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遠いコンビニより近くの異世界~目指すはまったりのんびりライフ! 扉の先でお気楽異世界生活はじめました~  作者: 佐久乃


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 私とアルクは顔を見合わせたんだけど、アルクは「まったく」というちょっとあきれたような顔をしていた。しまった。やってしまった。


 つい先日の旅行を思い出して言ってしまったけれど、まずかったよね。アルクは自分の事をあまりマリーエさんに教えたくないようだったし、精霊だから夜に寝る必要がないとか言えない。うわー、どうしよう。


「えっと、あのですね」


 どうしよう。アルクが精霊ってことを言わずにさっきの私の発言をうまく説明するには……えー、なんて言ったらいいの?


「実は、アルク殿に関しては我々も少々調べさせていただきました」


 私が答えに困っていたら、マリーエさんが話し出したんだけど、うん?


「リカ様と常にご一緒にいらっしゃるので、どんな方なのかとマリウス様もとても気にしていらっしゃいまして。護衛の方かと思いましたが、その、あまりそのような風体にも見えず。しかし、何か不思議な力をお持ちの様でしたのでリカ様と同郷か、またはご親族なのではと考えカードの登録を調べさせていただきました」


 ああ、なるほど。アルクは私と一緒にいる時に何度もカードを使ってるもんね。でもさ、護衛っぽくないっていうのはどうなのよ。アルクは背も高いし、見た目だけなら別におかしくない気がするんだけど。マリーエさん達からすると何か違うのかな。それに強さって剣とか腕力以外ではいけないんだろうか。あと何よりもマリーエさんの声が厳しい感じなんだけど、アルクって何か疑われてるの?


「そして調査の結果、賢者様やリカ様との血縁は認められず、しかも少々妙なことが分かりました」


「妙なこと、ですか?」


 私とアルクに血縁がないってのはもちろん納得なんだけど、何だろう、何か変なところがあったんだろうか。アルクを見たけれど首をかしげている。


「はい、登録された日付が六十年近く前のものだったのです」


 マリーエさんはそう言うと、じっとアルクの顔を見た。


「あなたはどう見ても六十歳近い年齢には見えません。しかし、カードが正常に使えている以上本人であることは間違いがなく、我々は混乱しています。いったいあなたは何者なのですか?」


 アルクがカードの登録をしたのはおじいちゃんと出会ってからだよね。アルクの年齢って六十歳どころじゃないはずだけど、私と同じで当時の年齢なんかは登録されてないってことかな。でもそこから不審者扱いされるとは。まあどう見ても若いよね。綺麗だし。


 うん、ごめんね、私には何て説明すればいいのか思いつかないです。私のうっかりでこんなことになったのは反省するので後をお願いします。そんな思いを込めて私も一緒になってアルクをじーっと見たら、アルクがすごく嫌そうな顔をした。溜息までついて、こういう所はすごく人間臭いなと思う。


 アルクはマリーエさんに向かい合うと、静かに話し始めた。


「私は種族が違う。だから寿命も長い」


「は? 種族が、違う?」


 あれ、あっさり言っちゃった。マリーエさんびっくりしてるね。


「賢者が共に旅をしていた仲間を知っているか?」


 なんだかアルクの周りでキラキラエフェクトが仕事している。


「賢者様の仲間……。それは、あの、えっ? せいれい……さ、ま……」


 マリーエさんが信じられないって顔でアルクを見ていた。アルクはにっこり笑顔だけどなんだか怖いな。


「そうだ。だから年齢は見た目通りではない」


 アルクって年齢教えてくれないんだよねぇ。私が前にちょっと「おじいちゃん」呼びしたからって気にしてるのかな。


 それにしても、昼の時は精霊だってことは言って欲しくなさそうだったのに話してしまって良かったんだろうか。そう思ってこっそり聞いたら、別にあの場で言って騒がれるのが嫌だっただけで、話すのはかまわないそうだ。ふーん。でもこれでアルクの年齢詐称問題は解決、でいいのかな。


 でね、アルクはマリーエさんが驚きで呆然としている隙に、あっという間に例の誓約を済ませてしまったんだよ。


「私はあまり自分のことを知られて騒がれたくない。それにリカの負担にもなりたくない。あなたのことは信頼したいと思うが、しかし残念ながら今日会ったばかりでそれが難しいのは理解してもらえるだろうか」


 とかなんとか他にも色々言いつつ、どこから取り出したのか一枚の紙にさらさらっとペンを走らせ、それにマリーエさんに署名をさせてしまった。詐欺師も真っ青のすごく鮮やかな手並みだったよね。いいのかなーと思ったけど、アルクはとってもいい笑顔で満足そうだった。


 これは本人から聞いた話なんだけど、マリーエさんは子供の頃から賢者様の大ファンで、書籍やお芝居など、賢者関係のものは全部チェックしているそうだ。で、賢者様はもちろん、一緒に旅をしたり冒険をしたりと活躍した仲間のことももちろん大好きで、今回はいきなり目の前にその憧れの人物が現れたものだからパニックになったらしいんだよね。同じ空間にあの精霊様がいる、同じ空気を吸っているってずっと呟いていた。


 誓約が済むとアルクは「今日は私がリカを見ているので心配ない。あなたは疲れているだろうし、ゆっくり休むといい」そう言って、アルクに用意されたはずの部屋にマリーエさんを誘導してしまった。ふらふらと言われた通りに行ってしまったけど、おーい、マリーエさーん、大丈夫?


 誓約内容が気になったので確認したら「私やアルクについて知ったことを他言しない、もしそれに違反しそうになったら信じられないほどの激痛が頭や体を襲う」という内容になっていた。


 私が「死ぬのはちょっと」と言っていたことを考慮してくれた結果らしいけど、話したらやっぱりアウトらしい。警告があるだけいいでしょってことなのかな。






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