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27話 みんなでお泊まりの買い物を



 ぼくの家にギャルの里花りかとダリアさんが泊まることになった。


 19時くらい。


「はぁー……ドーテーくんち、ぱねぇ~……」


 ひとしきりぼくの家を見て回り、驚きまくっていたダリアさん。


 リビングのソファでぐったりしている。


「はんぱないわ……本当の金持ちだったんだね、ドーテーくん……すごいわ……」


「あ、あはは……あ、そうだ。お夕飯どうしよう?」


 そろそろ19時だ。

 学校帰りなので腹が空いてる。


「あたしが作るわよ」

「え? いいの?」


 里花りかがこくんとうなずく。


「泊めてもらうんだしね。しんちゃん冷蔵庫見せて」


「あ゛」


 やべ……と思った。

 里花りかがじろり、とぼくをにらんでくる。


「しーんちゃーん……?」

「いや、あの……」


 里花りかが冷蔵庫の開ける。


「すっからかんじゃないの!」


「うう……ごめん……」


 からの冷蔵庫を見て、里花りかがやれやれと溜息をつく。


「ドーテーくんご飯どうしてるの普段?」


「ウーバーとか宅配」


「ロジータさんがいつも来てくれるわけじゃないのね~」


「次郎太さんたちはぼくんちの専属のお手伝いってわけじゃないから」


 頼めば来てくれるけど、本家のお手伝いさんだからね、基本は。


「お買い物いきましょうか。あたしたちの着るものもないし」


 里花りか達は急遽泊まることになった。

 だから着替えの服とかないんだよね。


「でもこのくそ寒い中、外で歩きたくないなぁ~、あーし」


 ダリアさんが窓の外を見やる。

 まだ雪はしんしんと降り続いている。


「あ、大丈夫だよ。外行かなくても買い物できるし」


「「……はい?」」


 ややあって。


「ショッピングモールじゃーん」


 ぼくらはモールの入り口にいる。


「やば……すごいねドーテーくん。このマンション。まさか、一階部分がショッピングモールに、そのまま接続してるなんてねぇ」


「さすが高級マンションだわ……」


 都内のマンションには、一階部分にコンビニとかスーパーとかが着いてるパターンが多い。


 ぼくの住んでるマンションも同様で、規模は小さいけど、一部分がショッピングモールになっている。


 外に出なくても買い物ができるんだよね。


「……しんちゃん、こんな便利な場所があるんだから、買い物はこまめにしましょうね」


 じとーっと里花りかがぼくを半眼で見てくる。


「うう……はぁい……」


 何はともあれ、ぼくたちは買い物することになった。


 ころころとカートを押しながら店内を練り歩く。


「お洋服コーナーは……あ、あったあった」


 フリーサイズのスウェットを二組買う。

 

「替えの下着……ねえドーテーくん。どっちのほうがいい~?」


 下着売り場で、ダリアさんが手に、白とピンクの下着を持って聞いてくる。


「し、知らないよっ!」

「えー? 興味あるくせに~? ほらほら、ここはビンビンですやーん♡」


 ダリアさんが背後に回って、ぼくの股間をぺろんと手で触ってくる。


 うひゃあ……!


「だーりーあー……?」


 ごごご……! と背後から怒りのオーラを出す里花りか


「しんちゃんは、あたしの彼氏なんですけどぉ~?」


 里花が頬を膨らませて、ぼくの腕をひっぱる。


 そのまま、後ろから抱きしめてくる。


 ふにゅっ♡ っと柔らかいおっ、おっぱいの感触がっ!


 しかもふわっと安心する、花のような匂いが鼻孔をつく。


「まーまー、まーまーまー、いーじゃん別に~。ちゅーとかえっちとかしてるわけじゃない♡ スキンシップじゃーんこんなの~♡」


 ダリアさんがぼくの腕をつかんで、ぐいっと引き寄せる。


 シャツのはだけた胸に、ぼくの顔がぐにゅっ♡ っと当たる。


 な。ななん、なんだこれ!? な、生乳!?

