68話 温泉
海を満喫したぼく達は、贄川三郎さんの運転でホテルへと戻ってきた。
マイクロバスを止めて三郎が振り返る。
「とうちゃーく!」
「三郎さん、運転ありがとうございました」
「なーに気にしないでよ真司くん。おれも十分サボりを満喫させて貰ったからね★」
ぼくらの送迎にかこつけて、しっかりとサボっていたらしい。
確かに待ってる間は暇だったろうけど。まあ迷惑がかかってなかったみたいで良かった。
「外出するときは気軽に電話してちょ。あ、そうだ。夜にさっきの海岸で打ち上げ花火やるみたいだから、参加したら?」
三郎さんが懐からチラシを取り出して、ぼくに渡してくる。
「冬に花火かぁ」
なんだか乙である。
「りかたんと行ってくれば?」
「そうだね。いこっか」
「うん! たのしみっ!」
三郎さんに感謝の意を伝えて、ぼくらはマイクロバスを降りる。
今日止まる宿は、本家のじいさん、つまり開田 高原さんの所有物だ。
結構豪華なホテルである。
「さてさて……こっから一時自由行動ってことで」
エレベーター前にて、ダリアが言う。
ホテルは二部屋とっているのだ。
ぼくと里花が同室である。
……なんか、今更ながら緊張してきた。
「ね、ねえダリア……今からでも、そのぉ……」
里花がもごもご言っている。まあわかる。恥ずかしいのだ。ぼくだってそうだもん。
部屋を男女で分けないか、そう提案したいんだろうなぁ。
ダリアも察したのか、はぁと溜息をつく。
「あーあー、きこえなーい。ダリアさんつかれちったから、もーねるね。ばっははーい」
ダリアは自分の部屋にさっさと引きこもってしまった。
あとにはぼくと里花だけが残る。
……き、気まずい。
いや、別に嫌いじゃない。嫌いじゃないんだけど……その。
今回の旅の目的が、里花とその……に、肉体的な関係を、結ぶこと、なんだよね。
だからその……照れるというか。
「……はいろっか」
「……うん」
あんまり廊下でつったってても、邪魔なだけだもんね。
ぼくらは部屋に入る。そして……無言。
ど、どうしよう……。もうする? いいやでも、でもなぁ……早いよなぁ。
「そ、そうだお風呂! お風呂入りにいこうよ!」
気分を変えるべく風呂を提案する。
すると里花が、さらに顔を赤くする。え、ぼ、ぼくなにか言ったかな……?
しかししばらくすると、こくんと里花がうなずく。
「……わかった。じゃ、いきましょ、内風呂に」
「う、内風呂ぉ?」
里花の後についていくと……。
なんと、ベランダに露天風呂があるではないか!
いや、高級ホテルだと思ってたけど、まさか内風呂まで温泉だなんて……。
え、一緒に風呂行こうって……ま、まさか!
こ、混浴ぅううううううううううう!?
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