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 結局、鍵を見つけた後はそれ以上の収穫はなく、騎士団長のおかげでかなり距離を進んで一日を終えた。


 問題の魔物を倒すことが出来たので騎士団長は一日だけで返却。本人は凄く不満そうだったけど、そんなに長く借りる訳にもいかないしね。


 また何かあったらお願いしたいと言ったら「必ず呼べよ」とかなりしつこく言われた。今回はあまり手応えがなくて暴れ足りないらしい。さらに「何もなくても呼んでいい」と言われたけど、それはちょっとねぇ……。


 別に来るのは構わないから、ちゃんと副騎士団長に許可を取ってからにして下さいね。



 そして翌日、翌々日と延々続く湖を進み、私達がいい加減この何もない景色に飽きてきた頃、今まで何もなかった水上に突然岩場が現れた。


「絶対に何かあるよねぇ」


「ですねぇ」


 私達はボートを進め、その岩場をぐるりと周ったところ、一部が大きな洞窟のようになっていて奥に進めるようになっている場所を発見した。


 もちろん迷うことなく進んだよね。


 途中まではボートで進み、少し入ったところから上陸したところ……なんと一番奥まった場所に見慣れた数字と階段を発見しましたー。


 つまり、ここが二十階層の終わりだ。


 まさか水上に階段があるとは思わなくて驚いたけど、ついにこの階層をクリアできると分かってみんなすごく嬉しそうだった。


 私達は階段を降りて一旦次の階層を確認することにした。


 階下には二十一の文字と見慣れたダンジョンの通路があった。どうやらまだ続くらしい。だけど水上ステージが終わったことにみんなほっとしていた。


「陸を進める……」


 だよねー、水上長かった……。


 普段剣を使うエミール君は、刃を飛ばすとかの技でもなければ水上ではかなり不利だった。マリーエさんも動ける範囲が限られてかなり大変そうだったし、二人とも陸を進めることが本当に嬉しそうだ。


 ロイさんは……うん、いつでも楽しそうだよね。


 私も頭上を飛び越えていく魔物にかなりドキドキしたし、正直もうボートは乗りたくない。陸万歳!



 先に進むかどうか話し合ったけど、区切りもいいのでこの日の探索は終了することになった。


 いやー、お疲れ様でした。そして記録更新おめでとう~!


 でもあれ、そういえばダンジョンの到達記録ってどうやって申請するんだろうって突然疑問に思ったんだよね。なので聞いてみたらエミール君が教えてくれた。


「戻った時にダンジョンを管理している窓口があるのでそこへ報告しますね」


「え、でも証明とか難しくない?」


「いえ、特にそういうものは必要ないですよ。申告するだけです」


 ええ、それって虚偽申告とかあるんじゃないのかなと思ったけど、あまりそういうことはないらしい。


「あくまで記録更新は名誉であるというだけですし褒賞などはありません。新しい階層の詳細を確認されますし、後から到達した者の証言と食い違えば虚偽だと発覚するだけです」


 なるほど、嘘はばれるし格好悪いだけってことかな。


 でもこのダンジョンってここまで来るの普通は無理じゃないかなと思う。何を言っても確かめようがないと思うんだけど……。


 まあせっかくここまで来たしと思って私はスマホを取り出した。ちゃんと自撮り棒付き。


「はい、みんなこっち来て。そうそう、ここに並んでね、撮るよ~笑って!」


 カシャ。



 ……うん、バックが階段と数字ってすごく地味だったね。




     ◇




 連日ダンジョンに潜っていたので、二日間お休みを設けることにした。


 本当はもっとちゃんと定期的にお休みにしたいんだけど、探索は計画通りにはいかないのでなかなか難しいんだよね。


 私は今回はお仕事を少ししてあとはゆっくりするつもりだったんだけど、実家から連絡があってちょっとだけ帰省することになった。なんでも「頂き物がたくさんあるので取りにおいで」と言われたんだけど……。


 実家に行くので駄目もとで友達の花ちゃんにも連絡をとってみた。お正月に会えなくてそのままだったのが気になっていたんだよね。社会人になって友達と疎遠になったけど、お互いが会おうとしないと本当にあっという間に時間が経つなと思う。


