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salvation magician

虚幕 神魔の魔術師

作者: WaffleEX

エイプリルフールなので、なんか書いたよ!

かの戦争の決着後、一人の少女は戦後処理に追われていた

世界に残っている()の殲滅、それが少女に課せられた仕事だった


しかし…

「へぶっ!」

都心の公園で散歩をしていた少女は見事にずっこけた。なんとか腕で頭を地面に直撃させることは防いだが、少し前まではそれすらできないでいた


少女は立ち上がろうとしたが立ち眩みを食らい地面に膝をついてしまう。そんな少女に最愛の相棒が手を差しのべた

「大丈夫? やっぱ杖無しで歩くのは早かったんんじゃない?」

手を差しのべた人物は少女のパートナー兼恋人である光希真長であった。少女が立ち上がると光希は魔法使いが使うような大きい杖を少女に渡した


木でできた棒の先端の三日月部分に少女の顔と同じ大きさの紫色の水晶がはめられており、少女よりも一頭身程大きい杖。少女はそれを手に持ち松葉杖の要領で使うことで安定した立つことができた


「ありがとう真長、やっぱまだ慣れなくて」

「いいよ、君の場合は仕方ないことだからね」

その後は二人並んで公園内を散歩した、少女は歩くのが遅いが光希は嫌な顔をせずに少女と歩幅を合わせて歩き、少女もその好意に甘えていた

少女は光希に甘えられるのが嬉しく、光希にとっても少女からの甘えは嬉しい、まさにWin-Winの状態で二人はデートを楽しんだ


公園を一周し、二人はベンチで休憩を取っていた

少女は身体か弱かったが光希との時間が楽しくてその事を忘れてしまう節があるため、こうして定期的に休憩を取ることにしたいたのだ


二人並んで冷たい缶コーヒーを飲んでいると光希のスマホに電話が掛かってきた、画面を確認すると「夕凪姉」と表示されていた

「もしもし? 何か仕事ですか?レイさん」

応答を押してスマホに耳をあてると、「低い声を出そうとする幼女」というギャップが凄い声が聞こえてきた

「そうとも言えがそうじゃないとも言えるのぉ」


「どゆこと…です?」


「警告だ、お前さんの近くにあっちの堕天使が潜んでる」


「なる…ほど」

二人は今日休み、そのため敵を倒す義務はない。しかし、このまま二人で散歩をしていても堕天使の悪巧みに巻き込まれて台無しにされる可能性がある…

「その堕天使、私達で倒してもいいですか?」


その提案を聞いてスマホから「ぷふっ」と笑い声が聞こえてきた

「ああ、もちろん構わんよ。でもそんなに二人の時間が大切なん…」

相手が言い終わる前に光希は電話を切った


光希は隣で缶コーヒーを飲む少女に目を向ける。肩がくっつくほど近い距離にいたため少女も大体の内容を理解していた


光希のスマホに位置情報が送られてきた、場所はここから歩いて数分のところの完成間近のビル。人払いはもう済んでいるらしい

「さってと、早く終わらせよう」


「そだね!」

二人はベンチから立ち上がり、周囲に人が居ないのと監視カメラがないことを確認すると、少女は持ってる杖を宙に浮かせてその上に腰かけた

少女も普段は歩くようにしているが、仕事の際にはこうして杖での飛行が移動の主流だった


「それじゃあ、出発ー」

そう言って少女は自転車ほどの速さの飛行で目的地まで飛んでいった、速度か速度だったため光希が置いていかれることもなく少女についていった



光希に送られた場所は、首が痛くなるほどの立派な高層ビルが建ってられていた。幸い完成はしているがまだ使われてはいないため人的な被害はなかった


「とりあえず私は内から攻めるから、外をお願い。とりあえず最上階で合流しよう」

こういう時は二人一組で動くのが鉄板なのだがビルの外壁に細工をされている可能性があり、光希のドローンでは感知することができないで可能性もあったのでここは少女に任せることにした


