20話 第2のギャル、登場
三学期初日の授業は、半日で終わった。
明日から本格的に授業がスタートする。
「しんちゃん帰ろー♡」
里花がニコニコしながら、ぼくの腕に抱きつく。
ぎゅーってくっつくもんだから、その……お、おっぱいがやばいです……(語彙)。
クラスメイト達の視線がぼくに向く。
にやにや、と笑っている人たち半分、残り半分は……困惑している様子。
ただし、関心事はぼくに向いてない。
「木曽川くん……転校だなんて、どうしたんだろう?」
そう……。
ぼくから妹子を寝取った男、木曽川 粕二が突然転校したのだ。
クラスに激震……というか、クラスの女子達は大いに動揺していた。
「こんな時期に転校なんて……」
「かすくんいなくなるの、ちょーさみしい~……」
女子達が落ち込んでいる一方で、妹子は偉そうにしている。
妹子の周りには男子生徒達が集まってる。
「妹子、残念だったなぁ」
「彼氏がいなくなっちまうなんて」
という彼らの瞳には、卑しい気持ちが見て取れる。
木曽川がいなくなったことで、妹子を手に入れようとしている……らしい。
「しょうがないよ。親の都合だって言うならね。それよりどこか寄ってかない?」
「「「さんせーい!」」」
妹子は男を引き連れて出て行く。
その様子を見て、クラスの女子達数名が、ちっ……と舌打ちする。
「……なにあれ」「……急に調子乗ってないあいつ?」
とまあ、クラスの様子を見渡して、ぼくらは言う。
「「どーでもいいね」」
ほんとそれ。
木曽川の転校でクラスがごたついてようと、ぼくらのすることは変わらない。
「いこっか」
「そだね」
ぼくらは手をつないで教室を出る。
そのときだった。
ぽこんっ♪
里花のスマホに通知が入る。
「あ、LINEだ」
「誰から?」
「ダリアから」
「だりあ?」
外国の人……?
「あーしのことだよーん♡」
むにゅんっ♡
「うひゃぁっ……!」
後ろから誰かが抱きついてきた!
しかもなんか柔らかくて暖かい……!
これは……おっぱいの感触だ!
「おお、反応がドーテーっぽーい♡ ちょーウケる~♡」
ぐにぐにぐにっ♡
後ろに抱きついてる誰かが、楽しそうにぼくに、おっぱいくっつけてくる-!
なんなんだー!?
「ちょっ、ダリア! 離れろこらっ!」
里花が背後の人物を引き剥がす。
振り返るとそこには……スゴイ格好のギャルがいた。
小麦色の肌。
銀髪のショートカット。
そして驚くのは……その大きなおっぱいだ。
里花もなかなか大きいんだけど、なんかもう、この人のおっぱいは次元が違う。
男の顔よりなお大きなおっぱいが二つ。
そしてシャツを第三ボタンくらいまであけて、胸元を大胆すぎるほどに露出してる!
え、夏ですか今……?
あ、でもカーディガンとかマフラーで一応防寒はしてる。
それでも大胆にはだけすぎでしょ!?
「あたしのしんちゃんに、手ぇ出さないでって昨日言ったじゃん! ダリア!」
里花が声を荒らげる。
この人が……ダリアさん?
「ちょーっとハグしただけじゃーん」
「あんたのその格好でハグしたら、セクハラになるでしょ!?」
「いーじゃん別に~♡ ハグしても何か減るもんじゃあるまいし~♡ そりゃこれでそこのドーテーくんのナニを挟んでズリズリしたらセクハラになるかもだけど~♡」
「「ちょっ……!?」」
ナニをえ、どうするってぇ!?
里花も顔を真っ赤にしてうつむいている。
「あっはっは~♡ いやぁ、からかいがいがあって、あーしはうれしいですわ~♡」
「あ、あのぉ~……どちらさま?」
セクハラギャル子さんがぼくに向かってニッと笑う。
「お初~。あーしはダリア。【黒姫 ダリア】。りかたんの友達です★」
こ、このギャルが……里花の友達?
あ、でも里花もギャルだから……ギャル友達ってことかな。
あれ、でもこんな人、クラスにいたかなぁ?
「ダリアは隣のクラスなの」
「あ、なるほど……だから教室にいなかったんだ」
「そう……で? ダリア? あんた、さっきのLINEなに?」
ぎろり、とダリアさんをにらみつける里花。
……てか、今更だけどダリアってすげえ名前だな。
外国の人かな?
それともキラキラネーム?
「バイト前に、彼氏にあわせろって?」
「バイト?」
はて、と首をかしげていると、ダリアさんが解説する。
「あーしとりかたん、同じとこでバイトしてるのよねーん」
「ああ、だからクラス違っても友達なんだ……」
「そゆこと~♡」
ぼくの後ろに回って、ダリアさんがまたくっついてくる。
「うひゃあ……!」
「ほほぅ、なかなかの感度。どれ下のほうはどうかな~?」
ダリアさんの、匂いがやばい。
香水の甘い匂いがする。
それもなんか、尋常じゃないくらい甘ったるい……。
しかもおっぱいはおっきいし……って。
「どれペロン♡」
「「んなっ……!?」」
ダリアさんがぼ、ぼくの股間を、手でぺろんと触ってきたぁ!?