 や、やわ……! しかも……あ、甘い匂いが……


「あーーーーーーーーーーーー!」


「ん~♡ よしよし~♡ いいよ少しくらいならちゅっちゅしても~♡」


 ぼくの後頭部をダリアさんが優しくなでる。

 やばい……呼吸するたび、むせ返るような甘い匂いで頭がクラクラする……。


 しかも柔らかすぎて、温かくて、これは抜け出せない……。


「しんちゃんー!」


 ぐいっ、と里花が手を引いて、ぼくをダリアさんから引き剥がす。


「はっ! あ、ありがとう……もう少しで食われちゃうとこだった」


 食虫植物みあるよね、ダリアさんって……。

「ざんねん♡ もーちょっとで、食べちゃうとこだったのに~♡」


 ぺろっ、とダリアさんが舌なめずりして、妖艶に目を細める。


「人前でなんつーことしてんの! あと人の彼氏と無断でえっちしたら、親友でもゆるさないんだから!」


 顔を真っ赤にして吠える里花。


 ダリアさんはにまにま笑って言う。


「わかってるって~♡ 初めては自分とじゃないとだめなんでしょ~?」


「そうよ! 当たり前じゃない!」


「え?」


「え? ~~~~~~~~~~~!」


 ぼっ……! と里花の顔が真っ赤になる。


 あわ、あわわ……はわわわわ……。


 は、はじめてって……それは……その……ぼくと……そういう……


「あ、あのえっとだから……ちがくて……いや、ちがくなくって……」


「う、うん……えっと……わ、わかってる……から……その……」


「「…………」」


 ぼくらは恥ずかしくなって、お互いうつむいてしまう。


 ダリアさんはぽんぽん、と肩をたたく。


「ま、人前だからほら、いちゃつくのはほどほどに♡」


「「いちゃついてないっ!」」


 その後ショッピングモールを回って必要なものをそろえた。


 夕飯と朝食の材料だったり、歯ブラシだったり。


 ダリアさんがコンドームをカゴのなかにいれたときはぼくも里花もキレた。


 ほどなくして、モールを回って買い物終了。

「あ、じゃあレジ済ませておくから、ふたりは外で待ってて」


 レジ前には列が出来ていた。


 待っててもらうのも忍びないので、里花達にはレジの外で待機してもらう。


 ぼくは軽く支払いを終えて、二人の元へ。


「おまたせ~」

「ありがと。しんちゃん、いくらだった?」


 里花とダリアさんが、財布を取り出す。


 え? なんでだろう……まあいいや。

 

「はいこれ。レシート」


「うわ、結構するわね……」

「ちょっと待ってね。三等分すると……こんくらいだ」


 ダリアさんがスマホの電卓で、金額を3で割ってる?


 ぼくはその間に袋詰めしとく。


「じゃ、帰ろっか」


「しんちゃん。はいこれ」「はいよー」


 ふたりがお金を出してきた。


「え? いらないよ?」


「「え?」」


 ぽかーん……とする二人。


「? じゃ、部屋戻ろっか」


 ぼくはレジ袋を持って、エレベーターホールへと向かう。


 二人ともぽかんとしてたけど、慌てて着いてくる。


「いやちょっとしんちゃん! 何やってるの!?」


「え? なにって?」


 エレベーターのボタンを押す。


「お金だよ~。ほら、買い物の分の」


「? なんで? いらないよ」


「は? いや、いやいやいや!」


 里花が強く首を振る。ダリアさんも困惑顔だった。


「みんなの買い物なんだからワリカンでしょ、普通!?」


「え? お金なんてもらえないよ」


 ぼくは当然のようにいう。


「女の子からお金なんてもらえないよ」


「いやでも……」「さすがに……」


 二人は申し訳なさそうにしていた。


「だって結構な値段だし……」


 そうだろうか?