「アイアイサー」

そう返事をすると少女はビルの上層へと飛んでいった。少女が飛び立つのを見上げてからビルの中へと入っていった


中は思ったよりもくらく、光希はポケットからピンボールサイズの小型ドローンを取り出し天力を注いで起動させ辺りを照らさせた


何事もなく一階のエレベーターまで到達できたが電気が通っておらずエレベーターは稼働していなかった

(…おかしい。完成しているのなら電気はとおってるはず…)

光希の頭には一つの憶測が浮かんでいた、何かが電気の流れを止めてしまっている

その憶測の確認のために光希はエレベーターに自らの天力を流し込んでみた…するとビルの外に流れようとする天力が何かの力によって弾かれた、天力に抵抗できるのは同じ神秘の力のみ

「天域…確定かな」


天才である光希ですらここが天域であることに気づけなかった、相手は相当天力を隠すのが上手いのだろう

というよりはそれを目的として作られた天域なのだろう

普通の天使殺しでは感知できない天力で作り、ビルに人が入ってからも何もしなければ対天使局からマークされない拠点の完成ということだ


しかし、対天使局の情報収集マスターの手によって簡単に感知されてしまった。改めて光希はレイさんの凄さを噛み締めた


光希の天力の本質は「電気」のため、エレベーターの電源が入った。光希はエレベーターに乗って最上階のボタンを押して到着を待っている間に無線で少女に連絡をした


「…という感じ」

少女に軽く状況の説明をして、模写結界を張る指示をした。模写結界とはその空間を模倣した小さな世界を生み出す少女の神技の1つ、少女が模写結界を張り終われば建物の被害を考える必要がなくなり思いっきり戦うことができる



「OKOKオッケー」

光希からの指示を聞いてから、少女はビルを見下ろせる高さまで飛行して、杖と同じ飛行術式を自分にかけた


杖から腰を下ろし目視でビルの大きさを確認して術式の大きさを計算をする

広さ、高さ、強度、質量、重量などの目視で確認できる情報を速攻(0.04秒)で叩きだし、杖をビルに向けて少女は術式を組始めた


無数の世界に存在しない文字列が少女の杖の水晶に集まっていく。そして、少女の背後に金と銀の二つの術式陣が展開され、それにリンクするようにビルの建つ地面にも同じ術式陣が展開された


「天魔術 模写結界」

少女が杖を横に振ると金と銀の二つの術式陣が重なり、膨大な天魔力がビルとその周囲を包み込んだ...




エレベーターで上に向かってる途中、光希は模写結界の発動を肌で感じたと同時にビル内部に最愛の相棒以外の天力を感じ周囲を警戒した…


そして、エレベーターが20階を越えたタイミングで四方八方から鋭利な木の根がエレベーターの壁を突き破って光希の体を貫こうとした


「本性みせたね!」

木の根が壁を突き破った瞬間に光希はエレベーター内に充満させていた自身の天力に一気に電気を流し込む。周囲が青白く光輝き光希の放った電気によって木の根が電気分解によってボロボロと崩れる


敵の奇襲を耐えることができたがエレベーターは壊れてしまい、これ以上上に行くことはできなくなっていた。エレベーターが落下をしないうちに扉を蹴破り20階へと降りた


あっちから仕掛けてきたということは天域の持ち主は真っ黒、敵で確定ということだろう。もし友好的な堕天使の場合はあれこれと面倒くさいことになっていたが、これならすぐにデートに戻れそうだ

そう思うと光希はつい口を緩めてしまい、慌てて両頬を叩いた


敵は木の根を使って攻撃してきていた、おそらく自然系統の権能なのだろう。だとしたら光希の扱う電気との相性は中の上ぐらいだろう、炎よりは不利だが水や風よりはうまく戦えそうだ

