漂うモノ
体の感覚がない。
あたりは暗闇に包まれ、
月明かりのみが我が身を照らす。
何だこれは。
体と呼んで良いのかわからないが、
蒸し風呂の中のような熱さ、
じめじめした感覚のみが体を支配する。
何もできずじっとしているしかない。
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一夜明け、
膨れ上がるような、
切り裂かれるような痛さが全身にこだまする。
太陽だ。
体がより一層熱を帯びる。
朝が来たのだ。
辺りを見回す。
視線の先には大海原。
降りれば何とか助かりそうだ。
胸を撫で下ろす胸もなく、
あたりが暗くなる。
親玉様がやってきた。
この世界に現れた突然変異。
莫大な力を持ったそれは、
この世を滅ぼす気も起こしそうな
大きな大きな体を持っている。
今の機嫌はいい方だ、怒りに満ちている。
まずい。
大地を切り裂く音と共に無数の同志たちが
海へ打ち付けられ、姿を失う。
こののままでは助からない。
どうする…考えろ。
ポチャ、、
耳にかすめる優しげな音。
沈むように、溶けていくように。
「漂うモノ」は旅路を終える。
お読みいただきありがとうございます。
今回は一風変わって、散文のようなものを書いてみました。
理科で教わった水の循環。見方を変えるととても壮大です。