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 パン協会の二人が置いていったのは「あんパン」だった。


 そう、おじいちゃんの大好物だ。


 おじいちゃんは「あんこ」が大好きだった。あんパンやお饅頭、羊羹、きんつば。いつも美味しそうに食べていたのを思い出す。

 ウナギもそうなんだけど、見慣れた食べ物を見かける度になんとなく思ってたんだよね。このあんパンで決定的。

 おじいちゃんってば自分の好物ばかりを教えてる。食いしん坊のおじいちゃんらしいというかなんというか。


 まあ、ウナギはかなり再現度が高かったけど、あちらとこちらでは材料が違うし、作り方や味付けもこちら独自のものがあるからまったく同じ料理が作れる訳ではない。

 あんパンだって、中のあんは私の知っているものとは少し違った。なんだろう、ちょっと黄色っぽい色で豆っぽさがある感じ。パンも私が想像するあんパンより固い生地だけど、これはこれでとても美味しい。きっと色々試行錯誤して商品開発したんだろうなと思う。

 

 私は美味しいものが食べられるのは大歓迎だ。なのでこんな料理があるよと教えて開発してもらえれば、買い物や食事の幅も広がって嬉しい。日本の味がすでにこれだけ広まっているので今更感はあるし、やり過ぎない程度に情報提供する感じ、でいいのかな。うーん。


 「どう思う?」とアルクさんにも相談してみたら「それでいいのではないか」とのこと。あまり深く考えるのも疲れるし、結局協力できそうなことは協力してゆるーくいこうということになりました。


 とりあえず、私の知っているパンのことを話して商品開発してもらう方向でいいかな。でもうまく説明できるだろうか。絵とか写真もいいけれど、どうせなら実物があった方がイメージしやすいよね。だけど私はパン作りはしたことがない。作れる自信もないので、これは買ってくるしかないのかな。


 方針が決まったので、翌日の午前中に市場に向かい、いつものパン屋さんを訪ねてみた。


 私が行ったらコルネさんがすぐに気が付いてくれて、あちらから声をかけてくれた。しかも「先日は突然押しかけてしまってすみませんでした」と丁寧なお詫びまでされてしまった。好感度上昇。

 私は、訪問は驚いたけれど迷惑ではなかったこと、お土産のパンが美味しかったこと、商品開発の試食会を考えているので都合の良い日にまたお話したいと伝えたらすごく喜んでくれて、後日また家まで来てくれることになった。



    ◇



 ということで、本日はその約束の日。


 集まるのは午後なので午前中に市内のパン屋さんへ行ってみることにした。もちろん家の近くにはないから車でだけど、食料品はスーパーで済ませてしまうことがほとんどで、パン屋さんへ行くのは引っ越してきてから今日が初めてだった。


 事前にリサーチしたパン屋さんは人気店らしく、ちょうど出ていく車があったので入れ替わりで停められたけど、店の前の駐車場はいっぱいだった。車を降りるとお店に入る前からパンの良い匂いがする。幸せの香りだよね~。

 種類を多めに買っていこうと思い、さっそくパンを一つずつトレイにのせていった。惣菜パンや菓子パン、他にも朝食用に食パンなども購入したら結構いい金額になった。うん、先行投資だ、仕方ないね。


 他のパン屋さんにも行こうと思っていたんだけど、さっきのお店でかなり種類が買えたのでやめておいた。そのあとはいつものスーパーに行く。

 最近ガイルで買うことが多いけれど、こちらでしか手に入らないものも多いので補充するものを中心に買い物をした。

 あとね、お刺身。今日の夜はお刺身が食べたい! そう思ってちょっと豪華なお刺身盛り合わせを買ってしまった。さすがにガイルの市場にお刺身は売っていなかったし、魚をさばく自信もない。生で食べられるか不安もあるしね。


 便利な冷凍食品なんかも買って荷物は結構いっぱいになった。こういう時は車って便利だ。というか、扉使えないかな? そう思って車に戻ってやってみたけど扉は出せなかった。残念。家の中だけしか使えないのか、今度有効範囲を調べてみたいと思う。


 久しぶりの市街だったので、本屋さんや家電量販店だとかを見て周っていたら思っていたより時間が経ってまった。急いで帰ってきたけど、往復するとやっぱり時間がかかるなぁと思う。


 さあ、買ってきた物を片付けて、すぐにガイルへ向かおう。




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