第17話 愛しい我が子
今までの会話から分かるように、母上にとって私は、私とスリーはお人形さんだ。
王族という特殊体質を持つ駒。そんな便利なものを欲しがって嫁いで産んだ駒。
王宮という魔の巣窟で。
さっきから何度も言っているが、そこだけは尊敬しているのだ。
でもなぁ、この人の子供になっちゃったからなぁ。。。。。
はっきり言って不利益しか被っていないのよね私達。
商人からは親の仇のような目で見られるし、親世代の貴族からは汚物を見るような目で見てくるし、半分平民だからか格下だと内心見下す同世代の貴族達。
と、まあそんな愚痴を言っても仕方が無いか。
「積もる話もあるでしょうし、食事にしましょうかね。」
「やった!」
「そんなに愉しみだったの?」
「勿論!タダで食べる飯程美味しいものはないわ!」
この人のこういうとこ本当に嫌い。。。
晩飯は宙魚のカルパッチョを前菜とした、コース料理。母上と兄上の二人がタッグを組んだせいか、いつもの10倍は値段は掛かっている筈。
宙魚とか買うだけでどれだけの金がかかると思っているんだ。
でもまぁ、折角の親子水入らずの食事だ。ちょっとぐらい贅沢してもいいだろう。
そう思いながら私は前菜を口にほうばった。ほろほろと溶ける引き締まった身と、そこから溢れ出る素材の味‥。
うん、美味しい。
途中母上の我儘でスリーの好きな海泡牛のステーキが音足海老のグリルになったというハプニングがあったものの、食事は恙無く進み、団欒を楽しんだ私達。
最後のデザートが運ばれて食事も終わり。
鱗卵のスフレケーキをフォークで口に運びながら母上は私達に話しかける。
「そういえば今日の用件を言ってなかったわね。」
「用件?」
そんなのあったのか。いや普段は母上こういう談合すっぽかすし、来た時点であって当然と気付くべきだったかな。
「すぐ済むことですか?」
できることなら食事前にして欲しかったな。そんな言外に込めた私のメッセージを汲み取ったのか、苦笑いをしながら口を開く母上。
「そうよね、早速本題に入らせて頂くわ。」
どうせ金銭関連なのだろうが、幾らほど請求するのだろうか。前回は8000万だった。今はそんなお金ないから要求されると困っちゃう。
「サーシャとかいう少女を、寄越しなさい。謝礼はそれ相応にするわ。」
けれど母上の話は。私の予想とは全く異なったもので。
「ほら、さっさと出して。」
・・・・???
サーシャ様を??




