第18話 暗殺パート
それにしても迷惑な奴らよね。レディーの寝床に襲い掛かってきたあげく、ゴミとなって私達の部屋を汚したときた。掃除させようにも死んだせいで、掃除させれない。
最低野郎だ。
そんな最低野郎を見ながら、私はシェードに指示を与えていく。
「取り合えず、このフォークぶっ刺さった『夜斧』さんはどうするの?言っておくけど朝まで放置とか嫌よ?」
「フォー様は私が生きている暗殺者を放って置くとでも思うのですか??」
驚きの表情で私を見てくるが私の方が驚きなんだが。
え、こいつ死んでないの?
「麻痺毒の効果が切れるまであと三時間。脚の腱を切って影に渡しましょうか。」
「それ、生きていなきゃダメ???」
「最近は影長が生きてる素体が欲しいと言ってますしね。それに人を殺すなんて酷い事を私はできません。」
影長に引き渡すのはいいの?99%以上の確率でそいつ実験台だよね???100%の確率で3日後には死んでるよね?
けどこれ以上は怖いから私はスルー。『夜斧』の事は無視して部屋の片隅で震えているもう一人に目を向ける。
「ひ、ひひぃ…。」
これはもう片方の暗殺者。始めにシェードが縛り上げた方だ。私に斧振りかざした方はシェードが首貫いたから死んじゃっている。南無。私を殺そうとした剛毅な者よ。どうか苦しみながら死んでくれ。
…いや死んでないのか。残念だな。
話が逸れたね。もう一人の方だ。私はそちらに近づき声を掛けることにした。
「それで、貴方は誰なの?」
「あ、、、あの。。。。。」
「はぁ!?聞こえないんだけど???」
「ひぃ!?」
ああ、マスクでくぐもって聞こえにくいのか。ならばよし。私は鬱陶しいマスクを剝ぎとる。ピンク色の頭をした華奢な子供‥‥子供?
「‥‥貴方、名前は?」
「ひぃ!ロ、ローズでしゅ!」
しかも女の子だった。こっちが私を襲い掛かってきていたら、金的蹴っても意味無かったわ。ありがとう『夜斧』君。始めに襲ってきてくれて。お陰でちゃんと君を潰せたよ。
それにしても桃よりもピンクな髪をした女の子は珍しい。名前は確か…。
「ローズね。それで貴方達を雇ったのは誰かしら?」
「ええと。。。」
何かを隠すように目を逸らし、冷や汗をかいているローズ。逃げ道を探しているのだろうか。しかし当然、シェードが道を塞いでいる。
そして私も、例え相手が女子供であるといってもそんなことで容赦する気はない。
「誰なの?」
「実は、、、、その人と私の雇い主はいないのです。」
……へぇ?
偶然同じ日の夜に同じ時間帯で同じ部屋で暗殺者が足を引っ張らずに殺しを働きに来たと?私情で?それが真実なら私は臍でお茶を沸かせるわ。
「シェード?」
「はい!5分もあれば素直に喋らせることが出来ます!ぜひお任せください!」
流石影。生き生きしてる。出来れば今すぐ性格直してほしい。これが私の側近てどうなのよ。私平和主義者で評判なのに。
全く、イメージ崩れて困っちゃうわぁ…。
「3分で済ませなさい。」
「ラジャーです!!」
どんな拷問するんだろ。ワクワク。
シェードからただならぬ狂気を感じ取ったのか、子犬のように怯える暗殺者。おい私を見るな。相手が違うだろう。
「本当なんです!雇い主はいないんです!信じてください!」
私の足を掴み、必死で地面に頭をこすりつけるローズちゃん。第三者が見れば私が悪者だと言われかねないけれど、幸いここには私とシェードしかいない。
「そうねぇぇ。」
「お願いします!!!」
なおも懇願するローズちゃん。白々しいわねぇ。
「暗殺者のいう事を信じろと?どう思いますよシェードさん。」
「そうですねフォー王子。臍で茶を沸かす方が遥かに容易かと。」
それ私もさっき思った事だわ。
・・・・私の感性ってもしかしてシェードと同レベル?それは嫌かな。
そんなことを思っていると私達の沈黙に増々顔を青くするローズ。そして耐え切れんとばかりに大声でまくし立てている。
「本当なんです!貴方は賭けの対象だったんです!」
「賭け?」
「はい!侯爵達が、どの暗殺者がフォー王子を殺せるかっていう賭けを行っていたんです!」
え、ショック。何でそんなことしているの?私って皆に愛されるプリンセスのつもりだったんだけど。というか私殺して何になるのよ。賭けなら素直にサイコロでも振ってなさいよ。
まぁ、嘘なのだろうけど。
「よくできた冗談ね。ちょっと面白かったわ。」
「え?」
「本当は誰に雇われたの?さっさと喋って。私はもう寝たいのよ。」
「まさか信じてない!?こんなに必死になって喋っているのに!?」
当たり前でしょ。さっきも言ったけど私を殺す賭けなんてあり得ないでしょ。私個人を殺して得るメリットなんて無いし、今みたいにバレてしまったら自分の地位が吹っ飛ぶわよ。
「シス子爵、トランス子爵、メソ子爵、キラル伯爵、アキラル伯爵、エナンチオマー侯爵の主催する宴なんですよ!そこで誰が貴方を殺せるか賭けが合ったんです!」
必死に主張する少女。そのまま壊れた玩具のように名前を連呼する様はかなり怖い。思わず後ずさってシェードの後ろに隠れる。ヘタレと言うなかれ。それが私なのだ。
「そ、そっか。ヘー。いい宴ね。それはどこであったの?貴方の夢の中?」
「全然信じてないじゃないですか!!本当にあったんです!!」
「「はいはい。」」
そんな宴ある訳ないじゃないの。今の王国の内情でそんな阿呆なことしてる奴いたらとっくに淘汰されているわ。というかエナンチオマー侯爵しか聞き覚えがないし。
あ、エナンチオマー侯爵って父王のマブダチじゃん。もし本当だったら…面倒くせー人間引っ張り出しやがったな。
「本当ですよ!!」
ここまで来て嘘を貫こうとするのか。逆に凄いわねコイツ。
…何か逆にワクワクしてきたわ。このまま尋問を続けましょう。
誰得設定
シェードの5分クッキング
まず、右脚を切ります。
右脚を食べさせます。
嫌だと言うので殴って口に入れさせます。
次は左足だよと言います。
相手はスラスラと話してくれます。
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