87話 世話焼き義妹
「おにーちゃん、おーい」
……誰かがぼくを呼んでいる。疲労感とともに目を覚ますと……。
「だりあ……」
僕の義妹、ダリアがぼくをのぞき込んでいた。
茶色く焦げた肌に、ウェーブかかった長い髪。
今はシュシュで髪の毛をポニテにしてて、かわいい。
「おはよ……」
「おはよお兄ちゃん。昨日は……てか、今朝もお楽しみだったみたいだね」
くつくつ、とダリアが笑っている。
……今朝?
「えぁ、あ、あ!」
そ、そうだ! 明け方、恋人の里香と目を覚まして、なんとなくムラムラして、二人で……その、やったんだった。
……で、気づいたらぼくらはお互い疲れて、気絶してたんだ!
て、てゆーことは……。
「……うにゅぅう」
「OH……」
ぼくも里香も……MAPPAだった!
なんてことだ! ダリアが見ているのに! アア、恥ずかしい!
「大丈夫大丈夫。事情は察してるし」
「あ、そ、そう……」
ダリアは里香を見て息をつく。
「とりあえずお着替えかな。お兄ちゃんはお風呂入って来なよ。りかたんはあーしがなんとかしとくから」
「え、い、いや……悪いよ」
「いいっていいって。こんくらいさせてよ」
正直こんな、大事なダリアにお手伝いさんみたいなことさせるの、すごい抵抗を覚えるんだけど……。
ぼくがまごまごしてると、僕の心のなかを読んだみたいに、ダリアがうれしそうにわらう。
「あんがと、あーしのこと、大切に思ってくれて」
「当然だよ。ダリアのことも好きだもん、妹としてね」
ダリアもまた、わかってるとばかりに、微笑みながらうなずく。
「りかたんのことあーし大好きだし、このままじゃ風邪引くから、服着せてあげるだけ。こんなのお手伝いでもなんでもないよ。普通のこと。だからお兄ちゃんは気にせず、お風呂へ行くこと。君が風邪引く方があーし、やだなぁ……」
ダリアが気を遣ってくれる。やさしいなぁ、ほんとに。
好意をむげにするほうが、良くないって思った。向こうも進んでやってくれるってことだし。
「じゃ、お言葉に甘えて、大事なぼくの里香をよろしくね」
「あいあいさー♡」