第20話 殺されパート
そんな馬鹿な。まさか姉上が『夜斧』だなんて。。。
・・・いやないわ。可笑しいでしょ。姉上が命じて部下が来たなら兎も角、姉上が自分の得物以外で態々来るなんて。しかも寝込みを襲うなんて姉上らしくない。
いや、私が姉上の何を知ってんだ、て言われたら何の反論も出来ないけど。けど少なくても股間蹴り上げて悶絶する人では無いわ。
「その顔はマスクですよ。剥いで見てください。」
成程ね。
かぶりものだって当然分かっていましたよ?本当よ?
とにかく。
私はシェードに言われた通りに顔に手を当てて、皮を剥ぐ。すると、中から男の顔が現れた・・・ごめん。理解が追い付かないや。
状況を整理しよう。今日二人の暗殺者が襲ってきた。一人はローズちゃん。もう一人の『夜斧』という暗殺者は男。だけどそいつは姉上の顔をした覆面を付けて、その上に黒布で顔を覆ていた。なにがしたいの?私への嫌がらせかなにか?
ローズちゃんもびっくりしてる。
「そういえば聞いたことがあります。」
シェードが唐突に何か語り始めたんだけど!?
ローズちゃんもびっくりしてる。本日二度目だ。
「・・・いやどうでもいいのだけど。」
「ある不幸な少年の話です。」
「あの私の話聞いている?」
「彼は幼き頃から貧民街で暮らし、母と妹とともに毎日貧困に苦しみながら暮らしていました。」
「私主君よ?聞けよ。」
「ある日彼の母は殺され、妹は人攫いのグループに連れて行かれました。」
コイツ。。。。全く話聞きやしない。マイペースすぎるでしょ。
「途方に暮れ、大切なものを奪われて絶望した彼は、そのまま毎晩毎晩夜の街を彷徨い続けました。」
「そんなある日のこと、彼はとある少女と出会いました。」
「それは若き頃の『姫騎士』です。」
姉上?
黒斧と姉上は関係があった?
「そこからなんやかんやあって『姫騎士』は人攫いを成敗し、妹を助けました。」
ちょっと!?いい所で端折らないでよ!!
「そこで彼は思いました。『そうだ、暗殺者になろう』。」
「「え!?」」
ローズちゃんと声がハモってしまった。ていうか貴方も聞いていたのね。分かるわ。ちょっと気になるよね。なんで暗殺者?てなるわよね。そこをシェードは端折ったけど。
「彼女の道を妨げる人間を片っ端から排除することで、『姫騎士』が孤高で清らかな存在であり続けて欲しい。みたいな理由です。」
「ごめん何言っているか分からない。」
「『姫騎士』を裏から守るダークヒーロー気取っているよ、なぜなら彼女が好きすぎるから、でどうですか?」
「ああ、それなら分かります!」
元気いっぱいに叫ぶローズちゃん。
うん、私は分からないよ。
えと、何?こいつは姉上に憧れたから姉上と同じ顔にしようとしているの?得物とか言動とかは何も変えていないのに?
で暗殺者なのは姉上の行いを陰から支える為、と。
・・・無茶苦茶じゃないコイツ。
国内にもやばい狂信者がいるのね。これじゃ教会のことを笑えないわ。
誰得設定
夜斧
割とガチ目のストーカー。そしてかなり強い。
周囲がドン引きするほどの執着心でツー第二王子をストーキングし続けた結果得たその力は、ツー第二王子の邪魔者を排除する事にしか使わない。なお、ストーカーなのでツー第二王子がそれを望んでいるかとか考えていない。「ツー様の手は綺麗なままでいい。自分がツー様の代わりに手を汚すんだ!」とか思っている。
つまり超迷惑な奴である。
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