表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
まさかの最強武器【包丁】を使ってダンジョンを無双した後の世界  作者: 豚煮豚
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/18

9

 

「まぁいい。今日は本当におめでとう。レイバ」


「ありがとう、アルバ」


「みんなで一緒に世界を回っていたころか一番楽しかった。もう、あのときは戻ってこないのだと思うと少し寂しいが、みんなのおかげで無事に魔王城すらも攻略することができた。

 本当はみんなのおかげなのだ。それだから、俺はみんなに恩返しがしたいと思っているし――」


 あらかじめ考えていたことを喋ろうとした。


 が、「仲良くしたいと思っている」と言おうとしたときに詰まった。


 これを言うことがどういう意味を持つのか、俺が一番わかっている。

 なによりも臆病なのは俺だ。

 怯えられることはいいことではない。


「……まぁ、話ばかりしても無駄だな。レイバおめでとう」


「ありがとうございます。アルバ」


「……プレゼントもあるんだ」


 俺は持ってきた宝玉をレイバの目の前に出す。


 それは拳ほどの大きさがあって、おそらく数十億にも及ぶ価値がある。


 もう俺にはこんなもの必要ないんだ。


「こ、こんなの受け取れるわけないです……あ、受け取れるわけないよ」


「受け取ってほしいんだ。なんにも使い道がないから、誰でもいいから受け取ってほしかったんだ」


「アルバ……アルバ、なんか……」


 レイバはなにかを言いかけてやめた。


 なんだ?一体なにを言おうとして止めたんだ?


 俺はその言葉の先が気になって仕方がなかった。

 が、それは沈黙になってしまう。


「……」


「まぁ、いい。とりあえず、ここに置いておくぞ。俺はもう帰ることにする。もしも、もしも本当に必要ではないんだとしたら他の人間にでも渡せばいいはずだ。それでいい」


「アルバ……もう帰るの?」


 俺がこの場に居ても誰も嬉しくなんてないだろ。


 それならば俺がこの場から去った方がいいはずだ。


 もう、俺が誰かと話そうとしたこと自体が間違っていたんだ。

 俺はもう孤独の中で死んでいくしかないみたいだ。


「帰る。また、レイドボスが来たときには連絡すればいい」


「……」


「またな。まぁ、また会うことがあるのかはわからないが」


 もう二度とこんなパーティー開くものか。


 このホテルにいる間もずっと誰かに監視されているような気がする。


 本当に俺が居るべき場所はもうここにはないのだ。

 まるでモンスターかなにかのように扱われるしかもう俺には道がない。


 俺は瞬間移動をして、魔王城まで戻ってきた。ここには俺以外の誰もいない。それは痛いほどの孤独だったが、無駄な心の波立ちがないのはそれはそれで楽だった。なにかを悩む必要なんてどこにもない。なんにも心配するようなことはない。孤独にさえ耐えられればそれでいいのだ。




応援本当にありがとうございます!!

他にもたくさん同時連載してます!

もしよかったらみてみてね?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