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 唐突ですが、ガイルのおうちのリフォームが終わりました。


 いやー、あのパーティーより結構前に、私が「火力が欲しい」と言っていたのをロイさんが聞いて手配してくれたんだよね。あ、火力って武器とかじゃないよ、コンロのことね。


 ロイさんが「料理に直結する重要案件ですから」って真面目な顔をしてるのは驚いたけど、ありがたかったのでお願いすることにした。


 それで職人さん達とお話したりしている内に段々話が膨らんでしまって、結局コンロだけでなくカウンター辺りなども含めて少し広範囲に手を加えることになったんだよ。


 最初はおじいちゃんの家を勝手に変えてしまっていいのかなって迷いもあったんだけど、便利になるし管理人のアルクも賛成してるしで思い切って改装することにした。


 私とアルクが要望を出して、職人さんがそれを図案化してくれたり案を出してくれたりを繰り返した。そうして設計を決めていったんだけど、こういうやり取りは日本とあまり変わらない気がする。


 職人さんはいかにも親方って感じの年配の人と若い人が来てくれた。二人は親子で、親方はモルクさん、息子さんはペルルさんという。


 日本だと大工さんみたいな感じかな。家の建設から内装まで幅広く手掛けていて、とても仕事が丁寧だと評判の職人さんらしい。


 私達とのやり取りはもっぱらペルルさんがしてくれて、親方は横で話を聞いて要所要所で意見やアイデアなんかを出してくれた。


 親方は寡黙で最初はちょっと怖そうだなと思ったけど、単に会話があまり得意じゃないってだけで親しくなったら話をしてくれるようになったし、みんなで一緒にあーでもないこーでもないと話し合うのはとても楽しかった。


 それで私達の要望を聞いた親方とペルルさんは、家庭用よりも貴族の家で使うような設備の方が私の希望に合うと考えたみたい。実際見て決めた方が良いと言われたんだけど、こちらにはショールームとかないんだよね。なのでデイルズ家に行って見せてもらうことにした。


 マリーエさんにお願いしたら「もちろんかまいません。どうぞご覧下さい」って快くキッチン、というか厨房を見学させてくれた。


 貴族の屋敷自体が珍しかったけど、厨房なんてもっと立ち入ることがない場所なのですごく面白かったよ。


「おお、広ーい!」


 さすが貴族の屋敷というか、とても広い厨房で料理人も三人くらい居た。家でパーティーを開いたりすると足りないくらいだと言ってたけど、普段からこんなにいなくてもとちょっと思ってしまったよね。貴族って色々大変そうだ。


 まあその辺りはともかく、設備はなかなか素晴らしいものだった。私はこちらの厨房設備にどんなものがあるか知らなかったけど、コンロもかなり火力が強いもので数段階に調整できるし、オーブンや冷蔵庫みたいものもあってなかなか充実していた。


 ガイルの家は簡易キッチンなのでコンロも小さいしオーブンもない。あと冷蔵庫もなかったんだよね。今は収納鞄があるから保存に冷蔵庫は使わないけど、調理過程で必要な時もあるので出来れば欲しいし……。


 そんな感じでどんどん追加していったらかなり本格キッチンの設計になってしまった。


 結果、ペルルさんからは必要な設備を発注して届くまでに少し時間が掛かると言われ、作業の取り掛かりは遅くなった。しかもこちらの都合でお休みを挟みながらだったので工事期間は結構長く掛ってしまったんだよ。


 でね、工事中でもみんなは家にやってくるんだよね。なので邪魔にならない場所に大きなテーブルを用意した。


 カウンターが使えないからその代わりにと思ったんだけど、部屋は広いから少し椅子やソファを別の部屋や日本に持っていったりしてスペースを作れば十分置くことが出来た。


 ペルルさん達も一緒にご飯を食べたよ。食事は収納鞄から作り置きなんかを出したけど、お茶を淹れるのに日本から持ってきた卓上コンロでお湯を沸かしたらすごく珍しがられた。


 こちらでは魔石を使ったものが一般的だし、こういう持ち運び可能なものもないらしい。で、魔道具の話でちょっと盛り上がり、そういえば魔道具のお店って行ったことがないなと思ったら、ペルルさんの知り合いに魔道具屋さんがいるという。


 こういう機会は逃しちゃいけないよね。なのでさっそく紹介してもらってお店を訪ねることにした。


 お店はね、すっごく面白かった。見たこともない機械や道具が所狭しと並べられていてワクワクが止まらなかった。あの通信用とかの鏡もあったよ。もちろんお値段は無茶苦茶高かった。


 アルクには無暗に触らないように、なんて注意されたけど子供じゃないんだから壊したりしないよ?


 それに神力を流さなければ動かないんだから少しくらい触っても……はい、大人しくしてます。


 でね、ペルルさんに紹介されたのはマキナさんという可愛らしい女の子だった。なんとペルルさんとは幼馴染でこの店の娘さんらしい。


 彼女は魔道具がとても好きで研究したり自分で作成もしているそうだ。しかも道具の修理や改造もしてくれるというので、私はちょっとお願いをしてみることにした。


 実はホットプレートをこちらで使いたかったんだけど、コンセントが無いから困っていたんだよ。ここで代わりになる物があれば買ってもいいかなと思ったんだけど、残念ながら売っていなかった。なので私の持っているものを魔石と神力で動くようにしてもらえないかと相談したのだ。


 マキナさんはとても面白がってくれてホットプレートの改造を請け負ってくれた。だけど家から持ち出すことが出来ないっていう難点があるので改造は家まで出張してもらったりと迷惑をかけてしまったのは申し訳なかったかな。でもおかげでこちらでも使えるようになり、さっそくお好み焼きを焼きました。わーい。


 フライパンでもいいけど、みんなでワイワイ言いながらホットプレートを囲んで食べるのが楽しいんだよね。マキナさんもお昼に誘って食べたんだけど、みんな凄く気に入ってくれたみたいだ。親方やペルルさん、ちょうどやって来たエミール君も美味しいって喜んでくれたし、マヨとお好みソースがたまらなかく美味しかったです。うまぁ。


 ああ、あと後日、話を聞いたロイさんや騎士団長がお好み焼きを食べたいってごねたり、どうせならとタコ焼きを作ったり焼き肉をしたり、ついでにホットケーキも作ったりした。そんな感じでホットプレートはしばらく大活躍だったよ。うん、美味しいし、とっても楽しかった!


 そんな感じでホットプレートを満喫する間にパーティーがあったり事件があったりと色々あったんだけど……無事にキッチンは完成となりました。


 作り置きが少なくなったし、さっそくいっぱい料理しようと思います。


 頑張るぞー!





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