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弟が優秀すぎるから王国が滅ぶ  作者: 今井米 
実兄怖いし嫌い
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第19話 殺しパート

「じゃあ暗殺者は全部で何人いるの?教えてくれる?」



「は、はい!確か『溝鼠ドブネズミ』と、『毒手』。『不可視』に『百目』、『石槍』です!」


人数を聞いたのにまさかの人名だけの返答!?コイツ話聞かねえな!?


「フォー様。」


「なにシェード。」


「今の名前ですけど‥‥。」


名前?『溝鼠(ドブネズミ)』、『毒手』、『不可視』、『百目』、『石槍』だっけ‥‥あ。聞き覚えのある名前があると思ったら、先週から連チャンで来てる暗殺者たちがいるじゃない。


当然こいつらが来たことは外部に漏らしていない。それなのにこの名前が出てくるということは‥‥。これはもしかしてもしかするのでは?


シェードも同じ事を思ったのか、渋い顔付きで私を見ている。


「勿論これだけで断言はできませんが…。」


「嘘だと却下することも難しいと。」


「ええ。」


うーん。けどなぁ。。。


「もし真実だとするとですよ、フォー様。」


「真実だとすると?」


「私達はここんとこ、そんな馬鹿な宴に振り回されていた。そっちの方が憂鬱ですね。」


それはそう。まぁだが、嘘と決めつけるのも早計か。


はぁ…。

私は再度ローズとかいう少女に向き合う。彼女の眼は恐怖に怯えているが、嘘を吐いているかと言われていると‥‥そうは思えない。



「・・・5人だけかしら?」


「はい!後『夜斧』先輩と私がいますけど、本命は皆あの5人で選んでます!」



5人て本命というのかしら。というか『夜斧』なんていう名前つけられているのに本命じゃないのかよ。いかつい名前のくせして雑魚め。




「で、貴女はどうしてきたの?」



「はい!本命の皆が帰ってこないから勝ち確だって『夜斧』先輩が出発しちゃったんです!私一人だけ何もしない訳にはいかないので『夜斧』先輩についていったんですよ!」



「本命じゃない奴が勝ち確だって思ったの?返り討ちに遭う可能性の方が高いでしょ。」


私の指摘を聞いて、答えづらそうに口を開くローズ。そして臥せている黒斧をチラリと見て、幾分声を抑えて問に答える。


「えと、その、、先輩は、、、、、チョビーットだけ自分が世界の中心だと思い込んでいる節があるというか、、、そういう性格の人なんです。」




暗殺者が世界の中心なんてとんだ世紀末よ。そんなこと本気で信じるなんてコイツの脳細胞仕事しているのかしら?




「それで貴方は『夜斧(アレ)』の後輩だから付いていったの?なんで?好きなの?」


「違います!」


即答。うん、ごめんね。軽い冗談のつもりだったのよ。恋バナがしたい年なのよ。




「闇カジノに無理矢理出場させられたんです!熟練の暗殺者が全滅して、残り先輩一人だけだったら賭けが盛り上がらないって!!だから『夜斧』さんと競い合っている的な雰囲気を出すために駆り出されたんです!そうしないとお給料0だって言われたんです!!」




何そのカジノ。王族私殺せなんて大層な命令出しておきながらみみっちい八百長をしてんのか。それも本命じゃない人間を使うなんて。人手足りてないじゃない。


しかも半人前を給料没収餌にして補ったとか阿呆なの?


というか今の話を聞く限り貴方を雇った人は闇カジノの人間よね?なんでいないなんて言ったのかしら。どーにもこの娘の話はちぐはぐというか、支離滅裂な印象を受けるわね。


シェードの方を見れば、シェードも違和感を感じたようで。取り合えずシェードには合図を送り、次の指示を与えて置く。


そして、取り合えず一通り聞き終えた私はローズちゃんにお礼を告げる。真偽はともかく面白い話だったわ。



「ペラペラ話してくれて良い子ね。じゃあ今からちゃんと拷問するね。」



「そ、そんな!信じてください!嘘じゃないです!何でも言います!カジノの場所も、顧客も、手口も!馬車馬のように働きますし、奴隷でもいいです!だから痛いことはしないで!」


