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第2話 高校生活の始まりと部活動

毎日18時に投稿します。お読みいただければ幸いです。

 本日は入学式、俺は今日から通う八雲高校に、妹の葛葉と一緒に登校していた。

 「お兄はどうして退魔師学校に行かなかったの」突然葛葉は聞いてきた。

 「お兄は四葉家の次期当主なんでしょ。普通だったら退魔師の学校に通うものじゃないの」

 この国には、退魔師を育成するための高等学校があり、退魔師の家に生まれた者は、その学校に通うのが普通だった。


 「四葉家は体に妖魔を取り込み、それを使って妖魔を退治するだろう。それに、調伏した妖魔を使役しているだろ」おれは、ぽつぽつと答えた。

 「うん、私のお母様もお父さんに調伏されて、私を産んだのよね」

 「だから、退魔師の中では妖魔となれ合い、妖魔と交わると言ってすごく嫌われているんだよ」

 「そうなんだ」

 「特に女性からは性犯罪者扱いされていて、もし俺が退魔師の学校に行ったら、退魔師の女の子は俺に絶対近づいてこないし、冷たい目で見てくるし、罵詈雑言の嵐だし、隣の席に座るどころか同じクラスにいること自体拒否されるかもしれない」

 「ああ、なんとなくわかるかも」

 「だから、普通の高校に通うんだ。退魔師の協会もそのことを知っていて、四葉の家の者は、普通の学校に通うことを認められているんだ」

 「まあ、いいんじゃない。それだから私も一緒に学校に通えるのだから」


 「あと、一つお願いだ」

 「何?」

 「学校では、双子の兄妹としてふるまってほしい」

 「えー、せっかくお兄とラブラブ学生生活を送れるとおもったのに」といたずら顔で言った。

 「俺は、普通の恋がしたいんだ。代々四葉の家は姉妹や妖魔を調伏し、妻にしてきた歴史がある」

 「お兄のお母様も私のお母様も妖魔だものね」

 「俺もそうなると諦めている」

 「一人は私で確定だものね」

 「でも、高校時代は普通の人間として、普通の恋をしてみたい」


 呆れた顔をしながら、葛葉はいった。「無理だと思うよ。お兄、女の子にもてないじゃん。鋭い目つきに凶悪な顔、大柄の体にぶっきらぼうな言葉遣い、服装のセンスもないし」そう言ってにやにや笑った。

 「人間の女なんて諦めて、妖魔でハーレムを作ったら?妖狐族ならかわいい女の紹介できるし、お父さんが愛人にしている妖魔の一族だったら、お父さんに命令してもらえば娘を差し出してくると思うよ」

 「無理やりはやだ。俺は人間の彼女と普通にデートして、もじもじしながら手をつなぐような恋がしたいんだ」広志は吠えた。

 「べつに無理やりってわけでもないよ。お兄の嫁になれるというなら何人も志願してくると思うよ。お兄は、妖魔の女の子だったら、絶対にモテるタイプだから」そう言って、腕を絡ませてきた。「私もお兄好きだから、食べたいぐらい」というと、にやりと口が三日月となるように不気味に笑った。

 やっぱりこいつ俺を食い物だと思ってやがる。


 学校では、クラス割を書いた掲示板が張られていた。

 「俺は3組か」掲示板を見ながらつぶやくと、「私も3組!」と葛葉は言った。

 「お兄、同じクラスだね♪」と言いながら腕を組んできた。

 本当は別のクラスの方が良かったと思ったが、もし最悪クラスでボッチになった時、一人でも話す相手がいるとありがたいからな、と思い直した。


 クラスでは当初は名前順に座るので、葛葉と俺は前後の席となった。俺が葛葉の後ろだ。

 簡単にホームルームと、校内見学が終わり、その日は解散となった。

 さて、これからが決戦の場だ。中庭からグランドにかけて、新入部員を獲得しようと先輩たちが手ぐすね引いて待っているクラブ勧誘の時間だ。

 「お兄は何部に入るの」そう言って葛葉もついてきた。

 「野球とか、サッカー、それともバスケとか、格闘技系もありかもね」と葛葉は言ってきたが「俺はそんなところに用はない。俺の学生生活の第一の目標、それは彼女を作ることだ。そうなれば、女子がいる部活に狙いを定めるのが当たり前だ」


