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第0話 にゃんにゃんころり

6歳の冬は、散々足るものだった。


座学の成績も振るわなかったし、実技に至っては妹のツーに追い抜かれた。

王国は不作だったし、親しかった部下は故郷の家族の世話をするためにに帰っていった。


全然良い思い出がない。


そして冬も終わろうとしている今。俺は熱を出して寝込んでいる。


全く散々だ。


「イン…水をくれ。」


「はい、ワーン様。白湯です。」


優秀な側近が即座に俺の求めるものを渡してくれる。俺は差し出されたコップにゆっくりと口をつけ、温まっていく体を感じながら毛布を抱きしめる。


コンコン


扉がノックされる音。インがゆっくりと扉を開き、ノックしてきた人の相手をする。


「調子はどうかしら?」



「だ、第一王妃様!?どうかいたしましたか?」



「あら、イン?ワーンがどうなっているか知りたくて。。。」


母上とインの話声に耳を傾けながら、俺はゆっくりと、体を毛布から引き離す。


「先ほどお熱を測りましたところ、41℃と依然高熱であります。しかし食欲も十分ありますし、医者によれば明後日には熱が引いていると仰っていました。」


「そう。。。邪魔したわね。」


「待って!!」


「ワーン?」「ワーン様??」


ちょっと予想外なほど大声を出してしまった。


「あの。。。母上。。。」


「どーうしたのワーン?」




依然として室内には入らない母上。

そのしょうもない事実がどうしても()を不安に駆り立てる。



心をざわつかせる。



こんなこと言うのは間違っている。それぐらい分かる。

こんな些事で母上に迷惑を掛けるなんてなんて情けないのだろうかというぐらい()も分かっているし思っている。



でも、でも。どうしても聞きたかった。



「どうして、******************。」





その言葉は理性で押し留めようとしていたにも関わらず、すらすらと流水のように流れ出た。そして俺の言葉に、母はなんでもないかのように返す。



「***************」




この言葉に、()は泣いた。



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