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第4話 五常忠子の登場と、四葉広志の憂鬱

連載再開しました。毎日1話づつ3話投稿いたします。お読みいただければ幸いです。

 翌日、米沢先輩に指南役が付いてくれる話をしたら、「四葉君ありがとう」と言って抱き着かれた。思わず、凍り付いてしまった。人の女の子に抱き着かれるなんで何年ぶりだ。うん?昔そんなことあったっけ?おぼろげな記憶を探っていると、葛葉から「お兄、抱き着いてほしいなら私がやってあげるよ」とにやにやしながら言ってきた。

 「いや、遠慮しておく。お前、抱き着いてきたら一緒に精気を吸収するつもりだろ」

 てへって顔をしながら「ばれたか」と言ってきた。


 叔父さんから連絡があり、先生が来ることになった。退魔師学校の生徒だが、とても優秀で、特に護符の書き方については、一流の能力を持つ人のようだ。

 先輩たちは楽しみで仕方がなく、きゃいきゃいやっていた。俺は見ているだけで楽しかった。これぞ青春だな。


 先生が来る最初の日、先生を皆で校門のところで待った。黒塗りの車がすうっと正門に着き、後ろのドアが勝手に空いた。

 そこには一人の女の子が座っていた。すうっとした美人で、深窓のお嬢様という感じだった。

 「こここのたびびひは、わわわわざわわざおおいでいいたただだき…」

 部長が緊張しすぎて何を言っているのかわからない。

見かねた新庄先輩が「初めまして。この度は私たちのためにわざわざ来ていただきありがとうございます。わたくし副部長の新庄美優と申します。どうぞよろしくお願いいたします」と見事な挨拶をした。

 ところが、その子は挨拶を聞いていないのか、僕らの方をにらんでいる。

 そしておもむろに口を開いた。「あなたが四葉?」と言って俺の方を見て言った。

 「はい、四葉広志です。よろしくお願いします」と頭を下げた。せっかく叔父さんが見つけてくれた先生だ。一応丁寧にしておかないと。

 

 その子は左手で頭を支えると、ふぅと深いため息をついた。

 俺の悪名を知っているのだろう。まあ、仕方がない。おとなしくしていよう。

 その子は気を取り直したように、「それじゃ早速護符の書き方をお教えしましょう」と言って、「場所はどこでするのですか」と聞いてきた。

 とりあえず図書館に案内した。


 図書館でいつも部活をしている部屋に着くとその子は皆の前で頭を下げた。「私五常忠子と申します。皆さんに護符の書き方をお教えするよう依頼されました」と言って、テキストを配り始めた。

 中身は中級クラスの護符の書き方で、わかりやすくまとまっていた。すぐに練習を開始した。俺もまじめにやった。葛葉も一緒に部活に入った絵理沙さんと真帆さんもまじめに練習していた。

 何種類かの護符の書き方を勉強していた。

 俺が一生懸命書いていると、五常さんは米沢さんと新庄さんに何かささやいていた。

 二人の顔が赤くなり、俺の方を見て、更に赤くなって、下を向いてしまった。

 何を言ったんだ。変なこと吹き込んでないだろうな。せっかくの恋を邪魔したらただ者置かないぞとばかりににらんだ。

 五常さんは微笑みながら、俺がにらんでいるのを無視した。

 

 「今日の練習はこれで終わりです。来週また来ますが、このテキストでよく勉強しておいてください」と言って、帰ろうとした。

 その時、五常さんは「大丈夫、変なことは言っていないから。ただ、恋の後押しをしただけよ」と言って去っていった。

 恋の後押し?何のことだ?と思った。


 そんなことを考えていると、米沢先輩が来て、「四葉君、今夜妖魔を探して、新しく教わった護符の威力を確かめようと思うの。今夜探査に付き合ってくれない?」と言われた。

 俺は大喜びで夜のデートの誘いに乗った。

 先輩はニコッと微笑むと、「じゃ、学校の正門に午後9時に集合ね」と言った。

 デートじゃなくて、探査?先輩と二人で出かけるのだからデートでいいだろう。ウキウキ気分で、帰宅のため教室に荷物を取りに戻った。

 葛葉は用事があるからと言って、先に帰宅するそうだ。荷物はどうすると聞いたら、「お兄よろしく~」と言って手を振っていた。まあ、仕方がない、そう思いながら教室に行くと絵理沙さんが教室で待っていた。

 あれ、この子クラス違うよな、なんでいるんだと思っていると、「ねえ四葉君、お話があるの」と言って、すうっと俺に近づいてきた。

 俺の目の前まで近づくと、「私、あなたのことが好きなの。付き合ってくれない?」と言ってきた。思わずくらっとなる笑顔で、俺の手を取って、胸元にもっていった。

 絵理沙さんは美人で、スタイルもよく、ギャル風の格好のよく似合う、かなりの美少女だ。

 普通ならすぐにでもうなずくところだが、「気持ちはありがたいがごめん、お断りさせてもらう」と言った。

 「あら、どうしてかしら」と小首をかしげて聞いてきたので、「絵理沙さん、魅了の術、それも相当強い術を使っただろう。それにこの匂いは男を虜にして、操ることのできる香り、これはサキュバス特有の体臭だ。絵理沙さんあなたは妖魔か」と答えた。

