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 さて、色々話している内にカランの門に到着した。私としてはなるべくそうっと町を見て周りたいと伝えたので、マリーエさんが上手くやってくれるよう願うしかない。


 門ではガイルを出た時のようなフリーパスではなく、マリーエさんと警備の人が少し話をしていた。途中で窓の外から覗き込むように中を見られたりもしたけど、その後は特に何もなく通行することが出来た。別に悪いことをしている訳ではないのにちょっとドキドキする。


 マリーエさんに聞いたら「商家のお嬢様の勉強で町に来た」という設定らしい。わあ、お嬢様だって。全然それっぽくなくてすみません。さっきの人、怪しんでなかったかな。


 門から町の中に進んでいくと賑やかな広場に出た。人も多く屋台なども出ていて活気がある。マリーエさんは広場から左手に伸びる大きめな通りに向かって馬車を進めていった。先に泊まる所を確保するそうだ。この辺りは宿泊施設が集まっているらしくそれらしい看板がいくつもかかっている。


 しばらく進むと段々と建物が立派になってきて、立ち並ぶ中でも一番豪華そうな建物の前で馬車が停まった。


「本日はここに泊まりたいと思いますがいかがでしょうか?」


 そうマリーエさんに聞かれた。なんだか立派過ぎる気がするけどマリーエさんのお薦めならここにしておいた方がいいってことだよね。


 そんな訳で今日の宿はここ「銀の靴」になりました。おお、入り口からして豪華です。宿というよりこれは高級ホテルだね。


「こちらでしばらくお待ち下さい。手続きをしてまいります。あの、しばらくリカ様のお側を離れます。その間、どうぞよろしくお願いいたします」


 馬車を預けたマリーエさんは私達をロビーに案内すると受付らしき場所に歩いていった。


 さっきの後半はアルクへ向けた言葉だったんだけど、なるほど。なるべく対象から離れないのが本当なのかな。だから二人組だったんだろうか。あと、アルクってどういう扱いなんだろう。護衛対象ではないのかな。


「別に何でもかまわない」


 アルクはそう言うけど、気になるのであとで確認しておこうと思う。


 マリーエさんがいなくなるとすぐにワゴンが運ばれてきてホテルの人が紅茶を淹れてくれた。柑橘系の優しい香り。とてもサービスが良いね。


 オリジナルだという紅茶でティータイムを楽しみ、馬車の乗り心地や改良点などをアルクと話していたらしばらくしてマリーエさんが戻ってきた。


「お待たせ致しました。お部屋が確保できました。お部屋で少しお休みになられますか? それともこのまま町へ行かれますか?」


 もちろん町へ行くよね。ということで、カランの町を探索だ。


 私達は何度か訪れたことがあるというマリーエさんの案内で、まず町の中心にある展示棟という場所へ向かうことにした。カランを初めて訪れた人は必ず立ち寄る場所らしい。


 マリーエさんに馬車を用意すると言われたけれど、それほど距離もないそうだし歩いていくことにした。だって初めての町だし、町の雰囲気とかを直接味わいたいって思う。


 この町で作られているのは家具や服飾品、武器や調理用の刃物に道具類、少し離れた場所では陶器も作られているらしい。中でも有名なのが家具で、カランの家具と言ったら一級品の代名詞だそうだ。高名な職人が何人もここに工房を構えていて、貴族が名指しで注文をしてくるらしい。


 家具かぁ、日本の家が殺風景なんだよね。物が少ないのは掃除も楽だしいいんだけど、もう少しなんとかしたいと思っていた。テーブルや椅子もとりあえずと思って使っているものなので、できれば好みのものに変えたい。

 この間のアウトレットで少し見たけどちょっと雰囲気が違ったし、ここで良い物があったら購入するのもいいかもしれない。アルクに言ったら大賛成してくれて色々見ようとすごく乗り気だった。


 私達は展示棟へ向かうために大きな通りを中心に向かって歩いていった。外から見た時も感じたけど、カランはガイルと違って町中に緑が少なく建物も黒っぽいせいか最初は少し冷たく暗い感じがした。だけど道行く人はみんな元気で活気があり、実際はとてもにぎやかな町だった。


 さらに横に伸びる道に門の外から見えた奥に長い建物が並んでいる様子が見えたんだけど、ずっと先までずらっと並ぶ石造りの建物はすごく迫力があった。少しずつ違うけど、高さとか間口の広さとかは規格があるのか同じような感じで、すごく整然とした町だなという印象も受けた。ちゃんと設計された町のようだ。 


 さて、少し歩いて展示棟に着いた。ここまでの道はちゃんと整備されていたし、道幅も広かった。恐らく馬車が通ることを考えてあるんだろうなと思う。建物の前には数台の馬車が横付けされていた。


 展示棟はとても大きくて立派な建物だった。四階建てくらいはあるんじゃないだろうか。職人の町ならではなのか装飾もとても凝っている。中は建物の名前の通り町で造られた商品が展示されていて、各階ごとで商品が分けられてるらしい。入り口横には受付けもあって、希望すれば有料だけど案内人が付いて説明してくれるそうだ。


 私はさっそく見て周ろうと思ったんだけど、マリーエさんに止められてしまった。なんで?


 どうしたんだろうと思ったら、私達にも案内人を付けるので少し待って欲しいとのこと。えー、別に自由に見てまわるからいいのに。


「お嬢様はあまり勝手に動かれないようお願いいたします」


 注意されてしまった。一瞬「えっ?」と思ったけど、あまり目の届かない場所へは行かないようにということだよね。迷惑はかけたくないけど、ちょっと窮屈さを感じるなぁ。あとその商家のお嬢様設定って続けるんでしょうか?







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