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 マリウスさんの協力を取り付けられたので私達は一旦家へ戻ることにした。


 家に帰るとマリーエさんはまだ目覚めておらず、アルクはものすっごく不機嫌だった。これは機嫌が直るまで結構かかりそうだなぁ。


 とりあえずマリウスさんとの話をアルクと共有。機嫌はさておきアルクも真剣に聞いてくれた。


「結婚発表のパーティーまで、どちらにしろ時間がないよね」


 マリーエさんの話によるとパーティーまで一ヶ月もないようだ。


「そうですね、どこまで調べられるか分かりませんが私も伝手を使って調べてみます」


 エミール君も積極的に動いてくれるようだ。


「うん、お願い。情報はできるだけ集めてロイさんと合流する感じかな」


 頼みの綱のロイさん。どのくらいでこっちに来られるんだろう。少しでも早く来てくれることを願うしかない。


 あとは今後の動き方をどうするかの相談をした。とにかく今は情報収集して対策を練り、目指すはマリーエさんの婚約と結婚の阻止だ。


 それと私としてはマリーエさんの精神状態もすごく心配なんだよね。それでアルクにそのことを相談してみたんだよ。そうしたら……


「マリーエの心身への負荷が高い状態だ。発散とケアが必要だろう」


 そんなことを言うんだよ。それってストレスが溜まってるってことだよね? アルクがなんだかお医者さんみたいだ。


「発散とケアって具体的にどうしたらいいの?」


「マリーエの場合は体を動かすのが一番良いのではないか? あとは睡眠や緊張をほぐして体を楽にさせるのが効果的だろう」


 なるほど。なんとなく分かったけど、マリーエさんの場合は体を動かすって言ったら……戦闘?


 ……うん、あとで本人と相談しよう。


 それとまた眠れないといけないから、しばらく家に泊まってもらおうかな。本当は強制的に眠らせるとか良くないけど、根本の悩みが解決されるまでは難しいと思うし仕方ない。


 あとは体をほぐしてリラックスかぁ。温泉とかどうだろう。私も入りたい……。



 今できることは限られているし目的もはっきりしているので会議はすぐに終了した。


 既にお昼の時間を過ぎていたので簡単に食事を済ますとエミール君はさっそく出掛けて行き、アルクはどこかに行ってしまった。


 残された私。


 どうしようかなってとりあえずメールチェックしていたら、マリーエさんが部屋から出てきた。どうやら目が覚めたらしい。


「ご迷惑をお掛けして申し訳ありません」


 すごく恐縮した様子だったけど、だいぶ顔色も良くなったみたいだ。


 お腹は空いていないか聞いたら「少し……」とちょと恥ずかしそうにしていた。


 昨日もきっとちゃんと食べてないだろうし、お腹に優しい物がいいかなと卵雑炊を作ってみる。だし汁ってこちらの人は大丈夫かなと少し心配したけど、マリーエさんは美味しそうに食べてくれた。


「とても、優しい味がします」


 綺麗に完食してくれて顔に少し赤味も出た。うん、食欲もあるし良い感じだね。


 私は彼女が寝ている間にしたこと、相談したことを話した。別に隠して行動するようなことではないし、彼女の同意を得て一緒に対策しようと思う。


 最初は自分のことで私達の手を煩わせるなんてと言っていたけど「このままあんなのと結婚して家を乗っ取られ、騎士も辞めてしまうのか」って聞いたら「……嫌です、絶対に嫌です」って。


「じゃあ一緒に考えよう」


 そう言ったらマリーエさんは泣き笑いで頷いてくれた。


「ありがとうございます。どうか、お力を貸して下さい」


 頭を下げる彼女に、たぶん力を貸してくれるのは私じゃないよと思いながら、出来る限りのことをしようと決意を新たにする。マリーエさんの笑顔の為に、頑張るぞっ。



 さて、そういえばアルクが言っていたマリーエさんのストレス発散とケア。


 発散は本人に聞いたらやっぱり訓練か戦闘とのことで、戻って来たエミール君も一緒に夕方から少しダンジョンに潜ってみた。


 魔物はなるべくマリーエさんに譲るっていう、ちょっと私には理解出来ない気遣いで進んでいったおかげか、家に帰る頃には彼女はすっきりした顔になっていた。


「昨日は悪い事ばかり考えてしまいましたが、体を動かしたら気持ちが軽くなりました」


 うん、マリーエさんがいいならいいんだけどね……。


 そうそう、例の収納鞄をドロップした中ボスっぽい魔物。倒してから一日以上経っていたので様子を見に行ってみた。そうしたら……やっぱり復活してました!


 やったぁと思って、みんな嬉々として倒してくれたんだけど、残念、鞄は出なかった。


 まあそんなに上手くはいかないよね。ランダムなのか鞄はあれきりなのかを検証してみたかったけど、とりあえず私達は先に進むことにした。


 出てこいアイテム!



 あとはもうひとつのストレスケア。


 マリーエさんと話をして、やはり家にしばらく泊まってもらうことになった。環境が変わってかえってストレスになるといけないと思ったけど、騎士はどこでも寝れるように訓練しているからその心配はいらないとのことだった。


 メンタルはもっと鍛えないといけないって反省しているマリーエさんは、すごく真面目だと思う。


 そしてですね、ガイルの家にはなんと、立派なお風呂があるのです!


 さすがおじいちゃん。こちらの世界には似つかわしくないヒノキのような木材造りの浴槽を見た時は驚いたけど、いやぁ、これがめっちゃ良いのよ。


 残念ながら温泉は引いていないけど、三~四人は入れそうなゆったりした造りで温泉宿とかにありそうな高級感のあるお風呂。私もたまにこちらを使うけど、すごく贅沢な気分になれて最高なのです。


 良い機会なのでマリーエさんにもぜひこのお風呂を堪能してもらおうと思います。れっつリラックス!



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