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72話 ダリア視点



 どうも、真司お兄ちゃんの義妹、ダリアさんだぞっと。


 あーしたちは試験休みを利用して、熱海に旅行に来ている。


 あーしの目的は、親友りかたんと、大好きなお兄ちゃんとをくっつけること。物理的にな。


 奥手な二人だ。無理矢理にでもくっつけないと、いつまでたっても一歩進んだ関係になれないだろう。


 てことで、あーしはりかたんとお兄ちゃんとを同じ部屋に泊まらせることにしたわけだ。


 お昼食って、観光して、夕飯前にホテルに戻ってきた。


「今頃……二人何やってるんかいね」


 あーしは一人、和室にごろんと横になっていた。


 畳の部屋はあまりに広くて、ちょっとさみしい。


 あーしはごろんと寝返りをうつ。りかたんとお兄ちゃんの部屋を、壁越しに見る。


 ……今頃、なーにやってんかね。


「無言だったりしてね。まさか、内風呂に一緒にはいるーみたいなことまではいかんだろうし」


 さすがに階段を飛ばしすぎだろう。


 まあ二人ともぴゅあぴゅあさんだから、無言で気まずい時間を過ごしてるに違いない。


「…………」


 うらやましいな、と思う。正直。りかたんを妬ましいと思う気持ちはある。でも邪魔する気はさらさらない。


 あーしは決めたんだ。お兄ちゃんの妹になるときに。妹として、あの人のそばにいるって。


 その決意に、後悔はない。

 だから純粋に、あーしはりかたんを応援する。


 胸のうずきは消えない。多分これから一生、この気持ちは……変わらない。この痛みはなくならない。でもそれでいいんだ。


 あーしは今幸せだからね。


「さてっと、そろそろ夕飯のお時間ですな。どれ、あのぴゅあカップルの様子でもみにいくかいな」


 部屋を出て、りかたんたちの部屋をノックする。


『『ひゃいいいいいいいいいいい!』』


 どったんばったん! と中ですんごい音がした。あれ? もしかして……お邪魔してた?

 

 ほどなくして。


 ぜえはあ……と荒い呼吸を繰り返す二人が出てきた。


「あー……うん。めんご。KYで」


「「いや別になにもありませんでしたけど!?」」


 いや、普通になんかあったんしょ?

 まったく、わかりやすい二人である。


 まったく……お似合いの二人である。

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