 葛葉はあきれたように「じゃ何部を狙っているの」と聞いてきたので、「そうだな、女子部員が多そうなクッキング部とか手芸部、茶道部や華道部もありかな」と言った。

 葛葉は驚いたように「お兄、料理なんかできたっけ。手芸とかお花やお茶もやっているところ見たことないよ」と言ってきた。

 「全くない、完全に初心者だ」と言い切った。

 「まあ、お兄が良ければいいけど、すごく心配。私も一緒の部に入るからね」

 「お前はお前のやりたいことをやればいいぞ」というと「お兄が一緒でなければ意味ないから。そもそも学校もお兄が行くから行くだけで、別に私にとってはどうでもいいの」と言ってきた。

 まあ、こいつ妖魔だし、人間の学校に通う必要はないからな。

「まあ、勝手にしろ」というと、俺は部活動を物色し始めた。


 そんなこんなで、うろついていると、「退魔部です、見学だけでも来ませんか」という女の子がいた。

 タイマ部ってなんだ?ちょっと好奇心のわいた俺は、その女の子にそばに近寄った。

 その女の子は近づいてくる俺たちを見るや、どどどと駆け寄ってきて「退魔部に興味あります?ぜひ見学に来てください」と言って、俺と葛葉の手をつかみぐいぐい引っ張った。


 その子はショートカットで小柄で元気いっぱいという感じの女の子だった。どこかで見たなと思っていると、昨日コンビニの帰りに妖魔と戦っていた女の子だと気が付いた。

 相手は、俺のことを昨夜の人物だとは気が付いていないようだった。新入部員獲得の方に神経が全振りしているのだろう。

 バレたらまずいかなと思ったけれど、女の子に手を握られるのは初めてだったので、あまりの嬉しさにされるがままその子について行ってしまった。


 長机が並んでいて、いろいろな部活が新入生を勧誘している場所のなかの隅の方に一人の女の子が座って本を読んでいた。

 その子は髪は長めで、かなり整った顔立ちをしており、やや冷たい印象がした。

 「みゆ、新入部員を連れてきたよ」と俺たちの手を引いていた女の子は言った。

 ちらりと俺らの方を見ると、「無理やり連れてきたんじゃないの。お二人とも大丈夫?」と心配していた。

 「そのんなことないよね。さあ、座って。部活の説明するから」そう言って、俺たちを席に座らせた。


 「私たちは、退魔師になるための研究をする部活なの。15年前の妖魔戦争で多くの退魔師が亡くなったり、負傷して引退したでしょ。それで、いま新しい血が退魔師の世界に求められているの。これまで七聖と言われた退魔師を中心に退魔師の血統を継がなければ退魔師として認められなかったのが、いま能力があれば退魔師への道が開けるようになり、新しい退魔師が次々生まれてきているわ。でも退魔師になるためには、退魔師としての知識と妖魔を倒した実績が必要なの。この学校にはそういうことを勉強する課程はないから本で勉強して、街中にたまに現れる妖魔と戦うことで、経験を積むの。どう面白そうでしょ」その女の子は一気にしゃべりとおした。


「質問ですがよろしいですか」俺は尋ねた。

「何、何でも聞いて」

「退魔師になりたければ、退魔師の専門学校に通えばよかったのではないですか?」

その子は悲しそうに言った。「退魔師の学校に入るのは本当に難しいの。退魔師としての知識は必須として、高い魔力と実戦技術が必用なの。私みたいな魔力の少ない、実戦経験もないものは、入学試験にとても受からないわ」

 そう言って、一枚の護符を取り出した。「これは退魔護符といって、妖魔を攻撃したり、自分の身を守ったりするのに使えるの。自分の魔力はほとんど必要ないわ。この札を作成して、妖魔を倒して、実績を積むの」とすごいものを出したようなどや顔で言った。


 さて、どうしようか、退魔師になるもならないも、すでに俺は特級退魔師の資格を持っているし、いずれは四葉家を継ぎ、魔導士協会に所属することとなっている。

 だから全然入る必要はないのだが、このクラブ女の子が二人、それも一人は元気でかわいい系の女の子で、もう一人はクール美人系だ。入部すればこの二人とお近づきになれるチャンスだ。どうする広志。


