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46話 ダリアさんとデート、ジョイポリス




 ぼくと同級生のダリアさんは、お台場にデートしにきた。


 こないだ里花りかの誕プレの手伝ってもらったおかえしに、デートに付き合ってとのこと。


 里花りかへの申し訳なさ、はやっぱりどこかにある。


 でも里花りかにはちゃんと事情を説明したし、何より、ぼくはダリアさんにお礼がしたい。


 だから、今日は頑張って、ダリアさんを楽しませるのだ……!


「さて、どこ行く、ダリアさん……あ、ごめん。ダリア?」


 別人のようになったダリアさん。


 銀髪に白い肌は、雪の精霊みたいできれいだ。


 いつもは露出しているのに、今日は清楚系なファッションをしているのも、ギャップでドキドキしちゃう。


「んふふ~♡」


 ダリアさんは、まだ何もしてないのに、ふにゃりとうれしそうに笑う。


「やっぱり君は、あーしに行きたい場所選ばせてくれるんだね~♡ うれしいよ」


 そういえば川崎で一緒に買い物をしたときも、なんか言っていたな。


 いつもは男についてくだけだって。


 でもせっかく今日はダリアさんのデートなんだし、彼女の行きたい場所にいきたい。


「じゃ、ジョイポリスいこ」

「ジョイポリス……って、確かお台場にある、遊園地みたいなとこだっけ?」


「そ。地下あるアミューズメント施設。まあ遊園地っちゃ遊園地だね」


「そっか。じゃそこいこう。平日だし空いてるだろうしね!」


 ダリアさんがうなずいて、ぼくの手を握って歩き出す。


「ほら、いこ! こっちだよ♡」

「うん!」


 ダリアさんはジョイポリスにデートへ来たことがあるらしく、すんなりと到着した。


 入り口で一日遊べるチケットを2人分買って、ダリアさんと入場する。


「なんか、ナチュラルにおごってもらってごめんね」


 ダリアさんが申し訳なさそうに言う。


「え? いやいやいや、謝る必要どこにあるの? 付き合ってもらっての、こっちだし」


 ぽかん……とダリアさんが口を開く。


「え、どうしたの?」

「いや……なんつーか。その……調子狂うっていうか……」


 ぽりぽり、とほおを指でかく。


「いつもの男達は、さ。金だしてやってるから、付き合わせて当然みたいな感じなんよ」


「……そう、なんだ」


 ……いつも、思う。

 ダリアさんの言葉の端々からは、彼女が何か、危ないことをしてる感じがする。


 エンコーとか、そういう。


 ぼくの表情の変化に、目ざとく気づいたダリアさんが、弱々しく言う。


「……ゲンメツ、したっしょ?」


 ぼくは強く首を振る。


「ぜーんぜんっ! ほら、いこう!」


「え? え?」


 ぼくはダリアさんの手を引いて中に入る。


「シンジくん……?」

「ダリアが何してても、関係ないよ。事情はそれぞれだし!」


「で、でも……エンコーだよ? 汚らわしいでしょ?」


「知らないよ。ぼくだって、ちょっとエッチな同人誌書いて売ってるもん! 汚らわしいっていうのなら、ほら、一緒だ!」


 ダリアさんは目を潤ませる。

 そして、ぎゅーっ、と腕を抱きしめてくる。

「……あんがと」

「どういたしまして。さっ! 楽しもうよ! せっかくの遊園地だし!」


 ダリアさんはこくこく、とうなずいて……でも、ぼくの腕は放さなかった。


    ★


 ジョイポリスは地下にあるアミューズメント施設。


 ジェットコースターとか、最近ではVRを利用したアトラクションなんてものもあった。


「あれ乗ろうよ!」


 ダリアさんが指さしたのは、巨大なブランコみたいなアトラクション。


 中央に乗り場があって、ボードが左右に動く。


「タイミングよく一緒に地面を蹴るんだって! がんばろ、シンジくん!」


「うん!」


 アトラクションが始まる。


 ボードが小さく左右に揺れる。


 ぼくらは正面に向かい合うようにして、一つのボードにのっている状態だ。


 ゆらゆら……とまずは小さく、しかし次第に大きく。


「えいっ! えいっ! ほらシンジくんも!」


「わわっ! だ、ダリア……あんまり激しく動くと……む、胸が……」


「えー? なにー? きこえなーい!」


 ぽいんぽいんと激しく動く、たわわなおっぱいに目が行ってしまう!


「あははっ! すごいすごい! たかーい!」


 ブランコはタイミング良く蹴ると、左右に大きく振れる。


 ぐんっ、とボードが激しく揺れると……。


 やっぱりダリアさんのおっぱいも、ぐわんぐわんと立体軌道してしまうー!


 やがて……ブランコ終了。


「ふぃー……おっつー」

「うん……おつ……」


 なんか……別の意味で疲れた……。


 ぼくらがアトラクションから降りると、にまーっとダリアさんが笑う。


「君、ずぅっとあーしのおっぱい見てたでしょ~♡」


「あわわっ! ご、ごめん……!」


 やっぱりばれてました!

 ひぃ……怒られる……。


 するとダリアさんは微笑むと、首を振る。


「んーん♡ いいよ♡ 男の子だもんね、しょーがない♡」


 あんまり嫌な顔をしない……というか、なんかうれしそう?


