第14話 嗚呼我らが最愛の母
ローズにはどこまで話したけか。第一王妃は話して。第二王妃も話して。
後は‥‥側室妃か。
「さてローズ。話を進めるよ。俺とフォーの母である側室妃はなぁ。。。」
「いやそれはいいす。」
「なんで!?」
しかしローズは首を横に振ってこういったんだ。
「だってお二人の親ってことは人を金貨袋としか思っていないとかいうオチでしょ。」
そうなんだけど。そうなんだけどさ。なんっか人に言われると癪に障るよね。
俺とフォーの母は、豪商の娘として生まれた。そして母上は、さっき言ったみたいに人を財布としか思ってない。つまりは屑。
俺のこと屑って言う人間がいるけど、屑の子供は十中八九屑なんだから、俺の性格は俺のせいじゃないよね。つまり俺は悪くない。俺の性格への苦情は全部母上のせいです。
母上にとって王国も、夫である王も、子供の事も。全ては金を生み出す道具。物心ついた時から俺とフォーは母の役に立つようにと躾けられたし、母のリターンのみを考えて商売しろって言われてきた。中々に人でなしだ。
今でも月一ぐらいで金寄こせって俺とフォーに連絡してくる。産んであげた恩を返せってさ。
それ言うなら俺等は産まれてきてあげたんだが?
いややめよう。これ以上はデリケートな問題に入る。俺はそんなことを議論したいわけじゃない。
話を戻せば、オカネダイスキーな母上は見事なことに子供より金を重視する。そもそも子供産んだのだって金のためだしな。発想が凡人とは違うね。
母上は何故金を集めるのか。別に母上は金に困っている訳じゃない。寧ろウハウハな筈。ただ、金を儲けるのが好きってだけなんだな。
今は側室妃として供給される公費を存分に使って商売に勤しんでいる。王家っていうコネを存分に使っているから繁盛しないわけがないんだよね。そのためにハニトラ仕掛けて、縁切れない様に子供まで産んだんだ。
でもそれだけじゃあ満足できないらしい。
もっと金が欲しい。
もっともっと。
もっともっともっともっともっともっともっともっともっと満たされたい。
そういう価値観の母親なんだ。
「というわけ。」
「予想通りすぎて何も言えないっす。」
王血に対して失礼すぎるなコイツ。
「というわけで、結局王を愛している人間なんていないのさ。」
「・・・・・・。」
当初の話の結論に戻り、黙りこくるローズ。沈黙が場面を支配するが、別に場を盛り上げようという気はない。
でも、父の名誉の為にちょっとだけ訂正しておこうか。
「正確に言うならさ、王妃達は王を愛してはいるだろうさ。けど、手を汚してでも王の愛が欲しいってわけじゃない。あるなら欲しい。無くても別にいい。だから王はあんなに嫁を囲んで楽しめるってわけ。皆が王を愛していたら、ローズの好きなギスギスドロドロなドラマが起きていただろうね。」
「。。。。別にそういうのが好きってわけじゃないです。」
あらそう。
「ああ、そう言えばローズ。」
「何すか?」
「今晩俺は、フォーの所で夕食食べてくるから。ローズは自分で食事用意して食べといてね。」
「え。いいなぁ…。」
いいなぁて。
その晩。
ローズの羨みと悲しみの籠った表情がやけに印象的だった。
ごめんて。