 花ちゃんは残念ながらお休みではなかったんだけど、夜に食事をする約束をした。地元在住の花ちゃんは今回はお店を予約しておいてくれるそうだ。わーい。


 そんな訳で今日の夕方に帰省して花ちゃんとご飯を食べてから実家に泊まり、翌日伯父さんの店に寄って帰ってくる予定でいる。


 だけどその前にガイルの家に訪問客があった。昨日の時点でマリーエさんから伝言を聞いていたんだけど、午前中にリリーナさんが頼んでいた商品を持って来てくれたのだ。


 商品っていうのは料理やお菓子作りで使う材料などだ。デイルズ家では食料品を扱う店をいくつも持っていて、メルドラン以外の各領とも取引をしている。その為、かなり幅広い品揃えを誇っているのだ。


 以前その話を聞いて、こちらでなかなか手に入らない調味料や食材なんかを手配できないか相談していたんだよね。そうしたら似たようなものがあるとのことで取り寄せてくれたんだよ。


 で、今日わざわざ運んできてくれたのだ。リリーナさんは馬車でやってきて、御者の人が荷物を降ろして運んでくれた。やけに荷物が多いなと思ったら、頼んだ物以外にも珍しそうなものなど色々持って来てくれたらしい。


 リストをもらって精算したんだけど、かなり割り引いてくれているようで安かったのと頼んだ物以外は贈り物だという。


「本来でしたらデイルズ家の大恩人からお金を頂くなんて出来ません」


 そんなことを言っていた。


 料金は払うと前からしっかり言っておいたからね。だけど押し問答の末に贈り物は頂くことになった。こんなにいっぱいなんだか申し訳ないです。


 ちなみに今日はマリーエさんはいない。ちょっと都合が悪くて来られないとのことで謝られたんだけど、お休みなんだし全然かまわないんだけどね。



 さて、荷物の受け取りも終わってリリーナさんとのティータイムだ。


 せっかく来てくれたんだしお話したいよね。


 今日はアルクが焼いてくれたシフォンケーキと桜のフレーバーティー。紅茶は季節の限定品なんだけど、ほのかな甘い香りと桜の花びらが入っていてとても可愛いのだ。


 アルクは今、日本の家でお菓子作り中。やっぱり細かい温度調整とかは日本のオーブンが良いそうだ。なのでガイルの家には二人だけ。最近はいつも人が多かったけど、今日はとても静かで珍しい状況だった。うん、こんな時は女子トークで盛り上がろう。


「で、エミール君とはどんな感じ?」


「え、えっ」


 いきなりの質問で驚いていたけど、リリーナさんは顔を真っ赤にさせながら恥ずかしそうに話してくれた。


「あの、エミール様はとてもお優しくて、パーティーの後も会いに来て下さいますし贈り物もして下さって……本当に私などにはもったいないぐらい良くして頂いています」


 そっかー、ちゃんと交流は続いてるんだ。


「このまま婚約は続けるの?」


「……分かりません。エミール様がどのように考えていらっしゃるのか、私には分からなくて……」


 リリーナさんからはなかなか聞けずにいるらしい。


「リリーナさんはエミール君のことどう思ってるの?」


「そ、それは……とても立派な方ですし、その、お慕いしています……」


 顔がさらに真っ赤になってうつむいてしまった。可愛いなぁ。


 でもそっかー、やっぱりリリーナさんはエミール君のこと好きなのか。エミール君はどうなんだろう。仮の婚約者ってことだったけどこのまま婚約は続けるつもりなのかな? 


 今度聞いてみよう。


 その後もしばらくリリーナさんからエミール君の素敵エピソードやマリーエさんの話などを聞いて楽しくおしゃべりして盛り上がった。


 でね、そんな中、リリーナさんが私に聞いてきたんだよ。


「リカ様とアルク様はいつご結婚されるんですか?」


「えっ? 結婚?」


 びっくりだよね。何でそんな話になるんだろう……。




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