しかし、木の材質を通電する素材に変えられたら相性は最悪になるだろう…そう思って辺りを見渡したら


「…はぁ。私もそろそろフラグのことを信じようかな」

見事に上下の床を貫き、鉄で作られた根が光希のことを囲い鋭利な先端を突き付けた


「これ…壊せるかな…」

鉄の根が一斉に光希貫こうとする。光希はさっきと同じように周囲に強力な電気を発したが、鉄の根を崩すことはできなかった


壊せないことを想定していたため光希が焦ることはなく、宙に浮かせていたピンポン玉サイズのドローンに片足をのせて空中へと回避をした


すかさず鉄の根は光希に追撃をする…

「あれでダメなら…」

そう呟き、光希は周囲に発していた電気を解除した。その代わりに右手に電気を圧縮させ光希の右手が青白く光る

そして、追撃してくる鉄の根を光輝く右手で殴った。もちろん鉄の根は粉砕だ


「電気がダメなら物理的に壊せばいいだけ…だもんね」

昔に最愛の相棒から教えてもらった教えを呟き、光希は反対の手にも電気宿した。そして、無数の鉄の根に向かって突撃していった…


少し昔までは苦手だった近接戦闘も今となれば武器の一つにカウントできるぐらいの力量にまで高めることができた。自分の成長を懐かしがりながら目の前の鉄の根を次々と破壊していく


ある程度鉄の根を破壊したところで、天力を連結・改造する術式(ホログラムクリエイト)で細身の鎌を生み出す

そして、一気に周囲の根を薙ぎ払い、奥に隠れていた堕天使を睨みつける


堕天使は鉱石型で、天力の感じも最上位天使クラスのものだった


(これは、少しやる気を...)

光希がそう息巻いたタイミングで、堕天使の背後のガラス窓から真っ逆さまの少女が堕天使に向けていた


それを見て、光希はとっさに横に飛び杖の射線から離れる


光希が射線から離れた瞬間、杖から放たれた巨大魔術砲が堕天使に放たれる

その光は、あまりにも理不尽な火力をしており。堕天使はなすすべなく灰も残らず消えていった


久しぶりの実戦なのだが。少女の圧倒的神秘をもってすれば、あの程度の相手は戦いにすらならないのだろう。それに、少女は早くデートを再開したい一心で一切加減をしていなかった


少女は吹き飛んだ窓の穴から中に入り、それなりの速さで飛行し真長へと近づく


「真長、大丈夫? 怪我してたら言ってね。治してあげるから」


「平気だよ。思っていたよりザコだったからね」


「それじゃあ...早く戻ろ」

少女は恥じらいながらも、上目使いでそう言った。それが可愛くて光希は内心ドキッとしポーカーフェイスで表情を取り持ちながら「そうだね」と返した


そんな光希のポーカーフェイス(照れ隠し)を少女は一目で見抜き、隠しきれていない耳の赤さに目を向けててニヤニヤする。その視線から逃げるように、光希は目を逸らした


「そうだね、戻ろうか」


「可愛い」


「っ!?」


少女からのとっさの一言に、光希のポーカーフェイスは決壊し、一気に赤面へと変化した

そんな光希の手を取り、少女は光希と一緒にエレベーターに乗って一階まで下りて行った


「先輩、素直になりましたね...」


エレベーターで下に降りているときに、光希がそんなことを言った


「口調が昔に戻ってる。そんなに余裕ないんだ~」


「いつか絶対、私の方からデレさせるから。覚悟しててよ」


「安心してよ。あまりデレてないけど、真長のことは...ちゃんと好きだから」


そう言ったタイミングでエレベーターが一階に到着し、少女は逃げるようにエレベーターから降りる

その照れ隠しを見て、「十分デレてるじゃん」と光希真長は心の中でツッコんだ


それと同時に、神魔天姫が『最高の恋人』だということを再認識した




この話は、パラレルワールド? それとも単純に未来の話?


この世界を眺めていた()()はそんな疑問を抱くが、すぐさま興味を失った


この『自由の悪魔』にとって、自分が介入し享楽に耽れないものには価値がない

それにこれは、エイプリルフールで気まぐれに見ていただけで、悪魔自体がなにかしようとしていた訳ではない


彼女がしていたのは単なる暇つぶし。自分が東京に用意した『享楽に満ちた劇』の幕を上げるまでの娯楽に過ぎない


あの世界が何なのか、その答えを出すことなく。悪魔は今を楽しむ

春休みっていいもんだね~時間が無限に湧いてくる

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