第5話 夜のデート
18時に投稿します。お読みいただければ幸いです。
ショックを引きずりながら、葛葉を連れて米沢先輩との待ち合わせの場所に向かった。
米沢先輩は俺の顔を見ると、ニコニコしながら手を振ったが、葛葉の姿を見ると少し微妙な顔をした。
「すみません、先輩。こいつが絶対ついてくるというもので」と俺は先輩に頭を下げた。
「うん、大丈夫だよ。葛葉さんよろしくね」気を使ってくれたのか、すこし固い笑顔で葛葉に向かって言った。
「先輩よろしくお願いします」葛葉にニコニコしながら返した。
3人でぶらぶらと夜の街を探索した。俺は先輩とたわいもない話をしながら、並んで歩いた。葛葉は後ろからついてきた。
硬かった先輩の表情も緩んできて、微笑み返すようになってきた。
うん、いい調子だ。このままならば今夜の最終目標である先輩と手をつなぐというミッションも達成できそうだ。そう思った矢先だった。
後ろから葛葉が来て、「お兄、妖魔だ。それも3体、ランクは高くないみたい。でも先輩の手には余るかもしれないね」と言ってきた。
「ちょっと、先に行って数を減らして力を削いでくる」と言って「先輩ごめんなさい。ちょっとトイレに行ってきます」と言って、その場から離れた。
先輩は苦笑いしながら「行ってらっしゃい」と言ってくれた。せっかくのいい雰囲気が台無しだ。
葛葉から聞いた場所は町を流れる川の河原だった。
3匹のうち2匹が下級で1匹が中級になろうかというレベルだった。
「行け」と言って、両手を突き出すと妖魔に変わり、3匹の妖魔に襲い掛かった。
あっという間に中級と下級の1匹づつを食らい、もう1匹にかみついた。
先輩に倒させるため、力を削いでおこうと思い、その妖魔の魔力を吸収した。
妖魔は魔力を吸いつくす寸前まで吸われたため、ふらふらとなり、消滅する寸前となった。
ここまでやれば大丈夫だろう、俺は先輩を呼びに行った。「先輩、あすこに妖魔が出ました」
「妖魔はどこ。連れて行って」と先輩は意気込んで、走り出した。
俺は先導して先ほどの妖魔のところへ連れて行った。
「妖魔覚悟!」先輩がカッコよく言うと今日作ったばかりの護符を出して、投げた。俺と葛葉も真似をして、護符を出した。
先輩の護符はその妖魔に突き刺さり、妖魔は一瞬で消滅した。
先輩は喜んで、「やったわ!初めて妖魔を倒したわ」とすごく喜んで飛び跳ねていた。
「これも四葉君のおかげね」と言って俺に抱き着いてきた。
先輩抱き着き癖があるようだ。俺はとってもどきまきした。
その時、妖魔を食った反動が来た。俺は先輩を抱きしめ、キスをした。
そのあと、先輩の服を引きちぎろうとしたところで、頭に衝撃が来て、気絶した。
気が付くと、俺は自宅にて裸で寝ていた。周りを見ると、何故か葛葉のほかに絵理沙と真帆もいた。
絵理沙と真帆はあられもない姿で気絶していた。葛葉も疲れ切った表情で、座り込んでいた。白さんが心配そうに葛葉を見ていた。
「お兄、やっと正気に戻ったの」そう葛葉は言った。
どうも妖魔を食っておかしくなったらしい。
葛葉から状況を聞くと、俺は先輩を襲いそうになり、葛葉は急いで気絶させ、絵理沙と真帆を呼び出して自宅まで運ぶのを手伝わせて、精力の吸引を行ったそうだ。その結果、二人はダウン、葛葉もヘロヘロとなり、現在に至るらしい。
「でもお兄、米沢先輩やばいことになったよ」葛葉は言った。
「お兄の精力に充てられて、ヘロヘロになっていたので、新庄先輩を呼んで送ってもらったのだけど、あれ完全にお兄に惚れたよ」と深刻そうに言った。
「それはどういうことだい」俺はよくわからずに葛葉に尋ねた。
「普通の人間は、四葉の精力に当てられたら、魔力や精力に耐性のある退魔師であっても、お兄の命令に絶対服従の性奴隷になってしまうからね。まあ、強烈な媚薬に加えて催眠効果のある薬みたいかな」
「それって麻薬じゃないか。ちょっと待て、俺ってそんなに危ない奴なの?」
「まあ、魔物を食らったりして、性衝動が強く出た時で、普段は問題ないけどね。それにお兄の性衝動の対象は女性だから女性に特に強く反応して、男にはそんなでもないけど、もしお兄がそっちを好むのであれば、男を性奴隷にできるよ」
俺は黙り込んでしまった。ああ、道理で退魔師の女性から嫌われるわけだ。俺のそばにいると性奴隷にされかねないというのなら絶対に近寄らないわな。
そんな風に落ち込んでいると、ふと恐ろしいとこが頭に浮かんだ。
「もしかして先輩は、俺の精力に当てられたのか」
「うん、思いっきり。だって、抱きしめられてキスまでされたんだよ。完全に精力を浴びちゃっているよ」
俺は青くなって葛葉に尋ねた。「どうしよう。なんとかする方法はあるかな」
「う~ん。妖魔なら何とか解毒できるかもしれないど、人間は無理かな」
「ねえ、俺どういう顔で先輩に会えばいい?」
「顔見た途端、抱き着いてきて、服を脱ぎだすかも」
「やばいよ。とってもやばいよ」
そう言いながら俺は頭を抱えた。最悪のデートになってしまったと、俺は思った。
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あと一話ありますので、お読みくださると作者は嬉しいです。