 レシートを見てみる。

 うーん……普通、というか5歳の頃のお小遣いと同じくらいの値段だった。


「いいよ。二人に悪いし。てゆーか、里花にもダリアさんにも、いつもお世話になってるからさ。こーゆーときくらい、おごらせて」


 里花は言わずもがな、ダリアさんも細かいサポートをしてもらっている。


 ぼくはちょっと鈍いところがあって、そこをダリアさんがさりげなくアドバイスくれるから、助かってるんだよね。


「お世話になってる二人からお金なんてもらえないよ。大丈夫、気にしないで。あ、エレベーターついたみたい。さ、乗った乗った」


 里花はそれでも申し訳なさそうにしていた。

 ダリアさんが、ぽんっ、と彼女の肩をたたく。


「ご相伴にあがるとしようよ、りかたん」


「でも……」


「せっかくの厚意をむげにするのも、よくないんじゃない? ね?」


 里花はこくん、とうなずく。


 ぼくらはエレベーターに乗る。


「いやぁ、それにしても、さすがだね~ドーテーくん♡」


 ぎゅっ、となぜかぼくの腕を抱きしめるダリアさん。


「ちょっ!? なんすか!?」


「この値段をぽんっ、と出してくれるなんて。さっすがお金持ちは違うなぁ」


 ぐにぐに♡ とダリアさんが胸を当ててくる!


「しかも重い荷物を自発的に持ってくれるなんて♡ やっぱり裕福な人は気遣いも一級品とはね~♡ いいなぁりかたん、こんな素敵な彼氏と付き合えるなんて~♡」


 すると逆側の腕を、里花がつかむ。


「そ、そうよ! しんちゃんは素敵なの! あたしの彼氏なの! だから、譲らないからね絶対に!」


 なんで!? なんでぎゅっとしてるの君まで!?


「あはは、両手に花だね~♡ ドーテーくん」


「いやほんとやめて……」


 両腕が袋で埋まってるから、押しのけられないし……!


「こんなとこ誰かに見られたら……」


 ちーん……。


 と、エレベーターの扉が開く。


「…………」


「あ……」


 扉が開くと、そこには金髪の少女が立っていた。


 てゆーか知ってる人だった!


「…………」


「あ、えっと! アリッサちゃん! こ、これは……その……」


 少女は何事もなかったかのように、扉が閉まる。


 み、み、見られたぁーーーーーー!


「ドーテーくん、今の綺麗な子だれ? 知り合い~?」


「あ、うん……親戚……。同じマンションに住んでるんだ……」


 はぁ……アリッサちゃんに見られちゃったよぉ~……。


「……てゆーかあたし、さっきの金髪の子、どっかで見たことあるような……」


「きぐーだね、あーしも。なんか歌番組で見た気が……」


 うーん、と二人が首をかしげる。


「アリッサちゃん確か歌手やってたよ」


「歌手……?」「アリッサって……」


「「アリッサ・洗馬せば!?」」


 ふたりが何だか驚いている。


「え、うん。そうだよ」

「「うそぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」」


 あれぇ? また何かおかしなこと、ぼく言ったかなぁ?


「アリッサ・洗馬って超有名歌手じゃん!」

「デジマスのOP歌ってるひとでしょー!?」


 デジマスとは、今一番人気のあるアニメ作品のこと。


 そういえばアリッサちゃんが歌ってるんだっけ、OP。


「しんちゃん……あなた、本当に凄い人なのね……」


「歌姫アリッサ・洗馬と知り合いだなんて……ドーテーくん、ほんとすごいわ……」


 うーん、単なる親戚のお姉さんなんだよなぁ、ぼくにとって。 

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― 新着の感想 ―
リカは風邪を引いた時にお見舞いに来ていた。 幼少期に来ていたようだけども それならマンション一階にモールが併設されてるのも普通に一階?から来てるから知ってるはずなのに買い物行く案件でって話が通じないか…
[気になる点] × 「ご相伴にあがる」 ○「ご相伴にあずかる」
[一言] こうとも知り合いだからこの時点ではアリッサもこうもカミマツ本人と知り合う前とはいえ後に対面するので「カミマツと会える知り合い2人」も居るて、この主人公は持ってるね。
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