんだな。俺んとこのチビもみんなお前の話で持ちきりだよ。活躍を見るたびに話題に上がるんだ」
「バル。それは嬉しい。それだ、バルにもプレゼントがあるんだ」
「へ?なんだ?どんなプレゼントだ?」
宝玉なんて物は腐るほどある。
だから、いくつもそれを持ってきていた。
もちろん、レイバの誕生日パーティーだからレイバの物が一番立派であるのは間違いない。
「ほら、これはゴーレムの宝玉だ。売ったらかなりの値段になるはずだから、持っておくといい」
「な、で、でもなぁ。そんなに高価な物なぁ……」
「子供がいると大変だろう。もらっておいてくれ」
前に会ったときとは違い、遠慮をするバル。
それもそうか。あのときよりも俺は奉り上げられている。
簡単に返事をすることもできなくなっているのだろう。
「でも、子供ももう独り立ちしだしてるからさ。仕送りがあるからなんとかなってんだよ」
「それでももらっておいて損はないだろう。これは俺なりの感謝の印なんだ」
「そ、そうか……なら、もらってもいいか?」
「もちろん」
きっと、俺と出会う前にいろんな人間からレクチャーを受けてるのだろう。
いろんなことを議論した結果、ここにいるに決まっていた。
何度か予行練習もしたことだろうな。
俺とどんな風に会話をするのか練習したはずだ。
それなのにギクシャクしている。
それだからギクシャクしていることを願う。
「いきなりで申しわけなかったな。それではパーティーを始めるとするか?」
「そ、そうだね。ご飯とかもこれから来てくれるみたいだけど、とりあえずは乾杯しちゃう?」
「そうするか。それにしても、高いワインだな。これはセットに付いてきたのか?」
たしかにここを貸し切るのにはそれなりの値段を使った。
しかし、それを考えても高価なワインがテーブルに並んでいた。
これは誰かが持ってきた物かもしれない。
もっと言うと渡された物かもしれない。
「あ、あの。アルバと会うってなったからプレゼントしてもらったの。うん」
「いや、それはレイバの誕生日があったからじゃないのか?誕生日パーティーの話の中でそうなったんだろ?」
「そんな、私なんかのためにこんな高価なワインが用意されるわけないよ」
嘘でもいいから誕生日プレゼントだと言えばいいものを。
わざわざ俺のために買ってきたというのが丸分かりではないか。
こんなことをされて喜ぶような人間だと思われているのは少し心外だった。ただ、もう心外だと感じることには慣れたのだ。
こんなぎこちない軽口でも嬉しく感じてしまうほどに酷い孤独に悩まされている。これも全て仕方がないことなのかもしれないが。
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