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99話



《ダリアSide》


「バレンタインの……チョコ?」


 ダリアと里香は、近所の公園に来ている。

 里香からの相談内容に首をかしげつつも……。


「ああ、もうすぐ二月一四日だったね」


 今は2021年の二月上旬。もうすぐバレンタインを迎える。


「だからしんちゃんにね、チョコあげたくて」

「ふーん……」


 ぶる……と里香が体を震わせる。

 ダリアは一度席を立って、自販機で飲み物を買い、戻ってくる。


「ほい」

「ありがと」

「あーしに相談したのって……もしかしてお母さんのこと?」


 くわ、と里香が目を大きく剥く。

 やはりそうか。


 チョコ作りたいくらいなら、別に本でもインターネットでも調べて、自分で作れる。

 わざわざ相談するまでもないことだ。


 それをしたってことは、何か理由があったってこと。


「りかたんのお母さん、料理のプロだかんね」


 里香の母、松本 山雅やまがは、今は大きなホテルでシェフとして働いている。

 かなりの腕前だということは、前々から聞いていたことだ。


「おかんにチョコを教えてもらいたい。でもそうすると色々と詮索される……と」

「うん……なんか絶対色々からかわれる……」

「なるほど……友達同士でチョコを作るっていったほうが、話題を逸らせられるわけね」


 いちおう理由には納得した。


「でもいずれお兄ちゃんと付き合ってるってことは言わないといけないでしょ?」

「わ、わかってるもん……でも急には無理って言うか」

「あ、そう。……別にいいよ」

「ほんとっ!」


 ダリアがうなずく。別に断る理由なんて無かった。

 里香が嬉しそうに笑って、抱きついてくる。


「ありがとダリア! やっぱり持つべき者は親友ね!」


 ……親友か。

 皮肉だ。親友がいなかったら、心から愛する人と出会うことすらできなかった。

 親友がいても、こうして本当に好きな人には、愛してるという意味合いでのチョコを渡せない。


 本当に、ままならない。

 まあ、だからといって里香の邪魔をするつもりもないし、兄を取るつもりもない。


「ほいじゃ、善は急げだ。さっそくりかたんママに連絡しないとね」

「うん!」


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