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弟が優秀すぎるから王国が滅ぶ  作者: 今井米 
テッテレー!!レベルが上がりました!
90/200

第14話 ホワイトマスクズのアタック

スリー兄上とフォー姉上は、よく騎士団の訓練をサボっていた。

ツー姉上の、自分の事は自分で守れるようにならなければいけない、ていう教えを軽んじて。


そして、今。二人は自分よりも格上と戦った筈。

‥‥なのに、勝っている。


「‥‥姉上。」


「何だいファイーブ?」


「何故二人は、騎士団の稽古では手を抜いていたのですか?」


「え?」


驚いた表情で僕を見る姉上。スリーも同じような顔で僕を見ている。まるで何を言っているのか分からないと言ったようにとぼけた顔で。


「とぼけないでください。訓練で見せた姉上達の動きは、さっきの白仮面に明らかに劣っていた筈。なのに、姉上達は簡単に撃退した。手を抜いていたんでしょう?」


「……。」


「何故なんですか?」


「‥‥はぁぁ。」


深い、深いため息を吐く姉上。そして面倒臭げに僕を見る。


その顔に少し怯んでしまうが、喝を入れて耐える。ツー姉上は二人の事を思って騎士団の稽古を取り入れてくれたんだ。その善意を無下にするような行為を何故したのか。


説明する義務が二人にはある筈だ。


「‥‥別に、手を抜いていたわけじゃない。稽古で見せたのが私達の実力だよ。」


「そ、そんなこと!!現に今!二人は実力者二人を撃退した!!」


白仮面は弱くなかった。どころか、騎士団ではそこそこの実力者として数えられる筈。そんな相手に勝っておいてあの弱さが実力だと!!


「嘘はいい加減にしてもらいたい!!」


「嘘じゃないよ。騎士団の動きは、『正々堂々、よ~いドン』の戦い方。一方で今起きたのは、その真逆の戦闘。騎士団稽古での実力と、今回の実力は別のジャンルだったというだけよ。」


「な…!!いや‥‥そんなこと!!」


嘘、‥‥ではないのだろう。現に今回、姉上達はオーダーメイドの武具と、魔道具を使っている。極論だが、武具の性能が良ければ押し切れる。それだけの性能の差があったのかもしれない。


また、相手は姉上の手の内を知らなかった。どちらが先に仕掛けるかも分からなかった。だからこそ、姉上達が先手を取り武具でゴリ押しできたともいえる。


理論上ではそうだ。


「けれど…。それだけで勝てるほど相手は弱くなかった‥‥。」


「さぁね。そこは私に言われても。現になんとか撃退できたのだから仕方がない。」


結局姉上は稽古をサボった理由を教えてくれなかった。咎めるような僕の視線は一切気にならないらしく、姉上はぶっきらぼうにスリーに尋ねる。



「それで主犯格はどれですか兄上?こいつ?」


賊の主犯格を問う姉上の質問を受け、宝刀の血を拭っていた兄上は仮面達を見る。スリーは白仮面の前をウロウロと歩き回ったかと思うと、一人に向けてびしっと指をさした。



「えーとね。。。。ちょっと待ち。。。あ、こいつが主犯っぽいね!」


「本当かよ…」



僕と同じく姉上は信じていないみたい。


胡散臭い者を見るような目でスリーを見る姉上を見て、慌てて弁解するスリー。




「そうだって!脚が爆ぜた時に全員がコイツを見ていた。指示を仰いでいたんだよ。半端な洗脳が施された兵隊の欠点の一つだね。個々の役割に従事するあまり、思考ですらを担当の者に委ねる。通常時における迅速な動きが可能になるけれど、緊急時の咄嗟の判断ですら個人で出来ないんだ。」




「じゃあコイツが指示したのですか?」




その言葉を否定するかのように首を横に振るスリー。




「いや、コイツを媒体に声を届けたって感じだね。本当の主犯はコイツの目を通してこっちの指示を出しているだけの筈。この白仮面の中にはいないよ。もしコイツが親玉なら阿呆でしょ。」


僕があたふたとしている間に、そこまで考えていたのか。。。。。


でもそれならさっき白仮面の前をウロウロと歩き回った理由があったのか?そこには疑問を感じなかったのか姉上は話を続ける。



「確かに親玉にしては弱かったですけど。間抜けが統率している場合だってあるでしょうに。」


「切り捨てこそが洗脳兵の強みなのにリーダーがいるの?それに完璧な練度で襲撃決めれる癖にその後は非戦闘員にやれらるなんて、存在価値無いよコイツら。そんな奴らが王宮の警備潜り抜けた考えるぐらいなら、、、、ねえ?」




「こいつら全員が切り捨て要員で、優秀な親玉の指示があって、安全な場所で控えているそいつからの指示に従っていたと考える方が自然ですかね。それに戦闘ではなくて他に目的があるのかもしれないですね。じゃあ急いで知らせを出して、捜索。主犯を追いかけさせますか…」



「その頃には逃げられてそう。」



「それは私も思います。」



ポンポンとキャッチボールのようにテンポよく話が弾む姉上とスリー。


僕は内容に追いついていくので精一杯。


「どうしますか?王宮に侵入した賊の手がかり無しはマズイでしょう。かと言って近衛も捜索は不得意ですし、今から兄上が外に出て探してきてくれませんか?」


「暗に死ねと仰ってるのかな?友人に頼んでくるよ。一週間後くらいには手がかりぐらいは掴めている筈。」


「友人とか嘘吐いて恥ずかしくないんですか?」


「…なんでそう言うこと言うの?今の話の流れぶった切って態々いう事?」


「いや、看過できない嘘でしたので。」


「どういう意味だよ。」


「そのまんまの意味ですよ。」


二人がわいのわいの喋っている間に、なんとか話を整理する。今回の白仮面を指揮する存在が、逃亡中。捜査をすれば一週間後ぐらいに手がかりができる。何をそんな悠長な。その間に犠牲者が出たらどうするのだ。


そんなことしなくても僕なら解決できる。さっきは偶然役に立てなかったが今度こそ僕の出番だ。




「僕に任せてください。」



「え?」




「『探知』」




主犯の白仮面の記憶と時軸を閲覧し、会った人間をリストアップ。

‥‥該当者が2人、か。



「『口寄せ』」




そしてその中から半径2㎞以内にいる人間を問答無用でこの場に引きずり出す。




「混合術式『捜索捕縛』」





見つけたよ。。

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