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あれから何度かレイバと連絡を取った。
その結果、四人で集まってパーティーをすることとなった。
懐かしい。
俺たちは同じパーティーで苦しさを分け合いながら戦っていたんだ。
―――――
「アルバ!後ろ危ない!」
「うお!危なかった!ありがとうレイバ!」
「どういたしまして!気をつけないとダメだよ?」
「そうだな。その通りだ」
ゴブリンの群れに囲まれていた俺たちは連携を取る。
射程が短い俺はこういう雑魚的相手だとお荷物だ。
一匹一匹を刺していかないといけないから大変なんだ。
「ふぅ。とりあえずはこれで片付いたね」
「そうだな。悪い、今回も迷惑をかけた」
「そんなこと言わなくていーの。それでやるって決めたんでしょ?」
俺はこの包丁を信じている。
実際、普通じゃ倒せなかったはずのボスを倒せてるのもコイツのおかげだ。
たしかに射程は短いし、使い勝手も悪すぎる。
でも、その攻撃力は本物だ。
まだまだ俺が弱いから何度も刺さないと倒せないが、もっと強くさえなければ一撃でも敵を倒せるはずだ。俺はこの武器を信じている。
「アルバ。馴染んできたか?その武器」
「そうですね。もう少しでなにかが掴めそうなんです……なにか特別な物が得られそうなんだ……」
「ソイツはよかった。俺たちのことは気にしないでいいからさ?お前はお前の信じる道を行ってくれよ」
「ありがとう……バル」
バルはタンクをやってくれている。
俺よりも大分年齢は上なのに最前線で俺たちのことを守ってくれているのだ。
その優しさに触れると痛いと感じることもある。
それでも、俺は自分が信じたことを貫くだけだった。
「そうだ。この前、妻が妊娠したって言っただろ?実は娘だったんだよ。楽しみだなぁ……」
「たしか、六人目でしたっけ?」
「……いや、十人目だ」
バルは子だくさんだ。
だから、子供のために一生懸命働いている。
俺にはそういう生活はできなさそうだ。
今はまだそういうイメージなんてできない。
―――――
無駄なことを思い出してしまった。
バルは俺が成功するとすぐに金の無心に来た。
お世話になったこともあって、それに応えることはしてやった。
が、それから会うことなどなくなった。
力によって変わってしまった人間を見るのには慣れていなかったからだ。
今回のパーティーにはバルも来るのだろうか。もし仮に来るのだとしたらいくらでも金を与えてやる。それで孤独が解決するならばもうそれで十分だ。
力を手にしてすぐの俺にはわからないことがあったんだ。今なら受け入れられる気がするんだ。
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