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 お腹もいっぱいになって、私たちは再び市場へ戻ってきた。さあ、当初の目的、お買い物をしなければ。


 でも、とにかくお店が多い。同じものを扱っている店がいくつもあるし、どこで買えばいいか分からない。どうしようかなと思っていたら、やはりおじいちゃんがよく使っていたという店にアルクさんが連れて行ってくれた。


 まずは青果店。野菜や果物は朝採れたものを販売しているそうだ。色とりどりでとても瑞々しい。ナスやトマトなどあちらと同じような形や色のものから、見たこともないようなものまで様々ある。

 とりあえず、今回は無難そうなものを選んで購入してみることにした。もしかしたら見た目が似ていても全然別物、ということもあるかもしれないから食べる時は慎重にいこうと思う。


 果物もどれも美味しそうだったけれど、店の人が味見させてくれた粒の大きいブドウを買った。おまけもしてもらえたよ。


 そうそう、買ったものは持参したカゴに入れてもらう。食事前の見学で気付いたので、途中のお店でカゴは購入済みだ。ツタ編みのちょっと大きめで持ち手がついたシンプルな作り。しっかりしてるけどすごく軽い。

 うん、なんかスローライフっぽくて気分が上がる。私は形から入る派だ。


 だけど買ったものを入れていったら結構重かった。そこでアルクさんから教わった扉使いの応用。小窓くらいの大きさで扉を召喚。で、そこに荷物を入れてしまえば重い物を持つ必要はなし。すっごく楽だ。

 扉の先は異世界のおじいちゃんの家で、直接日本の家に繋げられなかったのは残念だけど、とても便利だった。日本でも使えないかなって思う。


 大きな扉はこういう人の多い所では目立つし場所を選ぶ。あと、扉使いの力は貴重なので、あまり人前では使わない方がいいとアルクさんに言われた。


 扉の力ほど希少ではないけれど、「収納」という別空間に物をしまえる力があるらしい。力の強さで収納できる大きさは変わるようだけど、色んな分野でひっぱりだこの力なんだって。普通に便利だもんね。

 なので私の力は表向きはこの収納が少し使えるよ、ということにしておくことになった。


 青果店のあとは市場にある建物の中へ向かった。この建物の中にもお店はたくさん並んでいる。建物は吹き抜けで天井が高く、周囲の壁に沿って二階部分があった。上は飲食店が多そうな雰囲気かな。所々に階段があるのでそこから登って上から建物の中全体を眺めてみたら、お店が奥の方まで何件も連なっているのがよく見えた。


 中を進むとナッツやドライフルーツを扱っているお店があったので、味見をさせてもらいながら数種類購入。他にもチーズや牛乳を購入した。牛乳は搾りたてとのことだったので鍋で煮て殺菌してから飲んでみようと思う。


 パン屋さんも発見した。私は朝食パン派だ。種類はあまりなかったけど、表面固めの丸パンを買ってみた。焼きたての良いにおいがする。


 あとはアルクさん推奨のお肉のお店で鶏肉と豚のベーコンを買ってみた。他にもよく分からないお肉が色々あったけど、食べ慣れたものからにしようと思う。


 別の区画には魚介や香辛料、茶葉など品物の種類が豊富で目移りしたけど、最初なので買うのはここで終わりにしておいた。調子に乗って買っていたらすごい量になってしまいそうだったので自制。


 あと今更だけど心配なのが衛生面かな。まあ、これを気にしたらそもそもここで買い物とか食事とかどうなのって感じだ。すでにご飯は食べちゃったし。

 アルクさんに見てもらって大丈夫と言われたのでそれを信じたいと思う。今のところお腹は痛くないし、少しずつ様子をみていこうと思うよ。


 扉の力で荷物は家へ送ったけど、部屋は常温だ。早く戻って冷蔵庫に入れないといけないものもあるし、この日はこれで撤収することにした。

 帰り道も気になるものはたくさんあったけれど、我慢。また絶対来ようと思って家に向かった。


 はあ、すっごく楽しかった!


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