 悩んでいると、二人の女の子が近寄ってきた。一人はモデル顔負けのスタイルで派手めなギャル系で、一人は幼い体つきの美少女系の女の子だった。

 「私たちも退魔部に入りたいだけどいいかな」ギャル系の女の子が言った。

 美少女系の女の子もうなずいていた。

 そして俺は決心した。「俺たちも入部します」こんなかわいい女の子がたくさんいるところに入らなくてどうする。そう判断した俺は、大声で答えた。

 横では、俺をにらんでいる葛葉がいたが無視した。後でアイスでも買ってご機嫌を取らなくちゃな。


葛葉の暗躍

 葛葉はいきなりの出現した女子二人に敵意を燃やしていた。こいつら妖魔だわ、いったい何の目的で私たちに近づいてきたのか、二人をにらみつけた。

 お兄を害するなら、ただじゃ置かない、そう思ってにらんでいると、ギャル風の女は葛葉の視線に気づき、ニコッとしながら後で話をしようと、念話を飛ばしてきた。


 私たち四人は入部の手続きをすると、明日放課後図書館に来るように言われた。

 先輩たちは、新入部員が4人も来たことで、部室がもらえると、大喜びしていた。

 5人部員がいると、部に昇格し、部室がもらえるそうだ。

 私はお兄に「トイレいく、先帰っていて」と言って、別れようとした。

 「なんだ、少しぐらいなら待っているぞ」と言ったので、「大きい方なの」と言って先に帰らした。お兄は乙女に何を言わせるんだ。


 校舎の裏で女たちと会った。「あんた玉藻さんの娘だね。私はサキュバス族の絵理沙、こっちは魔女族の麻帆よ」

 「初めまして、麻帆です」

 「私らの母は四葉の当主、四葉剛志の愛人でね。母さんに言われて、広志さんに仕えるよう言われたの」絵理沙は言った。

 「証拠はあるの」私は尋ねと一緒に、耳と尻尾を出した。

 「これ、玉藻さんからの手紙」そう言って、一通の手紙をよこした。

 そこには、この二人をよこすので、広志さんのハーレムを作ること、そして近いうちに妖魔の里に行って、広志さんが妖魔どもを従える手伝いをするようにと書いてあった。

 その手紙を見て、ため息をつきながら言った。

 「お兄に当分その気はないよ。頭にあるのは、彼女が欲しいという欲望だけ。二人とも期待させると申し訳ないから、家に帰ったほうがいいと思うよ」

 「そうなんだ。そっちの方が楽しくていいじゃん。それに…」絵理沙はにんまり笑いながら言った。

 「四葉の男は精力が強いと聞いているよ。現に現当主である四葉剛志はサキュバス族の族長でテクニックも持久力も部族一番の母さんがよがり狂って、何回も気絶させるほどのものだと聞いているよ。息子もその血を引いているんだろう。そんなの聞いたらぜひ味わってみたいじゃないか」

 「私も聞きました。魔女族一の魔力を持ち、魔力への抵抗力も随一のお母様が、狂うほどの魔力量と濃さを誇っていると。ぜひ味わってみたいです」麻帆がうっとりするような顔で言った。

 「あふれた精気の処理は私がやっているけど、まだそこまで経験を積んでいないせいか、そんなに強くはないよ。妖魔を食うと欲望がたぎるけどね。ただ、魔力の質と量と濃さは最高だね。そこら辺にいる男が干からびたニガウリを適当に切って、そのままかじるようなものだとすると、A5ランクの牛肉を最高の焼き手が焼いた物を食べるような感じかな。量と濃さも半端じゃないし、あれだけの逸材はこの世界にお兄だけかな」とどや顔で言った。


 「ということは、なるべく妖魔を食わせて、欲望づけにしたら…」

 「お父さんと同じになるかもね」

 「いいねいいね最高だね。四葉に調伏されていない妖魔たちを食わせて、早く狂わしちゃおうよ」

 「それはダメ、お兄と私は子供を作る予定だから」

 「俺たち妖魔は、何千年も生きるから子供を作る必要はあまりないだろ。今回俺たちが作られたのは広志の女になるためだよな。子供作る必要はないんじゃないか」

 「お母さまの命令よ。私が産んだ子にお母さまたちが嫁ぐ予定らしいわ。人間はすぐに死んでしまうから、お代わりの用意をしとかなくちゃいけないんだって」葛葉は続けて言った。

 「お父さん、現当主の四葉剛志も妖魔を食らいすぎて、正常な状態じゃないのよね。15年ずっとやっているんでしょ。あと何年もつのか。そしたらお兄が当主だね」と言って、にんまりした。

 「どちらにしてもお兄には新しい妖魔の王になってもらうからね。なんせ魔王様の御子なんだから」そう言って、葛葉が壮絶な表情で笑うと、二人も闇に満ちた顔で笑った。


お読みいただきありがとうございました。もし少しでも気になりましたら星かブックマークをいただければ大変ありがたいです。

星一ついただければ大変感謝です。ブックマークをいただけたら大大感謝です。ぜひとも評価お願いいたします。


あと1話投稿します。今回様子見というところです。本当に読んでもらえたらうれしいです。

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