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第10話 好感度タクティクス

「何なんですかあの男の態度は!」


「ねえ聞いた?フォー様の婚約相手って帝国の皇子なんですって。」


「自分の娘を使って帝国に媚び売ろうってか。最悪だな。」


「ねえ、国王様ったら本当に酷いわよね。」


「でも本当にひどいのはあの皇子だよ。朝っぱらから酒を飲んでは千鳥足で遊びに行っている。嫁さんがいるのにだぞ?」


「これじゃあフォー様が不憫で仕方が無いよ。」


‥‥‥思ったよりも噂の周りが早い。


原因は分かっている。あの失礼ば皇子だ。


しかし幾らアレックス皇子の態度が酷いと言っても、皇子のすることだよ?ある程度は受け入れればいいのに。…とは思えない。流石にあの態度は酷い。


「まぁ全部私の実力なんだけどね!!」


「…そうですね。」


幼い頃からコツコツコツコツ皆の機嫌を取って『可愛い性格の良い王子』になったからね。王族と言う身分は好感度上がりやすいし。


使用人は王子の名前と顔を覚えるのは必須だけど王族にはそんな義務ない。名前を覚えて挨拶するだけで好感度が爆上がりする王族に生まれて私は嬉しいよ。



そんな私を皆が愛するのは至極当然であり、それを軽んじた皇子がボロクソに言われるのは当たり前のことなのだ。


「当たり前、なんだけどねぇ。。。」


分かってはいても頭痛がするわ。皆自分が誰の悪口を言っているのか分かっている?


相手は腐っても帝国と言う大国の皇子。使用人が生意気な口を利ける立場の人間ではないのだ。でも今回の事態はどう考えても相手のせいだ。


使用人を宥めて私の好感度を上げる事はできても、皇子へのヘイトを軽減することはできない。


「だから、アレックス皇子にはある程度好感度が上がる様なことをして貰いたいのだけどねぇ。。。」


「やはり変わりませんね。どうしますかフォー様。私にお任せ下さればサクッと人形にできますが。あ、薬の使用を許可してくれればもっと完璧な人形にできます。」


怖いわね。血の気が多すぎるわ。


「落ち着けなさいシェード。熱くなっては駄目よ。平民に対して散々身分という規則を敬えと言っている私達が、身分に則って行動しなくてどうするの。」


そんな口だけのことをしてしまえば、信用を無くすわ。


‥‥それに、私に実害は無いのよね。使用人からは可哀そう可愛そうと言われて気を遣って貰ってるしね。アレックス皇子が親しい人間ていうならともかく、良く知らない人間からの態度が酷くても特に気にならない。


なにせ関りないし。異国の虫から嫌われても「で?」て感じだ。


「‥‥でも、フォー様の(つがい)になるんだよね。」


「サーシャ様。夫、もしくは旦那と言いましょうか。」


番て。私は動物か。


「えと。。。。。夫になるんだよね。なのに気にならないの?その人と家族になるんでしょ?」


「サーシャ様は可愛いなぁ。」


「むっ。」


はぐらかされたと思ったのか、頬をプクリと膨らませるサーシャ様。そんな可愛い可愛いサーシャ様の頭を撫でながら、私は彼女に教えてあげる。


「サーシャ様、世の中には自分の血の繋がった娘を思いのままに操って金儲けをしようとした女性がいます。自分の欲望のままに子供孕ませて、子供達の火種を作った癖に何もしない男がいます。こんな二人でさえ家族になれたんだから私達でも余裕でできますよ。」


「誰の事なのよそれ?」


呆れた声を発するインク様。だが呆れたのは寧ろこちらのほう。


「インク様知らないんですか?」


「私の知り合いにそんな人いないよ?」


「私の両親ですよ。」


「‥‥確かに。」


インク様は父王と側室妃の事を思い出したらしく、頭を抱えている。インク様の認識でも母上と父王はそうなんだ。知らなかった。


「フォー様のご両親て冷静に考えれば屑ですよね。」


「そしてその息子がスリー兄上で、娘が私よ。」


「「「あちゃあ。。。。」」」


三人ともスリーの性格を思い出したのか、顔を歪めている。


ああいうのが家族と言って許されるのなら、私とアレックス様が家族を築くなどおちゃのこさいさいだろう。寧ろ楽勝な気がしてきた。


「貴女達の夫婦仲が本当に心配だわ。。。」


インク様に心配されるとかウケる。夫は政務無能の色ボケなのに。そんな人の妻に心配される程なのか私は。


そう思っているとジト目で私を見ているインク様。


「失礼なこと考えてない?」


「滅相も無い。けれどそこまで難しくないと思いますよ。」


「そうかしら?」


心底不思議な顔で私を見ているインク様だが、逆にどうして無理だと思うのか私は問いたい。


「『あらー、あなたったら今日も服を汚して~。もう仕方ないわね~。次からは気を付けてよ~。』て言えばいいのでしょ?」


なお服を洗うのは私ではなく使用人である。


「あと『今日の夕飯は貴方の好きなパンケーキよ♡』とかですよね?余裕でしょ。」


なおパンケーキを作るのは王宮料理人である。うん、何も難しく無いよね?