「「なにすんのぉ!?」」
「おお、息ぴったりじゃーん」
ぱっ、とダリアさんがぼくから離れる。
な、な、なんてことするんだこの人ぉ!?
「なかなかご立派なものを持ってるね~。これならりかたんを任せてもいいかなって」
「あほーーーーーーーーー!」
里花がダリアさんの肩をつかんで揺らす。
ぶるんぶるんっ、ってダリアさんのおっぱいが立体軌道してました……。なんだこれ……。
「あんたナニがしたいのよ-!?」
「え、このドーテーくんのナニを確かめておきたいたいかなって」
「「はぁあああああああ!?」」
なんだこの人!? 今何つった!?
「ほら、うちの大事なりかたんと、このドーテーくんはおセックス様するわけじゃん? でもカレのナニが不能だと困るっしょ? えっちの腕前も試さなきゃだし。だから……って、どったの二人とも? 顔真っ赤にして?」
な、な、なんだこの貞操観念のゆるゆるな人は!?
「お試しなんてやらせないわよ!」
「えー、でもドーテーと処女のセックスなんて、ぐだぐだになるだけよ? 経験値つんどいたほうがいいと、あーしは思うんだけどな~」
「ちょっ!? 何言ってるのよあんたぁあああああああああ!?」
がくんがくん、と里花がダリアさんの肩を揺らす。
え、あ……里花は処女なんだぁ……。
へえ~……そ、そっかぁ~……。
「しんちゃん!? なにぼけーっとしてるのよ!?」
「あ、え……っと」
里花が処女だって知って、喜んでるなんて言えないし……。
「りかたん、ドーテーくんはね、意中の彼女が処女だって知って喜んでるんだよ~。男って最初の男になりたがるからね~」
「あんたちょっと黙っててよぉ!」
ぱっ、とダリアさんがぼくらから距離を取る。
とんでもねえ友達がいたもんだな……!
「ま、うちの大事な友達が、男作ったっていうから、どんなもんかって試したかったんだよ。悪気はないんだ、ゆるせドーテーくん」
ぺこ、とダリアさんが頭を下げる。
乳牛みたいなおっぱいがブルンと動く。
す、すごい……。
「お礼にお試しセックスする? いいよ」
「あほぉーーーーーーーーー!」
べしっ、と里花がダリアさんにツッコミを入れる。
「そのままあーしの股間にツッコみいれてもいいんだぜ、ドーテーくん?」
「あ、いや……」
「そんなことさせませんからね!」
里花が顔を真っ赤にして、ぼくに抱きつく。
ダリアさんからぼくを守るように……って、や、やばい。
り、里花がいつも以上に……抱きついてきてる……。
ふわって甘い香り……。
ダリアさんのむせかえるような甘さじゃない。
心が落ち着くような、そんな花の香りがする……。
「なるほど~。ふたりはそういう感じか~……ふーん」
すっ、とダリアさんが目を細めたあと、にぱっとわらう。
「うん、おっけ。把握した。二人はちゃんと相思相愛みたいだね~」
「「なっ……!?」」
そ、相思相愛ぃ!?
「な、何言ってるのよ! だ、ダリア……し、しんちゃんとはその……」
「あーあー、皆まで言うなって。あーしは応援するぜ? ドーテーくん?」
「な、なんでしょう?」
ニコッと笑って、ぼくの手を握る。
「りかたんをよろしくね。この子……いっぱい苦労してきてる子だからさ。優しくしてあげて」
ダリアさんは……良い友達なんだな。
ちゃんと友達である里花のことを、気にかけてるみたいだし。
ぼくを試したのも、里花に変なやつが近づいてないかって、テストしたのかも。
「もちろん。里花を大切にする」
「ん♡ じゃあこれあげるね」
なんだろう?
パンティーだった。
「「おいっ!」」
なんつーもの握らせてるんだ!?
「そんじゃねー」
「え!? これ要らないんですけど!」
「まーまーおかずにしたまえ~♡ ばいびー♡」
手を振りながらダリアさんが帰ってくる。
とんでもねえギャルだな……。
でも、どうしろってんだよ、このパンツ……。
おかずってそんな……。
「しんちゃー……ん?」
後ろから、ものすごい怒りのオーラを感じる。
振り返ると、笑顔の里花が居ました。
ぶち切れてました。
「それ、返して」
里花がパンツを指さして言う。
「あ、えっと……ダリアさんに返さなきゃだし」
「あたしから返すから。てゆーか……返せ」
「あ、はい……」
ちょっと残念……。
「残念がってない?」
「め、滅相もない……!」
里花にダリアさんからもらったパンツを返す。
すると里花は顔を赤くして、小さくつぶやく。
「……そ、そんなにパンツ興味あるの? なら……あげてもよかったかなぁ」
「え、なんだって?」
「なんでもないわよ! ほら、帰るわよ!」