 「あら、バレちゃった。でもこの術と香りに動じないとはさすが四葉の一族だけあるわね。でもどうしてこの香りを知っていたの?」

 「父の愛人にサキュバスがいて、父の見舞いに行った時に会ったことがあるんだよ。同じ匂いをさせていて、その匂いを嗅いだことがあるんだ。まあ、俺に対して放たれた匂いではなかったからあの時は何とか持ったけど」

 その時は葛葉にかなり精気を吸ってもらったけどね。


 「バレちゃったら仕方ないか。四葉剛志の愛人でサキュバス族の長が、私の母よ。あなたの妻になるために来たの」と言いながら、俺に抱き着いてきた。

 その時、後ろから魔力により、身体拘束の魔法が懸けられた。

 後ろを見ると、魔法使いの大きなつばのついた帽子にマントだけを着た真帆さんが俺にむかって魔法の杖を向けていた。

 「これは身体拘束の魔法、あなたは身動き一つとれない。安心して。あなたに危害は加えないわ。ただ、私達二人と気持ちのいいことをするだけよ」と言って、どす黒い笑みを浮かべた。

 はあっと、ため息をつきながら「その恰好からすると真帆さんは魔女族か。そういえば、父の愛人には、魔女族の人もいたな」

 「ええ、それは私の母、魔女族の族長にして最強の魔法を使う魔女の中の魔女よ。その血を受け継ぐ私は魔女族の中でもトップレベルの力を誇る魔女。私の拘束からは何物も逃れることはできない。あきらめておとなしくしていてくれるかしら」


 「ごめん、俺部長と約束があるからここから抜け出すね」そう言って、拘束を解いた。

 「えっ」と驚愕の表情で、真帆さんが驚いた顔をすると、抱き着いている絵理沙さんに傀儡の術をかけ、抱き着くをやめさせた。

 二人は驚愕していた。まあ、二人とも相当強力な妖魔だし、その術を破られるなんて思いもしなかったのだろう。

 「じゃ、また明日、このことは内緒にしておくから明日も部活に来てくれよな」なんせ5人以上いないと部室がもらえないそうだから2人に辞められると部長が悲しむからな。


 家に戻ると、葛葉が「お兄お帰り~早かったね~」とにやにやしながら言ってきた。

 「お前知っていただろう」というと、「え~何のこと~」というので、「絵理沙さんと真帆さんのことだよ。二人とも妖魔だったぞ。妖魔が妖魔のことが分からないはずないだろ。お前知っていて黙っていたな」

 妖魔同士長い間争っていた所為もあり、妖魔同士お互いに妖魔だとわかるそうだ。前に母さんから聞いたことがある。


 「そうだよ、で、二人とやったの?」

 「やるか!」

 「なんだもったいない、ハーレムづくりのチャンスじゃん」

 「俺は妖魔ハーレムを作るつもりはない。ドロドロぐちゃぐちゃの関係ではなく、俺は普通の恋愛がしたいんだよ。あと、今夜米沢先輩に夜の探査同行をお願いされているから、ちょっと出かけるからな」

 「お兄、私も行くからね」

 「二人のデートの邪魔をしないでくれ。俺には米沢先輩と手をつなぐという大望があるんだ」

 「妖魔の私がいる方がどこに妖魔がいるかすぐにわかるよ。それに間違って、お兄が米沢先輩と深い仲になったら…」

 「深い仲って、そこまではまだ考えていないが、なったらどうなる?」

 「おそらく米沢先輩死ぬよ。お兄の強大な精気に当てられたら、普通の人間はまあもたないかな」

 「そんな…」

 「お兄の精気に耐えられるのは、私や絵理沙、真帆ぐらいの上級妖魔でなくちゃ無理だと思うよ。いや、あの二人でも休憩を入れないと無理かもね」

 つまり俺は、絶対に妖魔としか結婚できないということか。まあ、葛葉とは結婚することになっているが、あらためて現実を突きつけられると、かなりショックだ。

 俺は人間なのに、人間と恋ができない、俺はすごく落ち込んだ。

 


お読みいただきありがとうございました。もし少しでも気になりましたら星かブックマークをいただければ大変ありがたいです。

星一ついただければ大変感謝です。ブックマークをいただけたら大大感謝です。ぜひとも評価お願いいたします。


正直あまり評判がよくないようです。とりあえず、6話まで、起承転結の起の部分までは書き上げますので、続きが気になる、もっと読みたいという方がおりましたら、ブックマーク若しくは星をつけていた騙すようお願いいたします。

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