「‥‥それはつが、夫婦と呼ばないと思う。」


「サーシャ様!?何を言うのですか!!どっからどうみても完璧な夫婦じゃないですか!!……あ、でも何か変なところあれば修正しますよ。」


あとまた(つがい)て言おうとしましたね?



「そういう考え方だから変だって言われるんじゃない?」


皆なぜそんな風に言うのか。


「夫婦の形に正解など無いのだから、変な訳ないでしょう。」


「あ、フォー様。側室妃様からお手紙貰ってきています。」


無視かよ。それにしても手紙か。母上に手紙を送ったのはつい先日の筈だ。


「‥‥珍しく返事が早いわね。シェード。読み上げて。」


「承知致しました。どれどれ・・・



フォーへ。


腕によりをかけてドレスを作るわ。最先端のファッションを取り入れたから宣伝お願いね。


エピソードとしては、私の母が私に贈ってくれたドレスを基に作ったとかいうのでどう?『このドレスには母や祖母と言った先祖の女性の愛が詰まっている』的なことを言えばいいんじゃないかしら。


p.s.お金は払ってね。」




母上の母上。つまり母型の祖母は、母上に嵌められた可哀そうな御方だ。祖父を自分に依存させて商会の実権を奪う為だけに、不幸な事故に遭われた御方。


…凄いわ母上。自分が陥れた母親からドレスを貰ったとかいう嘘を娘に吐かせるとか正気じゃない。



「相変わらずすさまじいですね。」


手紙を読んだシェードも絶句している。何故影が母上の裏話を知っているのか知らないけれど、母上がぬけぬけと吐いた嘘にドン引きしているのだ。


「…真実はともかく、今の話をベースに泣けるお話を作りましょう。」


「承知いたしました。」


深々と頭を下げる我が側近を後目に、私は物語を考える。

ふむ‥‥思いついた。



「『祖父母は商会を立ち上げた際に家族から餞別に高級布を貰った。それから作ったウェディングドレスが一代目。その一部を使ったウェディングドレスが二代目で母上が父上との婚姻に使ったもの。それを私、フォーが三代目のウェディングドレスに作り替え、脈々とウェディングドレスが愛と共に代替わりしていく。』」


滔々とシェードが話の続きを作り出す。


「‥‥『実は一代目に使われた愛の詰まった布も同じようにウェディングドレスの一部として脈々と受け継がれていた。家族の愛は受け継がれていき、今回はフォー様がその愛を受け継いだ。』」


「…『その愛を私は感謝するとともに、その愛を我らが祖国、すなわち私の家族である王国全てに託していきたい。』」


そして私が話を締める。こんな感じでいいかな。


「……自分の才能が恐ろしいわ。」


「感涙の嵐が巻き上がりますね。」


これなら号泣間違い無しの話よね。絵本作家の実力が初めて発揮された気がする。シェードなんかハンカチで目元拭いながら拍手している。器用ね。


なのにインク様は不満そう。なぜ?


「今の話を全部聞いた私は式でそんな反応をすればいいの?」


「泣けばいいと思います。」


そういう目的で作ったのだから。


「泣けると思う?」


「ウソ泣きできないのですか?」


「‥‥はぁ。」


どうやらできないらしい。


できないなら前もって目に水を入れるという裏技がある。どうせ母上が(ウソの)号泣するだろうし、その隙にこそっと水入れてぽろぽろ流せばいい。


そういう善意からウソ泣きの仕方を語っているのだが、インク様はお気に召さない様だ。正気かこいつ等、ていう目で見ている。甚だ遺憾である。


そう思っているとシェードが私に傍に駆け寄り、耳打ちしようと顔を近づけてきた。


「フォー様。もう一つ耳寄りな情報があります。」


「なに?」


「実は‥‥‥‥‥‥」


「・・・・・・・・ふぅん?」



アレックス様も大変ねぇ。

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