「そうね、思いっきり痛いのにしましょうね。」



「そうですねフォー様。」



「話聞いてました!?」


ガラガラと台車から拷問器具を並べていくシェードを見て顔を真っ青にするローズ。私もこんな酷いことをしなければいけないなんて心が痛んでしまう。



「でも拷問は相手の嫌がることをするものだし…。仕方が無いか。よし、言い訳完了。やっちゃって、シェード。」


「御意。」




「なんで王子がそんな血生臭いことを言うのですか!?もっと私を信じてください!」



恐怖と驚愕で叫び倒すローズちゃん。彼女の言い分は分かる。分かるのだが…。



「ハッキリ言って怪しいのよ貴方。シェードもそう思わない?」


「まあ、王子暗殺までも賭け事にするようなイカレ賭博場なんて聞いたことありませんしね。でまかせだと思う方が妥当ですね。」




だよね。影の情報網から逃れられる程の存在がいるわけないだろうし。ましてやこんなお粗末な計画しか立てれないなんて組織ができるとは思わないよね。。。




「そんな!?せめて公平な裁判を!」




「王族狙った人間はマッハで拷問していいって王国裁憲12条5項に載っているのよ。だから裁判通しても結果は一緒ね。やったね!裁判通しても結果は一緒よ!」




「そんな!?じゃあどうすれば。。。」


そこからオロオロと泣き叫ぶピンク頭。


やっぱり違和感があるわね。


こいつは暗殺者というよりそこら辺のゴロツキだ。今までの暗殺者は私に殺されるか自決するかどっちかだったんだけど、こいつは速攻で命乞い始めたからね。



仕事より自分。プライドより命。王族を狙う暗殺者にしては中途半端すぎる。



でも雇い主は隠した。意味分かんない話を喋って。しかし雇い主はその意味分かんない話から推測できるっと。じゃあ何で始めから素直に話さない??


なんか変。まあ後で聞けばわかるか。



「よし。まずは水責めかしらね。」



「フォー様、フォー様。」



早速拷問に取り掛かろうとしたらシェードが後ろから私の袖を引っ張った。



「‥‥なーにシェード?服が伸びるから辞めて欲しいのだけれど。」


「そいつの顔見てみて下さい。」


そいつ?ああ『夜斧』のことのね。


シェードに言われるがままに素手で黒布を剝ぎとり、その中にある顔面を覗く。するとなんとビックリ。




そこにあったのはギラギラした熱意を放つ紅眼。細かく手入れされた髪。色は吸い込まれそうな黒。姫のような高貴な雰囲気と荒ぶる意思を感じさせる顔だち。






姉上だった。






姉上!?





はぁ!?

誰得設定


1.溝鼠

ネズミを使役する暗殺者。情報調達から毒物の運搬まで全てネズミがしてくれるので、本人は快適に金儲けできる。難点としてはネズミの餌代の出費が馬鹿にならないのと、そこまで熟練の術者になるのに30年費やしたことである。

なお、ネズミは賢いのシェードを見て速攻で裏切りましたとさ。


2.毒手

毒の使い手。幼少の頃から腕に染みこませ続けた毒手を用いて相手を屠る。毒はかなりの遅効性で、対象が死に至るまで数週間かかる。反射的に身代わりにされたシェードさんに毒は効かないので意味はありませんでしたが。


3.不可視

空気刃という独自魔術を用いて相手を切り刻む暗殺者。精密性と隠密性が売りのその魔術で数々の猛者の頸動脈を切り裂いてきた。そんな相手だが王城には魔術阻害の結界が張られているので上手に作動せず、お気に入りの服がしわくちゃにされて激おこなシェードさんにしこたま殴られましたとさ。


4.百目

2章1話で達人ムーブしてた人。

眼球コレクターとして名を馳せており、対象の目を必ず抜き取ることからその異名を得た。お気に入りの眼球は常に持ち歩いており、それ以外は部屋に飾っている。フォーの眼は嘘くさいのでやる気が出ないなぁと油断していたら見廻りのシェードに見つかって熱いバトルを繰り広げましたとさ。

なお、普通に強いのでシェードは地味に焦っていた。


5.石槍

自身の魔術陣を仕込んだ小石を遠隔魔術により槍に変換させる暗殺者。とても強力な魔術だが、体積は同じなので小石だと針にしかならない。警戒心が異常に強いフォーちゃんは異物を身近に置かないし、王城の阻害術式が鬱陶しいわで発狂していた人。

取り合えず側近を消すかと思っていたらそいつがとんだ地雷だったというご愁傷様な方。

本人から一言「なんで石槍が皮膚に負けるんだよぉぉぉ!!!」

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