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 さっきは副町長さんの圧に少しやられてしまったけれど、久しぶりに友人に会うことになってちょっと気分は上昇。


なので当初の予定通り、もう少し町を探索しに行きたいと思う。何かお土産になるものも欲しいなぁ。


 一人でも大丈夫だよと言ったけど、アルクは一緒に来てくれた。一人は心配なんだって。ありがとうございます。


 さて、私達はいつも行く市場方面へ向かったけれど、今日は市場ではなくその先の通りに出てみようと思う。


市場は露天とか屋台だけど、こちらの通りは両側に建物が並んでいる。建物はみんな背が高めで、三階建てくらいかな。一階が店舗で二階以上が住居などに使われているらしい。


 店舗の正面はガラス張りで、商品がディスプレイされていたり中の様子が見えたりする。ウィンドウショッピングするのも楽しいね。


 高級店という訳ではないけれど、市場よりは上質の物や珍しいものなどが置いてあるとアルクは言っていた。


 最初に入ったのは洋服店。飾ってあった服が気になったので見てみることにした。


 市場に置いてある服は素材は綿で形はシンプルなものが多かった。女性ものだとワンピースタイプとかチュニックみたいな頭からすぽっとかぶって着るタイプがほとんどで、装飾とかボタンとかは少なくて、サイズも大きめ。


 道行く人を見ると、ウェストに絞りを入れたり裾に刺繍をしたりとみんな自分でカスタマイズして着ているみたいだ。で、下はパンツだったりスカートだったりを合わせて着ている感じ。


 男性も似たようなもので、女性より丈は短めなシャツにズボンを合わせていた。もちろんどちらもシンプルだ。色合いは穏やかだけど意外とカラフルなので、みんな思い思いの組み合わせでコーディネートしている。


 そんな地元っぽい人達に混じって少し雰囲気の違う服を着ている人がちらほら。交易が盛んな町なので各地から人が集まってきているらしい。なので私が少し変わった格好をしていてもあんまり目立たないのだ、たぶん。まあ、普段から地味目な恰好をしてる自覚はあるけどね。


 たまにすごくきちんとした格好の人もいるけど、そういう人達はお金持ちとか貴族の使用人とからしい。市場のまわりにはあまりいないけど、この通りにくるとたまに見かける。



「いらっしゃいませ」


 お店の扉を開けるとカランっとドアベルの音がして、中から女性の声がした。


「どうぞご自由にご覧になって下さい」


 すごく優しそうなお姉さんだ。私はさっそく棚の洋服を見てみることにした。


 うん、やっぱり生地が良いせいか色の発色も綺麗だ。仕立ても良さそうだし、戻ってあちらで着ていてもおかしくなさそうだなと思う。しばらく店の中を見てみたけれど、これはというものが見当たらなかった。残念。


 そういえばアルクの服はまた一段と上質そうだ。似合ってるけど、この服って実際に存在するんだろうか? 精霊の服って謎だ。


 私はお姉さんにお礼を言って店を出た。少し先に雑貨屋さんがあるようなのでそこに行ってみようと思う。


 そうそう、さっき作ったカードなんだけど、おじいちゃんの口座と紐付けして残高を確認したんだよ。そしたらね、もう唖然とするしかなかったよね。


 本当に驚くくらいの金額が入っていて、何だこれって感じだった。ほとんど寄付したとか言ってなかったっけ? いったいどれだけ持ってたのよ、おじいちゃん。


 あれだけあったら私が多少使っても何ともなさそうというのはよく分かった。だけどそれはそれとして、気兼ねなく買い物できるように私もこちらでの仕事とか収入の方法を考えようかなとは思ってる。何が出来るかなぁ。



 さて、雑貨屋さんに到着。何だか色んな物が置いてある感じだ。置物に文房具によく分からない物まで、こうごちゃっと、でも何だかセンス良く並べられてるのが凄い。


 あ、アクセサリー発見。ネックレスにチャームにピアスに指輪。ヘアアクセサリーもある。私はあんまりアクセサリーは付けないけど、別に嫌いな訳ではない。可愛いのは大好きだ。


 アルクが「これはリカに似合うのでは?」「あれは?」と何故か私以上にノリノリで見ていた。


 色々見ていて髪留めにしようかなと思ったんだけど、ふと今の友人の髪の長さを知らないことに気が付いた。前は長かったけど、あれからだいぶ経ってるしなー。うん、やめておこう。


 結局、その後見て周って、小さな猫の置物に決めた。置物ってもらったら困る? でも手のひらサイズで小さいしすごく可愛いんだよ。目が合っちゃたし。友人は猫好きなので喜んでくれると思う。


 ……あれ、これ猫だよね?


 アルクは私にアクセサリーをしきりに勧めてきたけど、猫さんだけを買って帰った。


 うん、明日が楽しみー。 


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