66話 カフェ
里花と海でいちゃついた後、ぼくたちは海近くのカフェへと向かった。
「やほー、お兄ちゃん、りかたん」
デッキでカフェラテを飲んでいたのは、ぼくの義妹ダリアだ。
ふりふりと手を振っている。にやにやと笑う彼女の姿は、からかう気満々に思えた。
「見てたよー、ふたりのラブラブっぷり~。ひゅ~♡」
ダリアはぼくらが海いくときに、ひとりここに残ると言ったのだ。
さむいからー、とは言っていた物の、たぶんぼくらを二人きりにしてあげようという、彼女の配慮だろう。気の利く義妹なのである。
「ら、らぶらぶっぷりって……別にあたしは……ねえ?」
「そ、そうね。あ、飲み物買ってくるよ」
「ありがと♡ だいすきっ♡」
里花がふにゃっと笑う。ぼくは彼女のこの、無防備なふにゃふにゃな笑みが好きだ。見てるだけで明るい気持ちになる。
ぼくは受付でカフェオレを注文して戻ってくる。
「でねー♡ しんちゃんに膝枕してもらってー♡ 髪の毛触って貰ったんだー♡ えへへへ~♡」
「ほーん、お兄ちゃんってば、いつのまにそんなプレイボーイになったのかね~?」
によによとぼくにからかいの笑みを向けてくるダリアさん。まったくもう……。
コーヒーを里花に渡す。ふぅふぅとカップに息をふきかけ温度を下げる。
「いつのまにーって、しんちゃんは昔から王子様だったもん。かっこよくってすてきだったもーん。ねー♡」
「そ、そうかな……」
里花との出会いは小学校の頃。あの頃は学校でもぼく浮いてたし……別にかっこ良くて素敵じゃなかったような……。
「そうだよ! もうっ! しんちゃんネガティブ禁止!」
むー、と里花が怒る。
「しんちゃんが素敵でかっこいいって、あたしが思ってるの! それで十分でしょ、ね?」
「そりゃ……そっか」
他の人にどう思われてようと、関係ない。里花が、大好きな彼女がそこにいて、ぼくを褒めてくれるなら……いいや。
「いやぁ、ふたりとも、らぶらぶですねー」
ダリアはうれしそうに笑う。
「ふたりが仲良しさんなのが、あーしうれしーよー」
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