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改めましてこんにちは。
先日めでたく、限りなく黒に近いグレーな会社とさよならを決意。現在は有給休暇を順調に消化中、もうじき無職な27歳、小林里香です。
有給を使えるなんて良い会社ではと思われるかもしれないけど、そこはね、ほら、労基署をちらつかせながらの私の巧みな交渉もあって、とりあえずお互い納得しての円満退職となったわけですよ、うん。
そんな感じで久々に自由な時間を手に入れた私は、不義理をしていた実家に顔を出したんだけど……。
話の流れで、亡くなった祖父母の家で一人暮らしをすることが決定してしまいました。おやぁ?
確かに相談はしたよ。会社を辞めたらどうしようかなって。
だけどいきなり山の中の一軒家で一人暮らしとか。
「女の子一人、防犯とか心配じゃないの?」と言ったら「出るのはサルかタヌキ、イノシシくらいだ」と父。
おいおい、イノシシは怖いよ。ってそういうことではなくてね、もう。
まあ、最初言われた時はちょっと戸惑ったけど、もともと自然は好きだし、引きこもり体質だし。疲れた心と体を癒すには最適なのでは? と思考を切り替えたらなんだか急に楽しくなってしまった。
田舎と言っても、車で少し走ればコンビニはある。30分走ればスーパーもある。定義はいまいち分からないけど、私の基準では適度に田舎、な場所である。免許があって良かった。
一応ね、以前実家に居た時に乗っていた車がそのまま置いてあったのでそれを使わせてもらうことにした。
お母さんが使っていたけれど、お父さんの車があるから別にいいよって。ありがとう、すごく助かります。
車がないと身動き取れない場所ではあるけれど、孤立した辺鄙な場所という訳ではない。
ピザは届かないけれど、ネットでポチれば何でも届けてもらえるし(但し時間指定不可)、特段不自由はない、と思う。
まあ、感じ方は人それぞれということで。
家の水道・ガス・電気は問題なし。しかもうれしいことに光熱費は心配しなくて良いとのこと。
何でも市街地の方におじいちゃん名義の土地があったらしく、そこを貸しているお金が入るのだそう。この家の光熱費、税金やらなんやらを賄っても十分な額なんだって。なんて素敵。
そんな訳で家賃も必要なし。逆に管理してくれるならお金を出すとまで言われてしまった。わんだほーである。
社会復帰が遠のくよね。
しばらくゴロゴロしてやるー!
◇
ということで、住んでいたアパートを引き払い、引っ越してきましたおじいちゃんの家!
おじいちゃんはもういないけど、私にとっては今でもここは「おじいちゃんの家」なんだよね。
事前に色々と手続きをしていたので、今日から問題なく生活はできるはずだ。ネットも開通済み。Wi-Fiもしっかり飛んでいるし、環境はばっちりだ。
持ってきた荷物は最小限で、家具はベッドのみ。あとは家電類と衣類に食料品。
当面生活できるように持ってきたつもりだけど、どうだろう。まあ、必要な物が出てきたら買い足せばいいかなと思っている。いつまでここに居るか分からないけどね。
食料品に関しては定期的に買い出しに行かなきゃいけないけど、一週間に一度で大丈夫だろうか。いずれ畑とか作ってみたいなとは思っているけど、どのくらい足しになるものなのかも分からない。あんまり大変なのは嫌だしなぁ。
家は特に傷んでいた場所は修繕済。実はリフォームやらリノベーションやらを検討していたようだけど、住むには問題ないとのことだった。
もともとあった家具などはほぼ処分済みで、使えそうなものは蔵に入れてあった。なので下見にきた際にテーブルや椅子は出しておいたんだけど、物は非常に少なく殺風景だ。
家は好きにしていいとは言われているんだけど、うーん。DIYに興味はあるけど、家まるごとはちょっとねぇ。
それなりに広い家なんだよ。初心者には荷が重いというか、無理じゃない? やってみたい気持ちはあるし、夢は広がるけどね。
例の地代資金を使っていいとは言われているので、業者に頼むなりいずれは考えてみたいと思っているよ。まあ、おいおい、ね。
最小量の引っ越しパックだったので片付けも早かった。荷物を箱に詰める作業の方が地味に大変だったと思う。少しだからと侮っていたら、なかなか終わらず焦ったもん。意外に一箱に量は入らないし、詰めすぎると重くなり過ぎるし。
思っていたより箱の数が多くなってしまい、頼んだ容量で足りるか心配していたら全然余裕だった。うん、家具とかほとんどないし、こんなものかって思ったよ。
なんとか無事引っ越しを終え、ちょっと離れたお隣さんにご挨拶をして。夜は一人でそばを食べた。知ってる? 引っ越しそばって配るものなんだってね。私は最近まで勘違いしてて、自分で食べるものだと思ってた。今日はなんとなく気分で食べてるんだけど、結構好きなんだよね、そば。
現在季節は秋。
昔ながらの日本家屋なので風通しは良く、夏はそれなりに暑いけど過ごしやすい。今の時期も快適だ。ただ、段々気温が下がってくると室内でも寒い。
特に冬。寒さに耐えられるかが心配なのだ。断熱材は入れてあるらしいけど、ちょっと怪しい。エアコンはもちろん、暖房器具がないので早めになんとかしないといけない。
おじいちゃんやおばあちゃんが居た頃の暖房器具は、こたつ&ストーブだった。こたつ、いいよね。ぬくぬく暖かくて出られなくなるけど。あとストーブの上で焼いたサツマイモ、美味しかったなぁ……なーんてことをぽやぽや考えながら、その日は早めに就寝したのでした。
おやすみさい~。