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 私が何か言ったところで聞いてもらえる事はなく、エレノアさんの指示で着々と準備は進められ、晩餐会仕様に整えられました。いいんです、自分じゃ仕度なんて出来ないし、お任せするしかないんです、ええ。おかげでとっても素敵な仕上がりですとも。わーい。


 再びドナドナされて着いたのは王族専用のダイニングルーム。


 今日の晩餐はエミール君も参加らしい。お貴族様モードのちょっと気取ったエミール君が先に着いていたので、やっほーって手を振ったらにっこり笑ってくれた。


 エミール君とは現在別行動中だ。ロイさんも同じで、それぞれ何かお仕事しているようだけど詳細は知らない。


 あとマリーエさんもお城の中では護衛を外れてもらっていた。だって誰かに会うとか食事をするとなっても一緒に居られないって聞いたし、いつも扉の外で待っていてもらうとか申し訳ないと思ったんだよね。


 マリーエさんにはかなり渋られ、人の目のある場所で行動するとか外に出る時は必ず呼ぶなど色々約束させられて了承してもらった。


 あとヒナちゃんは今は家に帰っている。学校に連絡して放課後や休日も補講を受けたりとちょっと忙しくしてるらしい。昨日も電話で話したけど元気そうだったし、メッセージアプリで頻繁にやり取りもしている。またこちらに来るのを楽しみにしているそうだ。


 それからご両親からの許可は取れたのでヒナちゃんは予定通り夜会には出席する。なので私がメインで出ることはなくなり正直ほっとしていた。これは本当に助かったって思うよ。良かった~。


 アルクは……あちこちフラフラしてる。気が付くと部屋に居たりいつの間にか側に居るんだけど、基本姿を消していることが多いんだよね。どこに行っているんだろう。


 あと今日の晩餐はアルクも招待されるはずだったんだけど、「出ない」って言うので断った。陛下出席の晩餐を断るとか許されるのかな~て思ったけどあっさり了承されたんだよね。精霊は自由でいいなぁ。



 さて、最後に陛下が現れて今日の晩餐の出席者は揃ったらしい。


「残念ながら王妃は体調が良くないとの事で欠席だ、すまないね」


 私に王妃様の不在を謝りながら寂しそうな様子の陛下。


「いえ、こちらもアルクが欠席ですので……」


 そう言ったら「精霊らしい」って陛下は苦笑していた。精霊が自由なことは知っているらしい。


「さあ、家族を紹介しよう」


 陛下は今度は楽しそうに息子さん達を紹介してくれた。


 まず最初は王太子殿下のアレクシス様。金髪碧眼のまさに正統派王子様って感じで、色合いは陛下にとても良く似ている。しかも落ち着きがあって貫禄もあり、見ていると陛下よりもよっぽど王様らしいというか……。


 あの威圧感ありありの状態はともかく、普段はおっとりと柔らかい雰囲気の陛下は、その見た目の若さもあって王太子殿下と並ぶと兄弟のようだ。しかも殿下の方が体格が良いから陛下の方が年下に見えてしまうような……なんか変な感じだね。


 王太子殿下の横には王太子妃のラビニア様。次期王妃様だけあってすごく気品があって素敵な女性だ。少し近寄り難そうに見えたけど、笑うととても可愛らしい人だった。


 二人とも私に会えて嬉しいと言ってくれて凄く好意的だ。ラビニア様は「今度ぜひお茶会致しましょう」って言ってくれたけど……お茶会ねぇ。あまりお茶会に良い印象を持てないんだけど。でも薄暗い部屋で無言で向かい合うとかじゃなければ参加しますとはさすがに言えなかったよね。


 お二人にはお子さんが二人いるそうで、どちらも元気な男の子だそうだ。王家は安泰そうである。


 続いては次男のエルンスト殿下。こちらはストレートロングの銀髪を後ろで束ね、紫色の瞳がちょっと冷たそうに見えるクールビューティ。いかにも仕事出来ますって感じ。実際に王太子殿下と一緒に政務を手伝っていてとても優秀とのことだった。


 銀髪は王妃様の色合いらしい。ベールで全然分からなかったけど王妃様は銀の髪に赤い瞳のもの凄い美人だそうだ。生で見たかったなぁ。こちらに居る間に機会はあるんだろうか。ちなみにお名前はミランダ様とおっしゃるらしい。そういえば招待状に書いてあったような気もする。


「あなたの力やあなたの住む世界にとても興味があります」


 エルンスト殿下からはそう言われてその場で色々聞かれてちょっと困ったんだけど……これはあれかな、ロイさんの同類だったりするのかな?


 あとエルンスト殿下には婚約者がいたそうなんだけど、結婚直前で白紙になったらしい。何があったんだろうねぇ。気にはなるけど面倒そうなのでここはスルーで。


 うん、こうして上のお兄ちゃん二人を見るとギルベルト殿下ってやっぱり末っ子っぽいよね。我がままとかそういうのでは無いんだけど、みんなに可愛がられて育ってるというか、人懐っこいし甘え上手な感じがする。要領も良さそうだし。


 殿下と目が合った。「ん?」ってちょっと首をかしげられたけど……あざといなぁ。



 晩餐会はとても和やかに進んだ。私のマナーに関しては不快にならない程度で勘弁してもらう。寛容な心って大切だよね。


 話題はダンジョンのこととかアイテムのこと、あとはもっぱら食べ物の話ですごく色々質問をされた。


 お城での食事はどれも美味しかった。今日の晩餐だって洗練された盛り付けだし、さすが王族の食事だと思ったよ。まあ、ちょっとシンプルだし単調かなぁという気はするけど、それでも美味しかった。なのに何故か私の出す食事やお菓子への興味と関心がめちゃくちゃ高かったんだよねぇ。


 ギルベルト殿下が何をどういう風に話したのかは分からないけど、私の主催で食事会をして欲しいとか言われてすごく困った。別に私、料理人でも何でもないし本当に勘弁して欲しいんだけど……。


 あとエミール君、あれが美味しかったとかまた食べたいとか言って煽るのお願いだからやめてね。私の気持ちを察していつもの気遣いを発揮して欲しい。じゃないとまたお替り禁止にするからね。



 とりあえずなんとか食事会は勘弁してもらったけど、何かご馳走しない訳にはいかない雰囲気だった。これは何を出したらいいんだろうか。個別に差し入れで済むかな。いっそのこと家に招待でもした方が簡単か……いや余計に大変?


 えー、本当にどうしよう……。




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