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 さて、新たな武器も手に入れてみんなは早く早くとダンジョンに行きたがった。



「実戦で威力を確かめたいです」


「魔物を倒しに行きましょう」


「リカ様ダンジョン―」


「はいはい、今日はもう遅いから明日ねー」


「「「「えー」」」」


 武器やアイテム探しに没頭してしまい、気が付いたら結構時間が経っていた。なのでその日は解散にしたんだけど、「明日は行けない……」って殿下は物凄く落ち込むし、早く行きたい勢からは不満の声が出た。


 いやそんな事言われても、無理するつもりはないので今日は行かないよ?

 誰だケチって言ったの。ダンジョンが逃げる? いやダンジョンは逃げないでしょ……。



 さて、二十二階層なんだけど、数えてみたら塔は八つあった。現在四つ終わったので残りは半分。私はもういいんじゃないって思うんだけど、ここまでやったら全部行きましょうってみんなは言う。なので攻略は続けていた。


 塔は登っては落ちを繰り返して魔物と対峙しているんだけど、苦戦することもなくなり、倒すスピードも徐々に早くなってきている。どうも出てくる魔物の種類は違うけど強さはほぼ横並びらしく、だとすればみんなが強くなっているんだろうと思う。


 今回は武器も新しくなったし、これでどれだけ戦いが変わるんだろうってちょっとワクワクするよね。私だって楽しみではあるんだよ。



 ――翌日


 さっそく新しい塔に向かったんだけど……



 ザシュッ


 ザクッ


 バチイッン


 いやもうそれは鮮やかに、みんな余裕で魔物を倒してしまった。


 今日は騎士団長はいない。なのでマリーエさん、エミール君、ロイさんが三体の魔物相手にそれぞれ攻撃したんだけど、初戦の苦戦はなんだったんだろうって感じだった。


 私はその強さにダンジョンの武器凄いって改めて思ったんだけど、アルクは武器だけの強さじゃないって言う。


「確かに武器やアイテムは強力だが使い手を選ぶ。使い手に十分な力や技量がなければ使いこなせず威力も半減する」


 つまり武器も凄いけどそれはみんなが強いからこそなんだそうだ。なるほど。


「素晴らしい破壊力ですね」


「さすがダンジョン武器です」


 エミール君が槍をクルクルしながら満足そうにしているし、ロイさんも鞭を片手に嬉しそうだ。


「指輪の力で剣の威力が上がりました!」


 マリーエさんもかなり興奮気味だ。


 そして三人が私に向かってそろって言うのだ。


「「「次の塔に行きましょう!」」」


 えー、そろそろここ飽きない?


 それに私、落ちるのもう嫌なんだけど……。



 結局私の意見はスルーされ、その日はもう一つの塔を攻略する事になった。むー。


 でね、その時は戦う前に全員の能力強化をアルクが行ったんだよ。ほら杖を使った新しい試みってやつだ。


 まあいつものにわかゲーム知識なんだけど、攻撃力とか素早さとか防御力を上げるというのを試してみたのだ。アルクが「なんとなく出来そう」というのでやってもらったんだけど、ちゃんと効果はあったようだ。


「体が軽い」


「さっきより武器が扱いやすい」


「力が湧いてくるようです」


 などなど、みんな大絶賛だった。


 いやーどういう原理なんだろうねぇ。


 ちなみにこういう力の使い方は初めてだとみんなは言っていた。ロイさんは興奮していたけど一方で「やはり真似はできそうにない」とも言っていて、相変わらずアルク万能だと思う。



 さあ残りの塔ははあと二つだ。


 ヒナちゃんに進捗状況を連絡したら「ずるいー! あたしも行くー!!」ってめちゃくちゃ悔しがっていた。


 また次の休みに来るって言ってたけど、そんなに来て大丈夫かなって少し心配になる。ほら、高校生だって色々友達付き合いとかあるんじゃないかなって。


 だけどヒナちゃんは「今はダンジョンより優先したいものなんてない」と言い切った。あ、そうですか。


 その後は私の方で仕事があったりみんなにそれぞれ用事があったりでダンジョンはしばらくお預けとなり、ヒナちゃんがやって来る日に塔に向かうことになった。




     ◇




 ――ダンジョンへ向かう当日



 先にヒナちゃんの武器を調達しにお城へ行った。


 宝物庫にはもちろんヒナちゃんは大興奮。「凄い、面白い、何これ!」と、とても楽しそうだったし、「オッケー管理人」とか言って管理人さんを困惑させていた。


 で、肝心の武器だけど本人希望で打撃武器に絞られた。「剣とかはなんか怖い」って言うんだけど、いや打撃武器も相当だと思うよ。


 運ばれてきたのはメイスとかモーニングスターとかフレイルとか私にはよく分からない武器で、それがテーブルに並べられた。ヒナちゃんはそれをひとつひとつ手に取って確かめ、何故か野球のバットのように素振りしていき、最終的に選んだのはモーニングスターだった。


 これもダンジョン武器だ。通常形態だとトゲトゲの付いてる球が杖の先に付いてるだけなんだけど、球を切り離して鎖で振り回せたり球の大きさやもちろん重さも変えられた。あと逆に球を消したりも出来るし杖を長くしたり短くしたりとか収納にも便利だったりとなかなかの優れものなんだけど……いやなんかゴツくない?


 本当にこれでいいのって思ったけど本人はとても満足そうだった。


 しかも「早く使ってみたい!」って。


 短時間で決めた武器だし、いきなり実戦で大丈夫かなって思ったけど、ヒナちゃんのその言葉に何故かうんうんと理解者が多く、「リカ様早く行きましょう」ってダンジョンへ行くのを急かされてしまった。まったくもう。


 まあ、だけどこれでみんなの武器が揃ったことだし、行きますか、ダンジョン!




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