「ぱふぱふでもしちゃう~?」

「か、からかわないでよっ。もうっ」


「冗談じゃないのになぁ。ちぇ……」


 ダリアさんが不満げに唇をとがらせる。


「いや、でも……女のこの胸を、みだりに触れないってゆーか……」


 ダリアさんはまた、目を丸くする。


 だが、ふぅ……と息をついて苦笑した。


「君は、本当にまじめだねぇ」


 くすくすと笑うと、ぼくの頭をなでる。


「うー……子供っていいたいの?」

「ううん。素敵ってこと……えいっ♡」


 ダリアさんがぼくの頭をつかんで、じぶんのおおおおおお!


「な、なにをお!?」

「ん♡ さーびす♡ とくべつりょーきんぷらんで、ただでいいよ♡」


 ぼくはダリアさんのおっぱい、顔を埋めているような状態!


 いや、これは……甘い……とろけるくらい、柔らかい……。


 そのまま沈んでいきそうになるのを……ぼくは、ぐっとこらえる。


 ぽんぽん……とダリアさんが頭をなでてくれる。


「さすがに、はずいっす……」

「そか♡ でもあーしは満足っす♡」


 ダリアさんがぼくを解放する。


 楽しそうに笑っていた。


「もう……やっぱからかってたでしょっ」

「うん♡ ちょーたのし♡」


「もー!」


 ケラケラとダリアさんが楽しそうに笑う。


「おっぱいフェチかー♡」

「どこ見てそう判断したのかなっ?」


 にまーっと笑って、ダリアさんがぼくの股間を、ぺろんと手で触った。


「ひゃんっ!」

「ほほぅ、感度良好♡」

「もー!」

「そんな怒ること? 健全なしょーこじゃん? ほらほら、もっと触っていいんだぜ~?」


 すると……。


「あのー……」

「「はい?」」


 ブランコアトラクションの、お兄さんが、苦笑しながら近づいてくる。


「すみません、そこ、出入り口なので、お客さんの邪魔になるので、いちゃいちゃはよそでやってもらえると……」


「「す、すみません……!」」


 しまった!

 つい忘れてた。


 謝るとお兄さんは笑って言う。


「仲の良いカップルさんですね」


 ダリアさんは照れくさそうに、でも……こくんとうなずく。


「はい、さいこーの彼氏です♡ ね?」

「あ、えっと……はい」


 ぼくの腕に抱きついた状態で、その場を離れる。


「彼氏、かぁ……」


 うう、里花りかごめんね……。


「もー、そんな顔しんなし。りかたんはこーゆーの、許してくれる女よ?」


 ぽんぽん、とダリアさんがぼくのあたまをなでる。


「そっか。そうだね」


 里花りかはいい人だもん。


「つーか、そか。彼氏彼女に見えるんかぁ……はは。それが普通か」


 少し、さみしそうにダリアさんが言う。


「普段は違うの?」


 踏み込んみすぎてしまったろうか。

 でもダリアさんは、さっきと違って、普通に答えてくる。


「ん。ま……だいたい親子って勘違いされっかな」

「あ、そ、っか……」


「そ。普段キモい親父ばっかだからさ。カレカノって見られないのよね。だから、こーんな可愛い素敵な彼氏と、デートすんの、うれしくってさ♡」


 きゅっ、とダリアさんがぼくに抱きついてくる。


 ……彼女は何を思ってるんだろう。


 何を思って、エンコーなんて……。


 でも……お金、とかかな。


 困ってるなら……。


「ね、ダリア……んぅっ」


 ダリアさんが、ぼくの唇に人差し指をおく。


 優しく微笑むと、首を振る。


「気持ちはすっごくうれしいけど、さすがに、友達の彼氏にそこまでは要求できないよ」


 指を離すと、ぼくに微笑みかける。


「そう言う優しさは、全部、本当の彼女にあげて」


「でも……だからってほっとけないよ」


 ダリアさんはふぅ、と息をつく。


「……あんがと」


 にぱっ、と笑う。


「はいはいシリアスなしなーし! 今日はデート楽しむんだから! ほら次いこっ!」


 ダリアさんは無理に笑って、ぼくを引っ張って歩いて行く。


 ちゃんと話がしたい。


 でも……彼女はそれを望んでくれない。


「今のあーしが君望んでるのは、君と過ごす楽しい時間【だけ】だからさ」


 施設内を歩きながら、ダリアさんが言う。


「変に気を遣われても、困るんだよ。君は今日限りの彼氏なんだからさ……うん……」


 ……まるで自分に言い聞かせるように、ダリアさんが言う。


 それが、なんだか切なくって……。

 やっぱり、どうにかしてあげたいって、そう思った。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] いや、気持ちを救うのは付き合うことだけじゃないからね そして、りかはここまでのことは許さないし… どんな生い立ちでも、卑怯だよ [一言] まとめて付き合うのは手抜きだと思います。 きち…
[一言] 毎日更新し過ぎて、内容が引き伸ばしになってる気がします。最初は凄く面白かったのになぁ(´・ω・`)
[一言] あれ?この主人公こんなに感じ取れる子だったかな? 彼女の事が切っ掛けで覚醒...成長したと思いたい。 そうであって欲しい。親友が良くない物を背負っている事を知ってしまったら放置できないし、し…
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